仕事への姿勢をアドビで学ぶ──インターンシップを経験した次世代のリーダーたちの声
アドビは、さまざまな分野のチームの一員としてビジネスに取り組める、実務的なインターンシッププログラムを実施しています。アドビがインターンシップを行う理由、そしてインターン生が得た学びをお伝えします。
アドビでは、世界各国でインターンシッププログラムを実施しています。さまざまな分野のチームに所属し、チームの一員としてビジネスに取り組める実務的なプログラムです。2019年は、過去もっとも多い5人のインターン生を受け入れました。今回はアドビがインターンシップを行う理由、そして参加したインターン生が得た学びをお伝えします。
インターンシップで果たすアドビの変革と責任
アドビでは、グローバルでインターンシップ制度を導入しています。とくにUSではプログラムも充実しており、年間で200人以上の規模でインターン生を受け入れています。
しかし、日本では、過去インターン生を受け入れてきた数はまだまだ少数。それは、「即戦力」となるプロフェッショナル人材の採用に重きを置いてきたためでした。ただ、一方で社員の年齢層が高くなってきていることも組織の課題となっています。
加速する社会の変化に対し、新しい感性を持ったデジタルネイティブ世代の若者を迎えることで、組織をリフレッシュすること。また、アドビには世の中のデジタル体験をリードできる次の世代を育てていく責任があるという想いが、今回のインターンシップ制度強化の端緒になっています。
インターン生は、一社員として扱い、限られた期間の中でもアドビが持ちうる限りのナレッジとスキルを伝えることを重視しています。その一方で、社員がインターン生から吸収することが多いことも事実です。互いにこれまで見ることができなかった世界を見せ合えることが社員の刺激となることも、インターン生を採用することの魅力でしょう。
今回は実際にインターンに参加した3名に、どんな想いを持ってインターンへ臨んだのか、そして何を得られたのか話を聞きました。
日本の学生がアドビのソフトを楽しめるように。自らの想いを社員へプレゼン
香港で育った小林は、PhotoshopやLightroomといったアドビのソフトを高校の授業で学んでいました。
小林 「アドビの製品のおかげで、自分でもクリエイティブになれることに気づけたんです。ソフトを使う以前は、ペインティングなど、クリエイティブな作業をまったくできなかったんですが、Photoshopでコラージュをつくったり、Lightroomで写真を編集したりするとクリエイティブな物がつくれたんです」
しかし、日本語を学ぶべく日本の大学に進学した小林は、香港とは異なる環境に衝撃を受けました。
小林 「大学でイベントを企画する際に広告を自主制作することがありました。そのとき、友人の多くは『 Photoshopは使えない』と言うんですね。私にとっては、みんな使ってる Wordなどのソフトみたいに基本的なものだったのに。
誰にだって才能を開花させるチャンスがあるかもしれないのに、『ソフトを使えないから』という理由で諦めてしまうのはもったいないと感じました。こうした機会損出を生まないために何かできることがあるのではないか?そう考え、アドビのインターンシップにエントリーしました」
その後、選考を通過し、インターン生となった小林は、スマホアプリ版「Lightroom」を大学生に活用してもらう施策を考え、社員へ提案する課題に取り組みました。
小林 「私の周りにいる学生 100名以上にヒアリングをし、カスタマージャーニーマップを描きました。調査の結果、たった 16%しか Lightroomを使っていないことがわかりました。
『高いしプロ向けだし、あんまり使いこなせない』と誤解しているんですね。無料で使える機能があることも知られていない状況でした」
そこで小林は、学生がアプリをダウンロードするまでにいくつかの障壁があることに気づきます。
小林 「たとえば、インスタを見ていているとアプリの広告が表示されます。気になってスワイプすると、インスタの外に出ちゃうんです。インスタを見ているのに、アプリの外に出るだけで、興味をなくしてしまう学生もいました。こうした学生の行動心理を、アンケートデータや実在の女学生の 1日を追いかけたビデオなどで社員にプレゼンしました」
こうしたプロセスで行ったプレゼンは高く評価されましたが、小林自身、何より仕事を進める上での学びがあったと言います。
小林 「周りの社員に、もっと進め方を相談しても良かったのだと、積極的なフィードバックをもらって初めて気づきました。本来アドビでのインターンは、そのように 360度からフィードバックを受ける機会にあふれていたんです」
また、アドビ以外の企業のインターンシップにも参加していた小林の目には、アドビの環境が良い職場に映ったと話します。
小林 「アドビの社員は、分別があり謙虚な人たちばかり。こんな人と働けたらいいなと心から思いました。それに、インターンの私たちに大きなチャンスを与えてくれたことから、若い人でもどんどん活躍できるチャンスがたくさんあることを感じました。そうした意味でのやりがいも、アドビに感じました」
大学では学べない、実際のビジネスフローに沿った業務体験
岩下は、情報通信系の大学院に通い、最新の技術を実用的なアプリケーションへ応用する研究開発に取り組んでいます。趣味に関連してアドビの製品を使う中で,自然とアドビを就職先の候補として見るようになったと話します。
選考を通過し、インターン生としてアドビに入社後は、社員が使う業務効率化のソフトウェアをつくるプロジェクトに臨みました。
岩下 「具体的には、カスタマーエクスペリエンスのサポートチームが、お客様からの問い合わせを分析する際のツールを開発していました。これまでは、ケプナ・トリゴー(KT)法と言われる、有名な問題分析手法をベースにした記入用紙を使っていました。
しかし、ひとつのテンプレートだけで記入できるほど、お客様から寄せられる問題は単一ではありません。それに、紙ベースで管理することは手間がかかるので、データ管理することも目的に開発を行っていました」
岩下には、ひとりのメンターがつき、日々マンツーマンの指導が行われました。
岩下 「最初の 2週間は自分で勉強しながら仕様を考える時間を取り、開発に必要な基礎的な知識を習得しました。その次の 2週間で要件定義をつくりました。
既存の KT法をもとに、自分で考えたアプリをこんな感じでどうか?というふうにメンターに見せて、アドバイスをもらいます。一朝一夕では成し得ないこうした課題にも、しっかりと時間を取ってもらいながら丁寧な指導を受けることができました」
岩下は大学院でもツール開発を行っています。しかし、実務を主眼に置いたアドビでのインターンシップは大学院では経験できない特別な時間だったと言います。
岩下 「同じプログラミングのプロセスでも、自分だけのためではないプログラミングだったというのが大きな違いだと思います。ほかの人が使うプロダクトだと意識して、自分本位ではないプログラミングをしなければいけません。そのために、要件定義など、これまでしてこなかったプロセスを踏めたことも大きな学びになりました」
岩下は、分野こそ違いますが、すでに別の企業から内定を得ています。アドビというIT企業で広げた視野の広さが生かせるはずと、このインターンシップで得た経験を大切に思っています。
本物のソリューションで世の中を変える助けを──インターンで強まる夢への想い
すでに大学を卒業している渡辺は、過去にアドビのソフトの使い方を中高生に教えるインターンを経験していました。
渡辺 「ソフトを使えるようになることが目的ではなく、子どもたちが何かを自分で生み出す力を身につけることによって、成功体験を得ることに重きを置いてきました。
また、こうした成功体験によって、世の中を変えることできるという実感を持ってほしいと考えてきました。実際に子どもたちがどんどん変わっていく姿を目の当たりにしてきて、そうした経験を日本全体に行き渡らせたいと思ったんです」
アドビのインターンに迎えられた渡辺は、カスタマーエクスペリエンス部という、既存ユーザーのサポートを目的とした部署で、コンダクトリダクションを担うプロジェクトに参加しました。
渡辺 「このプロジェクトは簡単に説明すると、お客様からの問合せを減らそうという試みです。カスタマーサポートは、限られた人員で回しているので、当然対応できる人数が限られています。キャパが一杯になってしまえば、お客様をお待たせする時間も、サポートチームの負担も多くなってしまうんです。ヘルプページなどもありますが、見てくれないお客様もいます。もっと見てもらえるようにするにはどうすればいいか、根本のオペレーションから見直して、施策を考え、その実装までを任せてもらいました」
Webページの改善やチャットボットの導入。従来評価が高かったTwitterを利用した問い合わせ対応の復活など、渡辺のタスクは目白押しでした。
渡辺 「私だけだと、問題を深堀りできませんでした。でも、アドビ社員は、誰がメンターなのかわからないくらいみんな面倒見が良いんです(笑)。週に 1回全員が集まって、私のために 1時間のミーティングを設けてくれました。あらゆる角度から厳しいフィードバックを返してくれるので、『ひとりの社員としてビジネスをやっているんだ』という実感がありました」
こうしたプロセスから当事者意識も高まり、プロジェクトマネジメント力が身についたと渡辺は振り返ります。
渡辺 「プロジェクトを自分で管理するために、どんなふうに計画をつくれば良いかといったことから、周りの人を巻き込む方法まで学びました。『遠慮しないで、渡辺さんのプロジェクトなんだから、自分から前に進めようと動かないとできないよ』といった具体的なアドバイスはありがたかったですね。組織の中での動き方を教えていただけたと思っています」
渡辺は、仕事を通して世の中から無駄を省き、誰もが自分しかできないクリエイティブな作業に没頭できる世界をつくることが夢。その夢に似た理念を持つアドビでの体験を通して想いはさらに強まり、「お客様が求める本当のソリューションを提供したい」とこれからの活躍を誓いました。
2019年度、アドビでは小林、岩下、渡辺の3名を含む、計5名のインターンを採用しました。いずれも限られた期間の中で、アドビの事業内容、カルチャー、そして働き方をメンターとなる社員が全力で伝え、より深いレベルでアドビを理解してもらう取り組みになりました。
インターンを採用することの目的は、アドビの社員が若い世代の視点やフレッシュなアイデアを吸収すると同時に「アドビが持つノウハウを次世代を担うリーダーに持って帰ってもらいたい」ということ。彼ら・彼女たちがこれから社会に出て、いつか「仕事の基本はアドビで学んだ」と感じてもらうことを願っています。