Creators Meetup | 気になるNFTアートについて #AdobeResidency

NFT とはブロックチェーン技術をデジタルデータに適用したもの。 つまりデジタルデータをNFTの技術により「1点もの」として高い価値を持つデジタル資産となることで NFTアートが注目されています。

8歳のNFTアーティスト「Zombie Zoo Keeper」の母であり自身もアーティストの草野 絵美さん(以下、Emi)と、テクニカルディレクター・アーティストの中田 拓馬さん(以下、中田)をゲストに招いて開催した、Creataors Meetupの内容をお届けします。トークのテーマは今クリエイターにホットな話題「NFTアート」について。早速ゲストのプロフィール紹介から。

【ゲストのプロフィール】

草野 絵美 / アーティスト

1990年東京都生まれ。アーティスト、東京藝術大学非常勤講師、歌謡エレクトロユニット「Satellite Young」歌唱担当・主宰。音楽を中心にして、未来のテクノロジーに対して問いを立てるインスタレーション等を手がける。8歳の長男の夏休みの自由研究NFTアートプロジェクト「Zombie Zoo」が世界中のアートコレクターたちの目にとまり、最高4ETH(160万円相当)で取引される。その後息子をサポートするために、Web3の世界に飛び込み、マネジメント、ロードマップ策定などあらゆる戦略等を行う。
Instagram @emiksn / Twitter @emikusano
Zombie Zoo: Instagram @ZombieZooart / Twitter @ZombieZooart

中田 拓馬(BASSDRUM / アーティストテクニカルディレクター・アーティスト

南半球を転々と育ち、京都とオランダでビジュアルデザインとインタラクションデザインを学ぶ。オランダ在住中に現地のメディアアート集団に所属しノードベースプログラミング言語vvvvを知る。以後10年以上に渡って、vvvvを駆使したリアルタイム映像作品やインスタレーション作品を発表する傍ら、テクニカルディレクターとして様々なプロジェクトに関わる。2019年には国内初のAdobe Creative Residencyに選ばれ、Adobe MAXやDesignUP Indiaで「STEP INTO THE SCREEN」と題した作品郡を展示。2021年7月からテクニカルディレクターが中心に集まる技術者集団BASSDRUMに所属。2021年の頭に、日本人アーティストとしてはいち早く自身の作品をNFTとして出品。
Instagram @takuma.nakata / Twitter @takumanakata

8歳のドット絵アーティスト「Zombie Zoo Keeper」誕生のきっかけ

—Zombie Zoo Keeperが誕生したきっかけってなんだったんですか?

Emi:今年の8月に8歳の息子がNFTやりたいと言い出したんですよ。

中田:まずそこがすごいですよね。

Emi:元々NFT自体は、私自身も4月に出展して以来、情報は集めていたんですよね。食卓では私は自分の仕事の話なんかもするので、NFTの話題を出した時に「ポケモンカードを買いたいから」って興味を持ったみたいです。初めて稼いだお金がイーサリアムになるとは思いませんでしたけど。

中田:初めて稼いだお金が日本円ではなく仮想通貨。デジタルネイティブすぎますね。

Emi:ただデジタルというのはたまたまで、元々息子はものをつくることは好きで続けていたんです。以前はアイロンビーズの作品をつくってメルカリに出品したりもしてました。

中田:なるほど。確かにアイロンビーズの制作はビット絵のつくり方と通じるところがありますね。

—販売する場所に合わせてつくり方が変わったということですね。

Emi:そうですね。「上手く絵をかける自信がないけどアイロンビーズで繋げるのはできるから」といって夢中になっていて。でも、メルカリではうまく販売に繋がらなかったんですよね。なんのでNFTを始める時も「また売れないかもしれないな〜」と言ってました(笑)結果的に多くの方に購入していただけたのでそのギャップに驚きましたね。

—その成功体験はものづくりをする上での自信になりますよね。

Emi:そこはよかったなと思ってます。最近は「僕にしかかけない絵があるかも」なんて言っていますし、つくることの楽しみをしっかり感じてくれたようですね。「この絵をアニメにしてみたい」と動画制作の勉強も始めました。

—Zombie Zoo Keeperの作品がNFTにドロップされてから間もないですが、そんなにすぐに購入にいたるものなんですか?

Emi:売ることだけを考えたら流行りの作風にするとかマーケティングが必要になるとは思うんですけど、Zombie Zoo Keeperはそういったことは考えずに描きたいものを描いていましたね。最初は私の友人でもあるアーティストのたかくらかずきさんに作品を購入いただけたのですが、多くの人に知ってもらえたのはやはり世界的なアDJ・音楽プロデューサーでありNFTコレクターでもあるスティーヴ・アオキさんが購入してくれたタイミングですね。

—話題になって二次流通も加速し、ランキングにも入りましたもんね。ジャスティン・ビーバーがピコ太郎さんの動画をリツイートしたというニュースを思い出しました。

Emi:もちろん運が良かった部分もありますが、それはあくまできっかけですね。自分のつくりたいものをつくることがまずは大事だし、Zombie Zoo Keeperはそれを続けていました。NFTはそれが評価されるプラットフォームだっということですね。

怪しい?よくわからない?本当は怖くない「NFT」の話

—今回参加者の方にはNFTに関する事前アンケートにご回答いただいてます。「楽しそう」「活動の幅が広がりそう」といったポジティブなイメージから「難しそう」「怪しい」といったネガティブなものまで様々な回答がありました。気になったのが「アートの形をした株」「バブル」といったお金にまつわる不安です。

Emi:確かに、ビジネスとして参入している人は一定数いますね。でもそれはあくまで一部の人。このまま商業的イメージがつきすぎてしまってアーティストが離れていくのはもったいないですね。ただ、様々な動機で参入する人がいるからこそ混沌としていて、それが面白さの一つでもあるとは思います。

個人的には、モノづくりに関わる人は誰でも参加することをおすすめしています。やってみて初めて仕組みがわかって、どんなコミュニケーションが生まれるかを体験できる。

作品の形態もさまざまですし、一点ものの作品をつくっている人もいれば、毎日作品を発表している人もいる。本当に多様です。市場調査して自分のやりたいのを見つければいいんじゃないかな。もうすでにアーティスト活動をされてる人にもどんどん広まって欲しいです。

—「早めに始めないと乗り遅れそう」という声もありました。

中田:僕は今年の初めに始めましたけど、当時より人口は増えてますよね。でも、今のランキングに入っている人は8月以降にスタートした人が多いですし、参入が遅ければ不利というものではないので、焦る必要はないと思います。それこそZombie Zoo Keeperもアーリーアダプターではないですし。なのでSNSを始めるぐらいの気持ちで始めればいいとは思いますね。

Emi:おそらく難しいと感じるのは最初のウォレットを作ったり手続きをすることですね。逆にそこさえできればSNSと同様にスムーズに始められると思います。

その点OpenSeaはおすすめです。自分でトークンを発行しなくて始められて、最初の一度だけガス代がかかりますが*、毎回無料で出品できます。取引所に口座をつくってガス代用のイーサリアムを準備するところまでいけば、あとは使いながらわかってくると思います。
(*最初のガス代を無料にする方法もあり)

中田:参加する際の手順は検索すればすぐに出てきますから、そこだけクリアして参加する人が増えてくれたらいいですよね。

NFTを楽しむために必要なのはコミュニティを盛り上げること

—アーティストがNFTで作品を知ってもらうために必要なことはなんでしょう?

Emi:コミュニティを盛り上げていくことと英語での発信ですね。

以前Zombie Zoo Keeperの作品をヴァーチャルインスタグラマー『Lil Miquela』を作っているデジタルクリエイターのトレバー・マクフライドさんが購入してくれたんです。彼はクリエイターとしても活躍していて、なおかつNFTとカルチャーのコミュニティ・ハブ的な人で「トレンドや常識に揺さぶられない作品だったから買った」とおっしゃっていて、作者が8歳だとは思いもしなかったようです。

英語で発信したことで遠くのコミュニティに届きその方にも購入してもらえた。今はまだ日本で買う人は少ないから海外の人にリーチするのは大事だと思います。

中田:出品する人は増えているけど購入する人はまだ少ないですね。リーチすることを考えたら英語での発信は確かに必須です。とりあえずはGoogle翻訳とかでも十分ですよね。難しく考えるより、興味があるなら一度試してみると面白いのかなと。

Emi:作品の購入後もDiscordで交流するというのがNFTでのコミュニケーションの主流なんですけど、個人的にはそこに面白さと可能性を感じますね。「コミュニティの面白さとチームの強さに魅力を感じて投資している」という人もいるぐらいです。

—Zombie Zoo Keeper 周辺のDiscordはどんなコミュニティなんですか?

Emi:まだ160人ぐらいの規模が小さいコミュニティなんですけど、作品の画像をシェアしたり「これをゾンビにしてくれ」とリクエストが届いたりしてますね。

また、日本のクリエイターと海外の投資家が集まっているコミュニティがあんまりないので、他のクリエイターの作品を紹介するチャンネルもつくりました。購入者しか入れないバーチャル空間のようで面白いなと思いますね。

中田:NFTってお金が動くけど、コミュニティをつくっている人が成功していますよね。SNSが飽和状態で面白い人を見つけるのが難しいくなりましたけどけど、SNSの黎明期のようにコミュニティが盛り上がっていれば、その周辺にどんどん人は集まってくる。

それに作品ベースで集まったコミュニティだと参加者のコミットメントが高いですよね。そもそもお金払って参加しているのでエンゲージメントが高いですし。

Emi:このほうが盛り上がるよってDiscordをなおしてくれたり、プライシングについてもコメントをくれたりとか交流は活発ですね。中田さんの言う通りお金を払うことで意識は変わるなと思います。五千円で買ったものが数週間後に10万円ぐらいで売れていって作者の方からお礼をいただいたり。買ってみるとこんなに愛着が沸くものなんだなと気付かされましたね。

–-売買をしたら作者の元に金額が払われるシステムですよね。そこでクリエイターの活動資金となるならばいい循環になっていきますね。

Emi:作品をアイコンにすることで仲間感でたりとか、コミュニティが活性化するといったこともあります。アートを通じてコミュニケーションができるSNSのように考えると活動自体が楽しくなるとは思います。

NFTの盛り上がりからブロックチェーン技術への問題提起が生まれる

—これはネガティブな側面ですが、NFTによる環境負荷を問題視する声もあります。

中田:僕自身、そこはかなり引っかかっています。最初に作品を出品したらすぐに売れたのですが、環境問題のことが気になり始めて今は様子見しているところです。そもそもブロックチェーンというNFTの基礎になる技術自体が環境負荷が高いですから。

—マイニングがかなりの電力を要するので、CO2の排出量に関して問題視されていますね。

中田:ただ、イーサリアムが環境負荷軽減に向けた声明を出したり、解決に向けたアプローチを取っている人も沢山いますね。特に僕のまわりのジェネラティブ系のアーティストの中には問題視している人も少なくないです。やるならば頭の隅には置いとくべきだなと思いますね。

Emi:実際に、環境負荷が低いブロックチェーンであるテゾスを基盤にしたNFTプラットフォームも生まれましたね。NFTの業界の中からも課題解決に向けたアクションは生まれているので今後の改善には期待したいですね。

中田:まだ業界自体が黎明期ということは間違いないので、課題があるからといって忌避する必要はないと思います。それこそNFTの広がりを気にアーティストが問題提起を始めたことでブロックチェーンの史上全体にメッセージが届いている側面は確実にありますから。NFTというものが誕生したこと自体は僕自身もポジティブなことだとは捉えています。

—では、最後に今後のNFT活用に関してお二人の考えをお聞かせください。

Emi:Zombie Zoo Keeperに関しては、彼がいつ飽きるかわからないので、とりあえずは飽きるまで楽しく続けられたらというのが目標。私はそのために可能性を引き出す役目を全うします。また、私個人の作品もどんどん公開していきたいですね。Zombie Zoo Keeperをきっかけに私もいくつか海外の方からお声がけをいただき新しくプロジェクトが動き出したところですそういうダイナミックな動きが楽しいし、どっぷり浸かっていこうかと思います。

中田:僕は本業でジェネラティブとかリアルタイムグラフィックの制作を主に行っているので、そのコミュニティに貢献できる道筋が見えたらNFTを積極的に使っていきたいですね。今のところは自分の新たな作品ができたら出そうかなと、そういう軸足の置き方で付き合っていけたらといいかなと。

—ありがとうございました。

Creators Meetupのその後…

このMeetupはCommunity Fundのメンバー向けに行ったものを一部抜粋してまとめたものになりますが、ゲストのトークが1時間ほどあった後、コミュニティーのメンバーだけでもその後1時間以上も話が続いていくほど、盛り上がったのではないかと思っています。

この会をきっかけに、クリエイター自らNFTの世界への挑戦をはじめた様子で、その奮闘などもコミュニティーでもシェアしてくれていてきっかけづくりができたかなと思っています。さらにこのブログをきっかけに興味を持ってくれて新しいNFTのアーティストが日本から増えることを期待しています。

コミュニティーのメンバーの中には、NFTを始めてから10日間でNFTの売り上げが150万円!を超えるというハイスピードで作品が購入されるということがあったりと、新しいアーティストの生き方や作品を知ってもらえるという大きな変化が着実に起きているということが、自身が関わりを持っているクリエイターの周りでも起きているということが実感できているということがとても興味深いので、自分もとりあえずOpenSeaのアカウントまでは作成してみたので、年末年始など時間がある程度まとまって確保できる時に、やってみたかったことに挑戦してみようかなと思います!

ウォレットの作成やOpenSeaのアカウントを開設するときにとてもお世話になったのが、コミュニティーメンバーのテラヤマアヤカさんのYouTubeでした。クリエイター自身がNFTの情報をタイムリーにそして分かりやすく親切に解説しているのはなかなかないのではないかと思うクオリティーですので、「これから始めてみよう!」と思う方はぜひアヤカさんのYouTubeチャンネルの登録をオススメします。

CreatorのNFT情報紹介

コミュニティーメンバーでもNFTを始めた方が多いのでみなさんの作品が見れるリンクを掲載しますので、興味のあるアカウントをぜひフォローしてみてくださいね。

カズシ フジイ - アートディレクター / コラージュアーティスト

OpenSea

鴨川 ゆか - イラストレーター

OpenSea / Foundation

パパ - 映像クリエイター / デジタルアーティスト / YouTuber

OpenSea

Ao Umino - アニメーター / イラストレーター

OpenSea

Kotaro MACHIYAMA - イラストレーター / ペインター

OpenSea / Foundation

HappyPaint-J2- - イラストレーター

NFTStudio

北沢 直樹 - イラストレーター

OpenSea

坂口 拓 - グラフィックデザイナー / イラストレーター

OpenSea

Hiromu Oka - モーションデザイナー

Foundation

atdesign26 (テラヤマアヤカ) - グラフィックデザイナー / イラストレーター

OpenSea

木村 友美 - イラストレーター

OpenSea

Shiodrawing - イラストレーター

OpenSea

Adobe MAXでクリエイティブの最新トレンド

NTFの情報以外にもクリエイティブの最新情報やテクノジーの進化によってもたらされる最新のツールの情報など、明日から行われるAdobe MAXでもたくさん紹介されます。「クリエイティブの楽しさをすべての人に」をテーマに、日本オリジナルコンテンツ、グローバルのコンテンツ共に多くのプログラムを用意しており、本イベントに参加登録いただくことで、すべて無料で参加することができます。10月27日(水)~10月28日(木)(米国時間: 10月26日~28日)までの期間で、バーチャルイベントとして世界同時開催いたします。

Adobe MAX 2021ご登録サイトはこちら(日本語)

https://maxjapan.adobe.com/

Braindateでのクリエイターと語ろう

Adobe MAXの参加者が自分でトピックを作って、好きなことをテーマにメンバーを集めて、自由にディスカッションできるプラットフォーム「Braindate」。ここでは仕事でもプライベートでも自分の専門性や興味に関連して議論したいトピックを投稿することができます。他の人と一緒に20~45分間の会話を予約することができ、誰から学ぶかを選択し、Braindateプラットフォーム上でバーチャルに会うことができます。プレゼンテーションやセールストークなしで、参加者同士の特定トピックや分野の知識、実世界の経験についてのオープンな会話をすることができます。 もちろん今回のNFTの情報についてもみんなで話そうという日本語のトピックもあるのでぜひ登録してみてください。

https://adobemax.braindate.com

Community Fundの募集締切

Community Fundのメンバー内で行った今回のMeetupですが、今月いっぱいで申請の募集を締切ます。Adobe MAX中も申請できますので、気になった方はすぐにエントリーしてください。

▶︎ Community Fund 申請フォーム
※締切 2021年10月31日(日) 23:59

クリエイターのファンド支援とクリエイターコミュニティのCommunity Fundの詳細はこちらをチェック。