【セミナーレポート】慶應義塾大学 ニューノーマル社会で求められるCreative Confidenceとキャリア

アドビはクリエイティビティとキャリアについてのセミナー「Creative Confidence & Career~ニューノーマル社会で求められるCreative Confidenceとは?」を2021年6月17日(木)、22日(金)に慶應義塾大学で開催しました。自らのクリエイティビティと就職との関係性に関心をもつ学生が、オンラインで集いました。

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クリエイティビティのイメージを変える

講師のアドビ デジタルメディア事業部統括本部エデュケーションエバンジェリスト 井上リサは、アメリカでUI/UXデザイナーとしてのキャリアを築いてきました。インターンからスタートして専門性を強化し複数の会社でキャリアアップをしてきた経験は、日本の学生たちにとって新しい働き方につながるインパクトがあります。

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アドビ デジタルメディア事業部統括本部エデュケーションエバンジェリスト 井上リサ/アメリカの大学で学びキャリアを築いた(セミナースライドより)

冒頭で井上は参加者にクリエイティビティのイメージをオンライン投票で問いかけます。「アドビのようなクリエイティブツールをどんな人が使うと思いますか?」という問いには「アーティスト」「デザイナー」「クリエイター」という専門職に票を入れた参加者の割合が高く、「普段の生活の中で『クリエイティビティ発揮しているかも?』と思う瞬間がありますか?」という問いには6割近くが「あまりない」と答えました。

井上は、アドビのツール群が専門職だけのためのものではなく、手軽に楽しく使えるモバイルアプリや、小中学校でも導入されている直感的な制作アプリがあることなどを紹介しました。また、「普段あまりクリエイティビティを発揮していないと思っている皆さんも、実はクリエイティビティを発揮している瞬間がたくさんあります」と話し、創造性に対する自信「Creative Confidence」を持って欲しいと呼びかけます。

そもそも、クリエイティビティはなぜ必要で、そのCreative Confidenceはどのようにして身につけたら良いのでしょうか。

企業が求めるクリエイティブスキル

2037年までに今ある仕事の47%が機械に置き換えられる可能性があると言われていて、デジタル時代を生き抜くには、ハイスキルと呼ばれる専門知識や技能だけでなく、機械に置き換えにくい力を発揮できることが重要。人ならではの創造性(クリエイティビティ)や思考力、コミュニケーションスキルなどが注目されています。

アドビが2020年に行った調査では、企業が新卒採用で求めるスキルで最も高かったのは「課題解決方法の発想力/着想力」でした。また、以前よりも重要度が上がったスキルを尋ねると、「デジタルリテラシー(ITを使いこなせる能力)」が大きく増加。特に就職人気企業では「デジタルリテラシー」と「クリエイティビティ」の重要度が高まっています。

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企業が新卒に求めるスキルのうち重要が上がったもの(セミナースライドより)

「デジタルリテラシー」を具体的に見ると、ウェブやアプリ制作、印刷物、写真加工、イラスト制作、動画編集などのスキルを求めるポイントがいずれも上昇していて、企業がより具体的なスキルを求めるようになったことがわかります。

その背景には、企業が定期的な情報更新が必要なパンフレットやウェブサイトなどの制作物を外部の会社に依頼するのではなく内製化する必要性が高まっていることがあります。特に多様なSNSでの画像、動画の発信をタイムリーに行うためには、社内にスキルを持った人材が必要です。

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現在外注している制作物のうち定期更新の必要なものは内製化の意向が高い(セミナースライドより)

他にも、より説得力のあるプレゼンテーションのための資料作成や社内向けの研修動画作成など、さまざまなシーンでクリエイティブ系のITツールを使いこなす力が必要とされます。リモート営業が増えるなどニーズの変化も影響しているようです。

「クリエイティブじゃない」「センスがない」と思わないで

井上は、「私はクリエイティブな人間じゃないからセンスない」とか「私はデザイナーじゃないからデザインとかできない」と思わないで欲しいと呼びかけます。クリエイティビティには「アイディア」「考え方」「ものの捉え方」「表現力」「チャレンジ精神」「表現力」など多くの要素があり、皆がその力を日々使っています。その力に気づいて外に出していくことが重要だというのです。

デザインはロジックとルールで成り立っていて、センスではなくスキルとして習得できるもの。基礎を学んで「とりあえず作ってみる」というスタンスが大切で、完璧でなくていいので、作り続けることが自信につながると伝えました。

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センスより練習して作り続けることが大切。それが自信につながる(セミナースライドより)

Creative Confidenceとアプトプットのためのスキルは、就職先が求めるからという短期的な理由だけでなく、長い目で見て、起業やフリーランスなどビジネスを始める際や自分の考えを外に発信したいときに必ず重要なスキルになります。アイディアを人に伝える力やコミュニケーション力を養うことにつながるのです。

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Creative Confidenceはさまざまな力を養うことにつながる(セミナースライドより)

アドビにはすぐにクリエイティブな活動ができるツール群があり、無料で利用できるオンラインチュートリアルや演習素材、コミュニティなどが豊富です。「自信をもってクリエイティブな活動をしていけるように、ちょっとずつでいいので今日からいろいろ学んでいきましょう」と井上は呼びかけました。

不安を解消するQ&A

参加者からは「情報系学部でなくてもUI/UXデザイナーになれますか?」という質問が出ました。井上は、自分自身が大学では広告の勉強をしてデザインの専門教育を受けたわけではなく自分で学んで深めキャリアを築いたことを紹介し、「皆さん絶対になれると思います」と様々な学習リソースを示しました。

アドビが提供する手段には、Adobe XDの使い方をオンラインで学べるAdobe XD Trail、コミュニテイで人とつながりフィードバックを得られるAdobe XD User Group、制作のスキルアップになるAdobe Behance内のCreative Challengeなどがあります。

さらに、アドビが大学生を対象に開催する「College Creative Jam」は、テーマに応じたモバイルソリューションのアイディアを考えて、実際にXDでデザインをするコンテスト。6月22日(金)に説明会が開催され、自由参加のXD Trainingワークショップが始まったところですが、引き続き参加エントリーを受け付けています。

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College Creative Jam 2021はスタートしたばかり

初心者でも参加できるよう、学びながらプロジェクトを進められるように設計されているので、ぜひ多くの学生の皆さんに参加して欲しいと紹介しました。

College Creative Jam 2021関連リンク