【映像制作基礎:第1回】写真から映像の世界へ カメラワークの基礎を学ぼう!

映像制作者の「学び・仕事・繋がり」をサポートするVookさんから、映像制作の基礎を紹介していただくシリーズ。第1回目は、写真と映像の決定的な違いである「カメラワーク」。これからビデオ作品の制作にチャレンジする方や基礎をおさらいしたい方にお勧めの内容です

Adobe Stockでビデオ作品を販売したいとお考えですか?それなら、映像制作のプロから作品づくりのノウハウを学ぶのが一番の近道。映像制作の基礎を体系的に学び、実際に制作過程に落とし込んでいくことが、作品販売を成功させる鍵となります。

このブログでは、映像制作者の「学び・仕事・繋がり」をサポートするサービスVookに、映像制作の基礎について紹介していただきます。第1回目は、写真と映像の決定的な違いである「カメラワーク」について学んでいきましょう。

初めまして。Vook CCOの曽根です。今回はさまざまな撮影機材を使いながら、カメラワークについて説明していきたいと思います。

カメラワークは、一般的に映像の撮影技法用語として使われています。定点で撮る写真と異なり、カメラを動かしながら撮ることで、スピード感やスケール感、立体感、臨場感といった、映像ならではの表現を生み出すことができます。

効果的なカメラワークを生み出すために必要な機材として、三脚、スタビライザー、ドリーなどがあげられます。これらの機材の概要と期待できる表現をそれぞれご紹介していきます。

目次

  1. 三脚の使い方
    パン・ティルト・パン棒の使い方
    三脚のカメラワーク
    三脚選びの注意点
  2. 撮影手法と撮影機材
    手持ち撮影の特徴と注意点
    スタビライザーの特徴と注意点
    ドリーの特徴と注意点
  3. カメラワークのまとめ

1、三脚の使い方

三脚は、カメラワークの助けをしてくれる最も基本的な機材です。写真用の三脚ではカメラワークという概念がなく、「動かす」ことを前提にデザインされていないことがほとんど。そのため、映像用の三脚を使用することをお勧めします。

それでは使い方の手順を説明していきます。

手順1:カメラを三脚に固定させるための機材である”フネ(クイックリリースプレート)”を、三脚から取り外します。

手順2:取り外したフネを、カメラに取り付けます。

取り付けが緩いと、カメラが動いて画角がずれたりするため、コイン(10円玉)などを使ってしっかりと締めておきます。

手順3:カメラを三脚を取り付ける。

カメラを三脚に取り付ける時にバランスが悪いと、カメラ本体が勝手に前に出てしまうことがあります。前後のバランスが取れている所にカメラを取り付け、動かない状態にします。

パン、ティルト、パン棒の使い方

三脚を使うことでフィックス(固定)の画を安定して撮れるだけでなく、パンとティルトという、カメラワークの基本となる2つの動きのある撮影がおこなえます。

パンとは、三脚に固定されたカメラを左から右、または右から左に動かす撮影手法です。風景を水平方向に見渡すなど、主に視点の横移動を表現する場合に用いられます。

ティルトは、下から上や、または上から下へとカメラを動かす撮影手法です。

高いビルを見上げるなど、主に視点の縦移動を表現する場合に用いられます。

カメラを水平および垂直方向に同時に動かすパン&ティルトというカメラワークの操作も可能です。

また、三脚はネジを緩めることで高さを調整することができます。三脚の高さを変えたり、その他のセッティングを変えたりする際は、水平がずれてしまわないよう注意してください。水平がずれているとゆがんだ画になってしまうので、こまめに水平器をチェックするようにしましょう。

パン棒は、カメラを上下左右に動かすための操作棒で、パンハンドルとも呼ばれています。パン棒もネジを緩めることで、角度などを調整することができます。パンやティルトを滑らかに操作できるよう、位置を調整しましょう。

三脚のカメラワーク

三脚は、パンを動かす速度を調整することが可能です。

レベル1(三脚にテンションがあまり掛かってない状態)にすることで、素早いカメラワークが可能です。スピードの速い被写体を撮るときに適していますが、操作に慣れていないとガタついてしまうことがあるので、注意が必要です。

逆に、レベル7(三脚にテンションが掛かっている状態)にすると、操作にずっしりと重みが入るので、ゆっくりパンする事が可能です。

同様に、ティルトの調整をおこなうことで、しっかりと重みを出すことができ、滑らかな操作が可能になります。

最後に、カウンターという機能を使ったカメラワークをご紹介します。

カウンター機能が付いた三脚では、カメラを上下に動かしたりした場合でも、水平位置に自動的に戻すことができます。頻繁にカメラを動かして撮るときなど、とても便利な機能です。

三脚選びの注意点

以下の点に気をつけて三脚を選びましょう。

2、撮影手法と撮影機材

手持ち撮影の特徴と注意点

手持ち撮影は、自由に動けたりアングルをすぐ変えることができるなど機動性が高いのが特徴で、リアルさや臨場感を出したい場合などに効果的です。

ただ、歩くことで手ブレを起こしてしまうので注意が必要になります。

手持ち撮影の場合、フリーハンドでカメラだけを持つよりも、グリップなどをカメラに取り付けることで安定して撮影することができます。右手でカメラを支えつつ、左手でフォーカスリングやズームリングを支えたりできるようになります。

撮っている時は気がつかなくても、実際に大きな画面で見てみるとかなりブレていることもあるので、三脚などで撮影した映像を押さえておくことをおすすめします。

スタビライザーの特徴と注意点

スタビライザーは、カメラを水平に保たせてくれる機材の一つで 電動で手ブレなどを減少させることが可能です。そのため、動きながらの撮影に向いており、カメラの操作に慣れていない人でも扱いやすいのが特徴です。

スタビライザーはワイドレンズと相性が良く、いろいろな持ち方ができるので、例えば低い位置から撮って地面の動きを感じさせるなど、臨場感のあるカメラワークが可能です。

スタビライザーは少しセッティングに時間がかかったり、電動のフォローフォーカスといった別のパーツを必要とする場合もありますが、ダイナミックなカメラワークや表現がしたい人におすすめの機材です。

ドリーの特徴と注意点

次はドリーを使ったカメラワークを見ていきましょう。

ドリーは、タイヤのついた台車にカメラを固定する機材で、移動撮影や回転撮影などに用いられます。今回はトラッキングレールタイプのドリーをご紹介します。

棒状のレールが2本引かれていて、その上にタイヤが付いた三脚を設置して動かすものです。他にも、板をのせて人が押すタイプのドリーもあります。

トラッキングレールのドリーは、一人でも手軽に操作することができます。

特徴としては三脚のようにブレを抑えたまま、カメラを移動させるカメラワークが可能になります。臨場感があり、かつ滑らかな動きの映像を撮影したい場合におすすめです。

ドリーを使えば、カメラを移動しながら同時にパンのカメラワークを行うことができます。センターに被写体をおきながら、背景だけを動かすといった表現も可能になります。

また、スタート地点で画面の手前に小道具などを入れることで、映像に立体感を出すことができます。

3、カメラワークまとめ

このようにさまざまな機材を用いてカメラを自在に動かし、カメラワークを演出することができます。

やはり固定されたカメラで撮影した動かない画よりも、動きを入れた立体感のある画の方が、見ている人を飽きさせません。ただし、何でも動かせばいいというわけでもありません。

動かして撮っている間はいい画が撮れた気になりがちですが、それが本当に効果的かどうかは撮影前にしっかりと検証する必要があります。

さまざまなカメラワークを試してみて、自分の演出や表現したいことに合わせて効果的なカメラワークを探っていくことが重要です。

以上、映像制作において欠かせない「カメラワークの基礎」について解説しました。

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