adsuger「本当の水彩のようにリアルに描けるAdobe Fresco」 Adobe Fresco Creative Relay 15

Adobe Frescoを使うクリエイターインタビュー企画「Adobe Fresco Creative Relay」。第15回は精緻な描画で幻想的な景色を描き出すイラストレーター・adsugerさんが登場です。

adsugerさんの作品/富士山

アドビではいま、Twitter上でAdobe Frescoを使ったイラストを募集しています。応募はかんたん、月ごとに変わるテーマをもとに、Adobe Frescoで描いたイラストやアートをハッシュタグをつけて投稿するだけです。
5月のテーマは「富士山」。日本の景色のひとつの象徴にもなっている富士山を風景画として描く、デフォルメしてみる、擬人化してみる……発想は自由です。自分ならでは「富士山」をAdobe Frescoで描いて、 #AdobeFresco #富士山 をつけてTwitterに投稿しましょう。
そして、この企画に連動したAdobe Frescoクリエイターのインタビュー「Adobe Fresco Creative Relay」、第15回はイラストレーターのadsugerさんにご登場いただきました。

ネモフィラ舞う、朝焼けの富士山

「テーマが富士山、季節が5月ということで、富士山をバックにネモフィラを合わせて描きました。ネモフィラを選んだのは、最近人気がありますし、いまの季節にも合うかなと思ったからです。
富士山に日が差し始める早朝の時間に、ネモフィラが舞う様子をイメージしたとき、いい感じの絵になりそうだと思って描き進め、できあがったのがこの作品です。
Adobe Frescoはブラシが豊富なので、描くモチーフごとにブラシを使い分けています。
たとえば、富士山のシルエットは『かぶらペン』、雪の部分には『削用筆2』と『筆ペン』、雲は『雲 JP』『雲2 JP』、ネモフィラは『細線 JP』で描き、薄い青の部分は水彩ブラシで塗っています」

adsugerさんの作品/富士山

普段は研究院生、学びの合間にiPadでイラストを

日中は工学系の研究院で学ぶかたわら、iPadでイラストを描いてはSNSへのポストを続けているイラストレーター・adsugerさん。
もともとは趣味で始めたイラストは、持ち前の探究心でみるみる上達し、いまやTwitterで多くのフォロワーを持つ人気イラストレーターのひとりになりました。

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adsugerさんの作品

adsugerさんの近作

「絵を描くようになったのは、中学生のころに好きだったマンガ『FAIRY TAIL』がきっかけです。この作品に出てくるグレイというキャラクターがすごく好きで、模写をしてみたら思った以上にうまく描けたんです。それから『絵を描くのは楽しいな』と思うようになりました。
とはいえ、サッカーもやっていて、ゲームも好きだったので、絵をひたすら描くということはなく、あくまで気分転換のひとつという位置付けでした。当時は絵の道に進みたいとも思っていませんでしたし、“ふつうに大学に進学して企業に就職するんだろうな”と思っていたくらいです。
これほど絵を描くことになるとは、自分でも想像していませんでした」

中学から高校へと進んでも、そのときどきで好きなキャラクターを描く、趣味としての模写は続けられましたが、その方法はadsugerさんならではのユニークなものでした。

「顔の輪郭線の角度まで測って模写していました。指で角度を作っておいて、その角度通りに描いていくんです。
隣に見本をおいて描くような、ふつうの模写とはちょっと違うかもしれませんが、どういうふうに描かれているのかを分析して描くのは楽しかったですね」

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adsugerさんの模写

中学〜高校まで続けていた、好きなキャラクターの模写

そうした模写を繰り返すなかで、自身のなかでも物語が湧き上がり、そこに登場するオリジナルキャラクターも描くようになります。
大学生になると、iPad購入をきっかけにデジタルでの作画も開始しました。
模写でも創作でもキャラクターばかりを描いていたadsugerさんですが、Twitterでのとある出会いがきっかけで、一気に風景画の世界にのめり込むことになります。

「Twitterはもともと投稿もほとんどせずに眺めるだけだったのですが、あるとき、タイムラインにいい意味でショッキングなイラストが流れてきたんです。それがY_Yさんが描かれた風景画でした。
見た瞬間、『めちゃくちゃきれい! こんなふうに描けるようになりたい…!』と衝撃が走りました」

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adsugerさんの作品

左:高校時代に描いたオリジナルキャラクター/右:はじめてiPadで描いたイラスト

Y_Yさんを目指してイラストを猛特訓

Y_Yさんのようなイラストを描きたい……その想いから同じツールを導入し、描きかたを研究するようになります。

「まずは模写からスタートしました。色合いから光の表現方法、ブラシの使いかたまで、ひたすら試行錯誤して、“どうやったらこの絵に近づけるんだろう”ということだけを考えていました」

そうした積み重ねの中で徐々に自分なりの表現方法も見出していったadsugerさんは、趣味用Twitterアカウント@adsugerを開設し、イラストツイートをスタート。これがイラストレーター・adsugerとしての第一歩でした。

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adsugerさんの作品

adsugerとしてはじめてポストした作品

「Y_Yさんのイラストに出会い、自分自身もadsugerとして活動をするようになってから、ほかのイラストレーターさんのイラストもよく見るようになりました。
なかでも影響を受けたのがmochaさんです。mochaさんのようにきれいな空が描きたいと思い、著書『背景作画 ゼロから学ぶプロの技 神技作画シリーズ』を買って、ひとつひとつ練習をしていきました」

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adsugerさんの作品

背景画の特訓を経たあとのイラスト

iPadを購入し、はじめてデジタルで絵を描いたのが2018年というadsugerさんは、Y_Yさんという大きな目標を目指してひたすら描き続け、絵に向き合う時間は1日10時間を超える日もあったそうです。
投稿したイラストに多くの「いいね!」がつくこと、反応をもらうことはadsugerさんにとっても大きなモチベーションになりました。

「自分が影響を受けた、勝手に恩師と仰いでいるY_Yさんに、いつか自分の絵を見てもらいたいという想いを、Twitterを始めたころからずっと持っていました。いい絵を描いて、フォロワーが増えていけば、いつか届くんじゃないかと。
それが叶ったのが、2019年2月に投稿したOrangestarさんの『アスノヨゾラ哨戒班』のファンアートです。投稿して数日後、通知に『Y_Yさんからリツイートされました』『Y_Yさんからいいねされました』『Y_Yさんフォローされました』という通知がきて。飛び跳ねましたね、うれしすぎてめちゃめちゃ叫んだ記憶があります(笑)。本当に目標にしていましたから」

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adsugerさんの作品

「アスノヨゾラ哨戒班」ファンアート

あまりの美しさに衝撃を受け、“こういう絵を描けるようになりたい”という一心で絵を練習したadsugerさんの努力が、ひとつ身を結んだ瞬間でした。
その後も、緻密な描写、幻想的なシチュエーションのイラストを発表し続け、雨の中、ピアノを奏でるイラストでははじめて1万を超える「いいね!」を獲得しました。

adsugerさんの作品

風景画でひとつの目標を達成したadsugerさんが次に取り組んだ課題、それは人物のイラストでした。

「模写では人物、キャラクターを描いていたこともあって、やっぱり人物も描けるようになりたいなと思ったんです。

そのとき描いたのが『Henceforth』という作品なのですが、姉にすごくダメ出しをされて(笑)。
『なに、この足? カエルやん。足のかたちも変やし、ズボン適当だし』と散々でした。言われてみればそうなのですが、当時はショックでしたね。
絵を見てくれたひともそう思っているんじゃないか……と不安になりました」

adsugerさんの作品

テーマを人物に絞り、再びいろいろなイラストレーターや絵師の絵を模写することで描きかたのコツを掴もうと試行錯誤する日々。しかし、模写だけでは限界も感じているそうです。

「人物は風景以上におさえなくてはいけないポイントが多いですし、服装や髪型は本当に難しいと実感しています。
ただ、絵を描くためのアプローチと、ふだんの研究のアプローチは似ているところもあるんです。目標を達成するためには何を学ぶ必要があるか、どういう課題をクリアする必要があるのかを考え、それをひとつひとつ解決していく。その繰り返しです」

Adsugerさんがデジタルで絵を描くようになってまだ3年。これほどまで短期間に上達することができたのは、描きたい絵に対して研究と実践を惜しまず、継続したからこそ成しえたことと言えるでしょう。

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adsugerさんの作品

Adobe Frescoのリアルな水彩

デジタルで絵を描くとき、パソコンは使わずにiPadのみで描くというadsugerさんは、Adobe Frescoをどのように評価しているのでしょうか。

「これまでAdobe Photoshopも使ったことがなかったので、はじめは操作にとまどいましたが、まず、自分に合うブラシを探すところから始めて、しっくりくるものがあったらそれで何かを描いてみるという感じで慣れていきました。
描きながら、それまでのアプリとAdobe Frescoのブラシの差に驚かされるばかりでしたが、一番びっくりしたのが水彩ブラシです。
ほかのペイントアプリでも水彩ブラシを使っているのですが、Adobe Frescoのブラシは本当にリアル。実際の水彩で描いたらこんな風になるんだろうな、いままで使っていた水彩ブラシは本当の水彩じゃなかったんだ、と思いました」

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Adobe Frescoのブラシ

今回のイラストで使われたブラシ

研究熱心なadsugerさんにとって、Adobe Frescoはラーニングコンテンツが充実していることも大きな評価ポイントになっています。

「『見つける』という欄から色々なクリエイターの作品をすぐに見ることができるところ、『学ぶ』の欄からビデオ以外にも実践チュートリアルで実際にペンを動かしながら学べる点がすごくいいなと思っています。
特に実践チュートリアルはWi-Fiがつながっていなくても見られるので、どこでも学べるところがいいですね」

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Adobe Frescoのラーニングコンテンツ

Adobe Frescoのラーニングコンテンツ

日中は工学系の研究を行ない、それ以外の時間はイラストを研究し、描くというadsugerさんにとって、iPad+Adobe Frescoの組み合わせは理想的な組み合わせになっています。

「iPadで描く最大のメリットは“どこでも描けること”だと思っています。
これまでは家で描くことがほとんどでしたが、最近は研究室にこもっていることが多くなりました。研究室内でも時間があるときに絵を描けるのはiPadならではの魅力だと感じています」

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adsugerさん写真

イラストレーター
adsuger

Twitter|https://twitter.com/A_D_suger77
pixiv|https://www.pixiv.net/users/33071675
BOOTH|https://adsuger.booth.pm/