Source Han Sans(日本語名称:源ノ角ゴシック)がバリアブルフォントに

源ノ角ゴシックがバリアブルフォントに。最小値から最大値の間の数値で表現される連続したウェイトを自由に使え、ニーズに応じて微妙なタイポグラフィの変化や効果を作り出すことができます。

2010年代初頭のある日、Googleはアドビに、東アジアの幅広い言語をサポートするオープンソース書体の共同開発という、野心的な提案を持ちかけました。当時アドビは、幸運にも(あるいは時代の流れとして)すでにそのような書体を開発しているところでした。そこで両社は、世界初のオープンソースのPan-CJK(中国語、日本語、韓国語で共用できる)書体をデザイン、開発するために協力することにしたのです。その取り組みは、Source Han Sans(GoogleからはNoto Sans CJKとしてリリース)として実を結びました。本日、アドビはこの書体の最新版であるSource Han Sans Variableを発表できることを嬉しく思います。

Source Han Sans(日本語名称:源ノ角ゴシック)は、2014年に<u>初めてリリース</u>(英語)されて以来、継続的にアップデートされ、改良されてきました。現在、簡体字中国語、繁体字中国語(台湾)、繁体字中国語(香港)、日本語、韓国語の、地域固有のグリフのバリエーションの多くをカバーしています。また、アドビの<u>Source Sans</u>ファミリーのラテン文字、キリル文字、ギリシャ文字のグリフを、日中韓のグリフとうまく調和するように若干修正したものも含まれています。

Source Han Sans Pan-CJKフォントの65,535個のグリフの完全なセットを収めたファイルサイズは大きく、多くの利用状況、とりわけウェブホスティングでは扱いづらい場合がありました。解決策のひとつは、地域固有のサブセットフォントを選択的に使用することでしたが、それらのフォントでさえ効率的なホスティングにはすぐに大きくなりすぎますし、最初から複数地域に向けて文書やウェブサイトを提供したいユーザーには役立ちません。そこで威力を発揮するのがバリアブルフォント(可変フォント)です。

2016年に<u>OpenType Font Variations</u>(英語)として発表されたこの技術は、次第に既存のフォントへと対応が拡大するものと見られていましたが、Source Han Sansにもその時がやってきました。これにより、Source Han Sansの既存の7つのウェイトを、デザインスペース全体を網羅する1つのファイルでカバーできるだけでなく、より精緻なコントロールをデザイナーに提供します。以前のようなExtra LightからHeavyまでの7つの決められたウェイトの他に、最小値から最大値の間の数値で表現される連続したウェイトを自由に使えるため、ニーズに応じて微妙なタイポグラフィの変化や効果を作り出すことができます。

Source Han Sans Variableは、デザインと機能の面では前回の<u>2.002</u>(英語)リリースのマイナーアップデートに過ぎませんが、ファイルサイズとパフォーマンスという面ではメジャーアップデートとなりました。印刷でもスクリーン上でも使いやすく、誰もが入手できる、複数言語対応のこのゴシック体を、さらに軽快で高いパフォーマンスを持つ書体に拡張したのが、今回のリリースです。アドビ版のフォントは、<u>GitHubからダウンロード</u>(英語)していただけます。 Google版のNoto Sans CJK Variable(英語)も提供を開始しています。

この記事は2021年4月8日(米国時間)に公開された Source Han Sans Goes Variable抄訳です。