【映像制作基礎:第3回】ライティング、照明テクニックのコツとは?

人物モデルを使ったライフスタイルやビジネスシーンの作品はAdobe Stockでもニーズの高いテーマです。室内撮影の場合、写真はストロボを使用したりしますが、映像は定常光を使用します。照明を工夫することで、スタジオを用意しなくてもクオリティの高い映像を撮ることできます。そこで今回はモデルさんに協力してもらい、一般的な人物撮影時のライティングのポイントについてご説明します。

それでは、以下の4つの項目に分けてライティング方法を紹介していきます。

  1. 基本の照明セッティング
  2. 光の強さの調整
  3. ビューティーライティングの作り方
  4. カラーフィルターの使い方

1. 基本の照明セッティング

今回は、照明セッティングの基本となる「3点照明」を用います。3点照明とは、その名の通り3種類のライトを配置するものです。1つ目はメインの被写体に当てる「キーライト」。2つ目は、被写体の後方から、または背景に向かって当てる「バックライト」。3つ目は、被写体の影を和らげる「フィルライト」です。

照明を焚いていない状態がこちらになります。

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キーライトで人物の手前側から光を当ててみます。

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次に、バックライトを当てます。キーライトを当てた際に、背景が暗くなっていたのですが、バックライトを当てることで、背景に光を追加して補完すると同時に、奥行き感を出すこともできます。

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バックライトを当てると人物が暗く見えてしまうので、キーライトをもう1つ当てます。キーライトを足したことで、より人物が目立つライティングになります。

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最後に、影をソフトにするためにフィルライトを当てます。先ほど足したキーライトにより、コントラストが強くなっていたので、今回はカメラの右下からフィルライトを当てることで影を減らし、同時にハイライトの効果も加えました。

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2. 光の強さの調節

ここからは、撮影場所や機材に合わせた、ライティングの調節について解説していきます。

撮影場所によっては、元々ある環境光を消すことができない場合もあるので、その際はフラッグ(四角い枠に黒布などを貼ったもの)を使用して光の量をカットし、構図の中に光を取り込まないようにします。

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バックライトの光が強すぎると人物に光が溢れてしまうので、ここではフラッグの向きや並べ方を調節します。

下の流れのように、フラッグの向きを調節することで、ソファに当たる光量を抑えることができます。

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ライトの光の強さを調節するのに役立つ方法が、ディフューズです。光と被写体との間にトレーシングペーパー、シルク、フロストなど透過性のある素材を挟むことで、光を拡散させて人物に当たる光を柔らかくします。

ここでは、キーライトにトレーシングペーパーとシルクを使用。

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フィルライトにはトレーシングペーパーを使用しました。

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ディフューズを徐々に追加していくと、下のように見え方が変化しました。

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光と影を調節することで映像の雰囲気も変化するので、ぜひ調整を繰りかえして、最適な光加減を見つけてみてください。

3. ビューティーライティングの作り方

続いては、影を無くして人物を美しく見せる、ビューティーライティングについて説明します。ビューティーライティングは、身近なもので例えると、プリクラのような照明です。

今回、ビューティーライティングを作るために用意した機材は、クラムシェルライティングというものです。2つの照明が二枚貝のように見えることから、クラムシェルライティングと言います。上下2つの照明が交差する位置にカメラを配置します。

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背景のバックライトは、2つの小さな照明を組み合わせています。色の組み合わせによっても、映像の雰囲気はガラリと変わります。ここで使用するカラーフィルターについては、後ほど詳しく説明します。

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実際にモデルさんについてもらい、クラムシェルライトとバックライトを使用してみます。

まず、キーライトを2つ当てた状態がこちらになります。

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手前側のクラムシェルライトと、背景のバックライトを当てるとこのように綺麗なビューティーライティングになります。

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4. カラーフィルターの使い方

最後に、バックライトのカラーフィルターについて、説明します。

フィルターとは、光の色味だけでなく、質感やエフェクトなど様々な効果を加えることが可能で、バックライトに使用することで、モデルの見た目や表情にあったクリエイティブな雰囲気を作り出すことができます。

ライトに被せるようにカラーフィルターを取り付けます。

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カラーフィルターの組み合わせによって、映像の雰囲気が変わる例を見てみましょう。

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このように好きなカラーフィルターを組み合わせて、自分のイメージする雰囲気をを作ってみてください。

今回は、映像の雰囲気(ルック)を作り出すのに最も重要なライティングの方法について解説しました。この記事で紹介した方法を参考に、目的に合ったライティングを用意し、よりクオリティの高い映像作品を目指しましょう。

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