連載/hueが直伝!“売れる“料理の撮り方、見せ方 #3 コーヒーに「エモーション」をプラス!ハイライトで差をつける、シズル撮影の裏ワザ。#AdobeStock

【連載】 hueが直伝! 売れる料理の撮り方、見せ方

年間1200件以上の『食』のビジュアル制作を行うクリエイティブ集団hue(ヒュー)。同社の近藤泰夫氏が、人の心を動かす「美味しい」写真の撮り方を伝授する連載、第3回目はハイライトを上手に使ったシズル写真の撮り方を伝授します。もちろんAdobe Stockで良い写真を選ぶ際のポイントにもなりますので、コントリビューター(投稿者)以外のかたも必見です。

ツヤと立体感をプラスする、ハイライトの効果。

「しっとり」「ふんわり」「サクッ」「もっちり」――。そんな食感を連想させる質感を表現することが、五感を刺激する「シズル写真」を撮るときのポイントだと前回の記事でお伝えしました。

その「質感」と同じくらいシズル写真に欠かせないものが「ハイライト」です。「ハイライト」とは、被写体にきらっと輝く光を加える事を指しています。
論より証拠。まずは次の2枚の写真をみてください。

● パターンA

©Copyright2018 hyemi cho/hueinc.All Rights Reserved.

● パターンB

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被写体も構図もまったく同じ写真ですが、パターンBのケーキのほうがぐっと美味しそうに感じますね。
ハイライトを多く入れる事で、美味しさを感じさせるポイントを作っているからです。

パターンAの写真はハイライトを意識せず撮ったものです。
被写体に対して左側からのメインライト一灯だけで撮影しました。雰囲気のある写真にはなっていますが、被写体の質感は潰れてしまっています。

一方、パターンBの写真はハイライトあり。
左からのメインライトはそのままに、右斜め奥の「半逆光」になる位置からグリッド(集光するためのライティングツール)を使ってピンポイントにライトを当てています。これによって、パターンBの写真では潰れていたケーキの側面や上部の質感がしっかりと写し出されています。加えて、右上のエッジ部分にハイライトがプラスされたことで、とても立体的に見えています。
同時に、上にのったドライフルーツにツヤ感が増しています。結果的に、上の写真に比べて写真の中に目を引くポイントが増えていると思います。
半逆光からの光を一灯加えることで、こうしたハイライトによるシズル感が生まれるのです。

ぜひ、半逆光のライトを追加して撮影してみてください。きっと、写真が変わるはずです。

「平面」のある被写体を魅力的に見せる、表現方法。

前記のライトを被写体に当てる事で、きらっとした輝きをプラスしシズル感を感じさせるハイライトと同じ理論になるのですが、ライトを上手に使って写真のレベルを上げるテクニックが他にもあります。
次は、「平面」のある被写体を魅力的にみせるハイライトのテクニックについてお話しましょう。
平面というのは、被写体の中のフラットな部分を指しています。

たとえば、チョコレートのような被写体にも「平面」がありますね。

こちらの写真を見てください。

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「一流のショコラティエが厳選した材料で作った、リッチな味わいのチョコレート」。そんな狙いが伝わってくる写真に仕上がっていると思います。実はこちらの写真は平面部分に「ハイライトあり」で撮った写真です。
では、同じ構図で同じ被写体を「ハイライトなし」で撮ってみましょう。

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「あれ、高級感が無くなっちゃった?」と感じますよね。

ハイライトあり

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ハイライトなし

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フラットな平面を持つ被写体を、このテクニックを使わずに撮影すると、工業製品のような“無機質さ”が際立ってしまいます。つまり「美味しそう」とはかけ離れた写真になりがちなんです。
そこで、半逆光からライトを追加します。すると、被写体を美しく見せるだけでなく、エモ―ショナルな写真に変化するのです。

この平面のハイライトを使いこなせるようになると、さらに差がつくシズル撮影テクニックに応用出来ます。
それは「液面」の撮影です。

コーヒーを撮るとき試したい、シズルテクニック。

例えばカップに入ったコーヒー。美味しそうに撮るのは難しい被写体です。
写真をワンランク上げるには工夫が必要なのです。

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上の写真。スタイリングやライティングで、ストーリーを感じさせる仕上がりになっていますが、肝心のカップの中のコーヒーが、ただ黒いだけで魅力的には写っていませんよね。

それでは、半逆光からのライトでハイライトを入れてみましょう。この場合は液面全面にハイライトを入れず、右の一部だけにハイライトを入れました。

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ハイライトが入るだけで、液面に表情が生まれてコーヒーの豊かな香りを感じるようになっていませんか?

さらに、もうひと工夫してみましょう。案外簡単な事ですが、プロならではの裏ワザです。

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この3枚目の写真は、さらにコーヒーの液面に表情が表れたように写っていませんか?
画像処理を加えたわけではありませんし、ライトを増やしたわけでもありません。

では、何をしたのか?

実はこれ、シャッターをきる前にちょっとだけ、カップを揺らしているだけなんです
コーヒーを少し波立たせて撮っているので、フラットだった液面にちょっとした動きが生まれました。シャッターを切るたびに変化する美しいハイライトが写真に情緒を与え、さらにシズル感も演出しています。
知ってしまえば「な~んだ」ということなのですが、1枚目の写真と比べると雲泥の差ですよね。

©Copyright2018 hyemi cho/hueinc.All Rights Reserved.

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ジュース、お茶、スープ――。
こうした被写体を撮るときは、ハイライトのテクニックを実践すると共に、この揺らぎの裏ワザを思い出して撮ってみてください。きっと、今までよりエモ―ショナルで美味しい写真が撮れるはずです。

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参考写真撮影:趙 慧美/hue inc.