動画製品最新アップデート:検索やスペルチェックなど、更なる映像制作の効率化を図る新機能を追加

12月にリリースされたAdobe Premiere Proのテキストパネルでは、グラフィックス内の文字列も検索可能です。

現代のクリエイター、映像エディター、アニメーターは、グラフィックスがビデオに与えるインパクトを理解しており、アドビはそのためのツールを提供しています。Adobe Creative Cloudビデオアプリケーションの12月リリースでは、AdobePremiere Proのパワフルな文字ツールおよびシェイプツールの進化と、Adobe Character Animatorのパペットデザインやアニメーションの振り付けを迅速化する革新的な機能の追加によって、グラフィックス周りがさらに強化されました。また、Adobe Premiere Proのパフォーマンスの向上とワークフローの改善により、エディターがクリエイティブな作業に集中できるようになります。

Adobe Premiere Proの新機能

タイトルやグラフィックも対象にできる新しい検索およびスペルチェックツール

モダンなグラフィックツールで常識となっているツールの多くはアドビが先陣を切ったもので、その系譜は最新版Adobe Premiere Proにも引き継がれています。最近追加された「テキスト」パネルは、もともと自動書き起こしやキャプション制作ワークフローのために搭載されましたが、今回のリリースでは、シーケンス内のすべてのタイトルとグラフィックスを検索し、グローバルな検索と置換、およびスペルチェックをおこなう機能が搭載されました。これにより、数十から数百にのぼるグラフィックスがシーケンスに含まれていても、タイプミスや名前の表記間違いを簡単に修正することができ、大規模なプロジェクトでの作業時間を短縮できます。このようなテキスト検索に加え、テキストパネル上に表示される個々のグラフィックスをクリックすることで、シーケンス内でそのグラフィックスが使われているフレームに効率的に移動することができます。

また、新しいユニバーサルテキストエンジンの搭載により、1つのグラフィックオブジェクトに複数の言語やスクリプトを混在させながら作業できます。縦書きのスクリプトを使用する日本を始めとする東アジアのクリエイターも、右から左に書かれたスクリプトを使用する中東や南アジアのクリエイターも「エッセンシャルグラフィックス」パネルで必要なすべての操作を完結できます。

進化したシェイプツール

シェイプツールがアップデートされ、映像エディターやクリエイターは、グラフィックに多角形を追加する際に、サイズを正確にコントロールしたり、角丸を追加・調整したりすることが可能になりました。Adobe PhotoshopAdobeIllustratorなどのアドビデザインツールに慣れ親しんだユーザーは、新しくなったこのAdobe Premiere Proシェイプツールを使いやすいと感じていただけるでしょう。

パフォーマンスの向上

Adobe Premiere Proは、最新テクノロジー(英語)へのアクセスをユーザーに提供します。Apple M1 ProおよびM1 Maxシステム向けの新しいハードウェアアクセラレーションにより、4Kおよび8K ProResフォーマットのパフォーマンスが最大5倍になりました。高解像度のHEVCフォーマットも、macOS 12以降を使うすべてのApple Silicon Macで高速化されています。

ProRes transcoding on Apple M1 Max.

統合GPUを搭載したWindowsシステムにおけるディスプレイ技術の最適化により、すべてのフォーマットにおいて再生パフォーマンスが5%から40%向上しました。カラーマッチが30 %高速化され、ショットマッチのワークフローが高速化されたほか、さらに2つのエフェクトがGPUによる高速化に対応しています。

Adobe Character Animatorの新機能

パペットメーカーで独自のキャラクターの制作が素早くできるようになりました

アニメーションはビデオコンテンツへの視聴者のエンゲージメントを高めます。新搭載の「パペットメーカー」機能(英語)は、クリエイターがAdobe Character Animatorで独自のキャラクターを作成、カスタマイズ、アニメーション化するために必要なツールを提供します。これまでは、Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorでパーツをレイヤー分けしたパペットを作成してリギングするか、Adobe Character Animatorに用意されているパペットを使用する必要がありました。パペットメーカーを使えば、Adobe Character Animatorを離れることなくすぐに制作を始められ、さまざまなスタイルのキャラクターの自由なデザインをアプリケーション内で完結できます。

作成したキャラクターは、webカメラや外部接続したカメラを使い、自分の声や表情、身体全体の動きを使ってアニメーションさせることができます。パペットメーカーは、このような革新的なツールセットを、SNSへの投稿や説明ビデオのキャラクターなど、コンテンツにアニメーションを取り入れたいと考えているすべてのコンテンツ制作者に提供します。

テキストを使ったアニメーションの作成

最新版のAdobe Character Animatorは、アニメーターの選択肢をさらに新たな方向に広げます。新しい「文字起こしベースのリップシンク」では、Adobe Premiere Proの自動文字起こし機能で作成されたテキストを含む、テキスト台本や書き起こしテキストを使ってキャラクターの口の動きをアニメーション化することができます。この新機能は英語版でのみ利用可能で、Adobe Senseiの力により、より正確な結果が得られます。

After Effectsの新機能

最新のAfter Effectsには、上述の新しいユニバーサルテキストエンジンと、Maxon Cinema 4D R25のフルバージョンに対応した最新のCinema 4D Liteが含まれています。

ユーザーニーズを反映したツール開発のためのパブリックベータ版

アドビは成果にコミットしており、新機能がユーザーのニーズを確実に満たすことをアプリの正式バージョンのリリースの前段階でチェックしています。そのために必要なのがパブリックベータ版で、これは、ユーザーコミュニティに開発中の機能をご評価いただき、そのフィードバックを製品チームと共有することを可能にします。アドビのビデオおよびオーディオアプリケーションのベータ版ビルドは、Adobe Creative Cloudデスクトップアプリからインストールできます。

今回のアップデートの詳細については、Adobe Premiere ProAdobe After EffectsAdobe Character Animatorそれぞれの「新機能の概要」ページをご覧ください

この記事は2021年12月14日(米国時間)に公開されたPut more character into your video content: New tools for titles, graphics and animationの抄訳です。