「動画編集スキルが“人生の選択肢”を与えてくれた」副業の動画編集スキルで見つけた、新たな働き方
働き方改革をはじめ、リモートワーク化やDX推進など、仕事のあり方が見直されている昨今。これまでのように一つの働き方だけでなく、副業・複業・兼業、パラレルキャリアなど、人々は価値観やワークライフバランスに合わせてより自分自身に合った働き方を模索するようになりました。
本業以外の働き方への関心が高まる中、副業として特に盛り上がりを見せているのが動画制作の分野。新型コロナウイルス感染症の広がりを受けて“自宅時間”が増えたことなどを要因に動画コンテンツ需要が高まるにつれて、動画制作できる人材へのニーズが高くなっています。
今回、470万人のワーカーと76万社のクライアントをつなぐオンライン人材マッチングプラットフォームを開発・運営するクラウドワークス(CrowdWorks)の協力を得て、動画編集スキルで新たな働き方を見つけたクラウドワーカーを取材しました。動画編集を副業にしている具体的な様子や新たな働き方を見つけたことでのご自身の変化などを紹介します。
家庭と仕事。「なにを優先したいか」を決めて働けるのが副業の良さ
お話をうかがった岩田範子さんは、週4日パートとして税理士事務所の事務をしながら、動画編集を手がける副業ワーカー。第二子の産休に入った2020年9月ごろから動画編集に関心を持ち、本業や家事育児と両立しながら、副業として動画編集の依頼を継続的に受けています。
「アニメ作品をテーマにしたYouTube動画にテロップやBGM、画像を入れるといった作業が私の主な仕事内容です。パートがお休みの曜日を副業にあてているのですが、週に1本ほどと安定したペースでお仕事をいただけているので、子どもを保育園に預けているあいだに2、3時間ほど作業するといった、無理のない働き方を自分のペースで決められています。この点は副業ならではの魅力かなと思います。
受注件数を増やしたい、もっと単価の高い案件にも手を広げたいという思いも正直ありますが、家庭や仕事との優先順位を考えたときに、子どもがまだ小さい今は、着実に実績を積み上げていく時期かなと思っています。子どもが大きくなったとき、本格的に活動を広げるという選択肢を持てるように、今はコツコツとスキルと実績を伸ばしているところです」
「今後もこれまで通り働き続けられるのか、、?」副業への挑戦に踏み切った思いとは
第二子の産休中、「子どもが大きくなった後もこれまでと同じ働き方を続けていけるのか」それをあらためて考えたことが、副業への挑戦に踏み出した一歩目でした。
「それ以前にもなんとなく副業に興味はあったものの、本格的に始めるきっかけとなったのは第二子の産休でした。久しぶりに仕事から離れてまとまった時間を持ったとき、ふと立ち止まって考えてみたんです。“今までフルタイムでずっと働いてきたけれど、子どもが生まれたこの先、子育てをしながらこれまでどおり仕事を続けていけるのだろうか……。”
本業以外の働き方も考えた方が良さそうだと漠然と思い始める一方で、まったく勉強したこともないデザインやプログラミングをこれから始めるのは難しそうだし、具体的に何をすれば良いんだろうと悩みました。そんなときに旦那さんの会社がYouTubeを始めることになり、動画編集を身近に感じるきっかけになりました。そして、“日常的に目に触れる身近な動画であれば、未経験からでも取り組めるんじゃないか”と考え、仕事になるか確信はない中でしたが、ひとまずやってみようという思いで、動画編集での副業を始めることに決めたんです」
Premiere Proは難しい?経験0からどう学んだか
動画編集での副業に興味を持ったあと、実際に編集方法や案件を探す中で、岩田さんはある共通点に気が付きました。
「『動画編集』と検索してみると、ほとんどの情報に“Premiere Pro”の文字が登場するんです。クラウドワークスで案件を探してみても、Premiere Proでの作業環境や納品が条件となっているものばかり。“これはPremier Proなら間違いないのだろう”と思いました。ソフトの値段はけっして安くはありませんが、趣味ではなく仕事としてやっていくために必要なお金は払おうという気持ちでPremiere Proの購入に踏み切りました」
ご自宅での作業スペース
「Premiere Proを使用するにあたって、もちろん難しい部分や立ち止まることはありました。ただ、Premiere Proを使うメリットの一つに、情報の得やすさがあると思います。ユーザーが多い分、解説している記事やYouTube動画も豊富ですし、アドビ公式のチュートリアルも用意されていて、初心者でも着実に解決することができます。私は特に、アドビ公式のチュートリアルからリンクされている『かふたろう』さんの動画にお世話になりました。初歩的な操作から丁寧にレクチャーしてくれていて、動画編集ワーカーとしてスタートを切るには十分なコンテンツがあると思います。
Premiere Proを使っていて立ち止まることは今でもありますが、調べ方もわからなくてお手上げということは今のところありません。GoogleやYouTubeで調べればなんとかなるという感覚です」
動画編集がついに“仕事”に。オンライン講座での体系的な学びが実を結び継続案件を契約
ただし、YouTube動画などから一人で学ぶことに限界もあると岩田さんは言います。Premiere Proを学び始めてから3ヶ月ほど経ったころオンライン講座に参加したことが、副業に向かうための突破口になりました。
「GoogleやYouTubeでは、自分が調べようとした情報しか得られないという難点があります。一度基礎を体系的に押さえておきたいと思い、Premiere Proを学んでから3ヶ月後、クラウドワークスが開講しているクラウドカレッジ動画クリエイターコースに参加しました。体系的なカリキュラムの中で、音声調整の重要性など、自分では注目していなかったポイントについても網羅的に知ることができました。グループ形式で学ぶことでほかのワーカーの技術や働き方を知れたり刺激を受けられたりした点も、一人での学びを飛び出してイベントやセミナーに開催してみたからこそ得られたことかなと思います」
クラウドカレッジでの学びが功を奏し、卒業後まもなく継続案件を契約することに。さらにデザインスキルとは関係ない、岩田さんならではの得意スキルを活かしています。
「なんといっても、実績が1つできたことがすごく嬉しかったですね。私にもできそうだという期待感と本当にできるのかなという不安が、“私にもできる”という確信に一歩近づいた感覚もありました。
また、自分では思ってもみない能力を求めてもらえることも分かりました。動画というと、こだわりある演出や独創的なデザインスキルが必要だというイメージがあるかもしれませんが、今やっているテロップを入れる作業においては、デザインスキルよりも、クライアントさんの意図に合わせて正確かつ素早くやるスキルの方が重要かと思います。これは私がこれまでに事務職で身につけてきた得意スキルです。
動画編集といっても実際にはさまざまな作業があって、デザインスキルに限らず、それぞれの得意なスキルを発揮できる分野があるということを知りました」
人生の選択肢を増やせているという感覚が気持ちのゆとりにも
その後およそ1年間半副業ワーカーとして活動を積み上げてきたことで、岩田さんの気持ちにも変化が生まれました。
「副業の良さは、自分の幅を広げることかなと思います。特に、働き方の選択肢が増えていくように感じています。
今パートをしている事務の仕事も好きですけど、小学生、中学生と子どもが成長してからもずっとパートで働くかといったら迷うところもあります。自宅でも稼げる自分のスキルを磨いておくこと、自信と実績を積み上げておくことで、いつか必要なときに変化できる選択肢が増えていくというところが副業の良いところだなと思います。状況に合わせて変化しても何とかなると自信を持てるようになることが嬉しくもあるし、気持ちのゆとりにもすごくつながっている感覚があります。
また、動画編集を始めるに当たって、スキルを勉強したり高い機材を買いそろえたりしないといけないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、はじめからいきなり大きく始めようとせず、やれる範囲から始めてみると良いんじゃないかと思います。私自身、今振り返ってみて、もっと設備やスキルがあればよかったと思わないわけではありませんが、それもやってみた今だから言えることです。やってみる中で、未経験からでもなんとかなることも分かりましたし、これまで事務で経理を行う上で培ってきた正確性や素早さがを求めてもらえることも分かりました。まずは自分自身が今できる小さな第一歩を踏み出してみることが大切だなと思います」
「本業以外考えられない」という人こそ、新たな一歩を
最後に、これから副業や動画編集に挑戦しようと考えている人に向けたメッセージをお尋ねしました。
「本業の中で上司や同僚とうまくいかないという悩みを抱えながらも“でも自分にはこれしかない”と思い詰めている人はたくさんいると思います。今そういった環境にある方に副業に挑戦してもらえると嬉しいですね。自分の幅は自分で広げられるんだ、自分のスキルでやっていけるんだという自信につながっていく感覚を知ってほしいなと思います。
動画編集というと、YouTuberのようなキラキラと華々しい側面をイメージされるかもしれませんが、実際には地道な作業の多い仕事です。私自身、本業は事務というすごく地味な仕事をしていて、その事務的なスキルが強みとして活きています。私みたいな普通の主婦でもできるんだということを知ってもらいたいですし、自分では思いもよらないスキルや経歴が武器になったり求めてくれる人がいたりします。“私には今の仕事以外に何もない。ほかに得意なことがない”と思っている人にこそ、動画編集での副業に向けて第一歩を踏み出してもらえればなと思います」
(記事協力:クラウドカレッジ)
(ライター: 泉翔悟 )