多くのビデオクリエイターのニーズに応えるため、Adobe Premiere Proのユーザーエクスペリエンスを刷新

Adobe Premiere Proの新しいユーザーエクスペリエンスをご紹介します。このたびのアップデートでは、様々なソースからメディアを集め、プロジェクトに追加する前にクリップを確認することができます。また、アプリケーション内のナビゲーションを一元化しました。YouTube、Facebook、Twitterなどのプラットフォーム向けに、最適なレンダリング設定を提案します。

Adobe Premiere Proは常にテクノロジーの限界に挑み、ユーザーの創造的なビジョンを実現する機能を30年近くにわたって提供し続けてきました。その間、ビデオと動画を取り巻く環境も大きな変化を遂げ、今ではプラットフォーム、チャンネル、フォーマット、書き出しオプション、カメラ、入力形式がかつてないほど増えています。こうした進化に伴ってアドビのクリエイティブツールの利用法も進化し、私たちにも業界の変化に合わせたイノベーションが求められています。

Adobe Premiere Proの場合、それは、日頃からツールをお使いのユーザーの皆様だけでなく、次世代のクリエイターも対象にした、操作エクスペリエンス全体の大幅な改善です。この、Adobe Premiere Proの新たなビジョンへの第一歩は、読み込みと書き出しのエクスペリエンスの刷新と、ヘッダーバーのスリム化によって、ワークフローの習得をより簡単にし、その流れをより効率的で楽しいものにすることから始まります。私たちは、Adobe Premiere Proをさらに直感的でパワフルな編集ツールにすることで、明日のビデオクリエイターのニーズを満たすだけでなく、高品質なコンテンツを短納期で制作し、複数のソーシャルプラットフォームそれぞれに最適化して配信するという、今日のクリエイターが直面している需要にも応えて参りたいと考えています。

今回のベータ版に実装したインターフェイスの刷新は、長い準備期間をかけてようやく実現を迎えるものです。30年前に開発が始まったアプリケーションを刷新し、ソーシャルビデオのような当初は存在しなかった新しいタイプのビデオコンテンツに対応させることには、特有の難しさがあります。なぜなら、従来のポストプロダクションのニーズや高度な要求も妥協はできないからです。そのために、プロダクトデザイン、リサーチ、エンジニアリング、カスタマーエクスペリエンスの各専門家からなる部門横断のチームがデータを収集し、ユーザーの皆様と密接に対話してご要望を伺いながら、機能性だけでなく美しさも兼ね備えた新しいエクスペリエンスを提供することに努めました。

クリエイティビティを引き出す直感的なデザイン

アドビはデザイン主導型の企業であり、ツールにもそれを反映させたいと考えています。今回のリニューアルは、単なる表層的なリデザインではなく、長期的な取り組みの第一歩であり、私たちのデザインチームとエンジニアリングチームが一丸となって、意味のある、考え抜いた改善を実装しています。単に単純化するのではなく、編集プロセスを改善する強化されたワークフローを新たに生み出すのが目的です。そのため、改善点の開発には反復プロセスを採用し、その機能性とゴールについて熱のこもった議論を重ねています。

例えば、新しい「読み込みモード」は、ソーシャルビデオのクリエイターやエディターがまず最初にしたいこと、つまりコンテンツに簡単にすばやくアクセスすることに焦点を当てた、メディア優先の合理的な操作エクスペリエンスです。既存のユーザーはこれまでと同様に、FinderなどのOSが提供するメディアブラウザを使ってコンテンツを簡単に読み込むことができますが、「新規プロジェクト」や「新規シーケンス」のような複雑で分かりにくいダイアログで設定をする必要はなくなりました。これにより、クリエイターが新しいプロジェクトを開始する道筋が明快になっただけでなく、経験豊富なエディターにも、複数のファイルパスからのメディアの読み込みや、カメラ側のフォルダーやお気に入りのフォルダーに保存された素材ファイルをプレビューしながらの読み込みなど、複数のオプションが用意され、よりよいワークフローを提供します。

さらに、「読み込み」、「編集」、「書き出し」という、編集プロセスにおける3つの主要フェーズがシームレスに統合された新しいデザインのヘッダーバーを導入します。ヘッダーバーからは、特定のタスクに対応した編集ワークスペースを選べるドロップダウンメニューや「クイック書き出し」コマンドに直接アクセスでき、ボタン1つでベータ版の最新ビルドの情報の入手やフィードバックの報告もおこなえます。この新デザインのヘッダーバーは、Adobe Creative Cloudアプリケーション全体で共通して読み込みと書き出しをサポートするデザイン要素となる予定で、異なるツール間でも一貫した操作方法と親しみやすさをユーザーに提供します。

書き出しプロセスの最適化

今日の動画クリエイターやエディターは、複数のソーシャルプラットフォームや配信フォーマットに最適化済みの複数のコンテンツファイルを短時間で納品するという課題に常に直面しています。これまでのAdobe Premiere Proでは、これは配信先すべての要求仕様をあらかじめ把握していない限り複雑で難度の高いタスクでした。それを楽にしてくれるのがAdobe Premiere Proのソーシャル書き出し機能(「書き出し設定」ダイアログの「パブリッシュ」オプション)なのですが、ユーザーの多くがソーシャルメディアなど様々な場所に向けてコンテンツを頻繁に制作するものの、この機能を使っておらず、そもそもその機能があることすら知りません。

そこで、Adobe Premiere Proの基本的な書き出し機能を、フォーマット優先から書き出し先優先の設計に変更しました。

新しい「書き出し」の項目では、ローカルドライブに複数のファイルを簡単に書き出すことができ、コンテンツの投稿および保存先に応じたオプションを提供することで、完成したビデオの配信プロセスを効率化します。ユーザーはまず、書き出しのメディアフォーマットあるいは投稿先のソーシャルメディアプラットフォーム(例:YouTube)をすばやく選択します。その後は自動設定でレンダリングすることが可能で、パブリッシュ前にプレビューし、準備ができたら直接アップロードすることができます。また、レンダリングからアップロードまでの間はビデオがバックグラウンドでレンダリング処理されるため、ユーザーは編集作業に戻ることができ、クリエイティブな作業が邪魔されません。このようなユーザーエクスペリエンスの向上により、人気の高いソーシャルメディアプラットフォームに素早く効率的にビデオを投稿できるようになりましたが、経験豊富なユーザーが頼りにしている柔軟性とパワーは犠牲になっていません。

今回の刷新の背景には、Adobe Premiere Proの最大の魅力を維持しつつ、私たちのこれまでの学びを反映してより良いものにしていくという信念があります。アドビのエンジニアリングチームには、60年以上にわたるプロフェッショナルなビデオ編集の知見が蓄積されており、Adobe Premiere Proをご愛用いただいている皆さんにとって、変更がどれほどの影響を与えるかを理解していいます。皆さんの多くがAdobe Premiere Proで長年経験を積まれていることを知っている私たちは、このインターフェイス刷新のプロセスに慎重を期して取り組んでいます。

これらの刷新されたエクスペリエンスについては、引き続きAdobe Premiere Proの能力を最大限にご活用いただきながら、皆さんから確実にフィードバックを頂戴する時間的な猶予を設けるために、パブリックベータ版から段階を踏んで製品版に実装していきます。これらの変更は、現在のワークフローを置き換えるのではなく、追加的な選択肢です。私たちは、いったん身体に染み付いた記憶がいかに重要かを理解しており、ユーザーの皆様のフローを混乱させたくはありません。

前述のように、これは第一歩に過ぎません。私たちは、今日のニーズに応え、明日の可能性を見越したフレームワークを構築するために、編集エクスペリエンス全体を総合的に見直しています。この第一弾を皮切りに、Adobe Premiere Proの新たなビジョンを今年中に続々と皆様にお届けできることを楽しみにしています。

Adobe Premiere Pro(ベータ版)の新しい読み込み、書き出し、ヘッダーバーについての詳細はこちらをご覧ください。

この記事は2021年6月22日(米国時間)に公開されたPremiere Pro Gets a Cutting-Edge Refresh for Today’s Creatorの抄訳です。