ハイブリッドな仕事環境への適応にはテクノロジーの強化がカギ(未来の働き方に関する調査:ハイブリッドな職場)

リモートワークを余儀なくされたこの2年間はさまざまな課題がありましたが、リモート環境での作業やコミュニケーション、コラボレーションを可能にするツールがなければ、その苦労は桁違いに増えていたでしょう。

アドビが先日発表した調査レポート『The Future of Time: Hybrid Workplace(未来の働き方に関する調査:ハイブリッドな職場)(英語)』では、新たな働き方が主流となった新時代における課題や機会について考察しています。

この調査は、多くの企業がリモート主体の働き方からハイブリッド型へ移行した中、このような変化が人々の仕事やテクノロジーの役割に、どのように影響しているか明らかにすることを目的としています。本調査では大企業や中小企業で働く従業員と管理職1,400名を対象に、ハイブリッドワーク、テクノロジー、今後の生産性のあり方に関するアンケートを実施し、職場環境の変化が人にとって最も貴重な資源である「時間」にどのようなインパクトを与えているかについて調べました。

かつてないほど増しているテクノロジーの重要性

ハイブリッドワークでは、通勤時間の短縮やプライベートな時間の確保などリモートワークならではの恩恵を享受できるだけでなく、企業文化や共同体といった重要な職場機能を保つことも可能になり、多くの情報にアクセスする従業員にとって好ましい結果を生んでいます。

しかし、こうした変化にはそれなりの課題がつきもので、特にテクノロジー関連の課題が顕著でした。調査によると、自宅勤務と会社勤務のハイブリッドで仕事をする従業員や管理職は、トラブルシューティングやITシステムのセッティングに毎週5 時間から7時間を費やしていることがわかりました。ハイブリッドワークへの移行における最大の課題として、従業員の7割近くがセッティングやファイルコラボレーション、そしてトラブルシューティング(オフィスや自宅のWi-Fi環境が不安定、ハイブリッドで働く別の従業員とファイル共有が上手くいかないなど)といったテクノロジーの問題を挙げています。

一方で、現代の企業が抱える生産性に関する課題の解決に、テクノロジーが大きな役割を果たしたのも事実です。調査に回答した従業員の多くが、最新のデジタルツールがなければハイブリッドワークの実現は不可能だったと考えており、4人に3人が、デジタルツールの利用はハイブリッドワークへの移行に良い影響をもたらしたと回答しています。

ある企業の従業員は次のように述べています。「テクノロジーなしにはハイブリッドワークの実現は到底叶わなかったでしょう。私は、以前であれば会社のITスタッフに任せていたような作業を自ら自宅でやる方法を覚えなければなりませんでした。そのためのテクノロジーが整っていなければ、私の仕事は成り立ちませんでした。」

テクノロジーの強化で、従業員と管理職のギャップを解消

多くの企業がオフィス復帰に向けた新たな方針を展開するなかで、管理職と従業員のあいだにはこの動きに対する感じ方に明白なズレが生じています。さらに掘り下げて調査結果を見ると、このズレの一部はテクノロジーに起因することがわかります。アンケートに回答した従業員の3分の1が、上司が時代遅れのテクノロジーを利用していたり最新のコラボレーションツールを使いこなせていないために、仕事に支障が出ていると感じています。直属の管理職がある程度テクノロジーに明るいと考えている従業員は、半数にとどまっています。さらには、多くの従業員が、ITシステムの性能不足が時間のロスや生産性の低下につながっていると回答しています。

デジタルファーストかつフレキシブルな思考が社員にとって大きな武器になり得る、という点では、管理職と従業員のあいだで意見が一致しています。

両者とも、フレキシブルな勤務時間や有給休暇、病気休暇を活用し、オフィスの既存テクノロジーを強化することで、誰もがハイブリッドワークができるように推進することに賛成しています。しかし企業は、こういった施策が画一的に採用できるものではないという認識を持たなければなりません。リーダー陣は従業員の声に耳を傾け、どうすれば彼らの力を最大限に活かし、どのような仕事スタイルが会社の環境に最も合っているか理解することが求められます。

テクノロジーが離職率を抑えるカギ

これから先も、デジタルデバイド(情報格差)が「大退職時代」を推し進める大きな一因となるのは間違いないでしょう。例えば、転職先を検討する上で最新のデジタルツールを利用できるかどうかが重要な判断材料になると回答した従業員と管理職は、それぞれ72%と88%に上っています。また61%の従業員が同僚の退職によって「燃え尽き症候群」の悪化を経験しており、最新テクノロジーを利用できる環境にないと答えた回答者では、その率はさらに上がります。従業員の3人に1人が今後1年以内に転職を考えていると答えている今、企業はハイブリッドな職場の生産性を高め、そして人々が作業場所に関係なく、よりインパクトのある仕事ぶりを発揮できるように、テクノロジーの強化を検討することがカギとなるでしょう。こういった変革は今現在の課題ではなく、本来すでに行われていなければいけないことなのです。

詳細については、Adobe Document Cloudのwebサイト『Adobe Future of Time: Hybrid Workplace(未来の働き方に関するアドビ調査:ハイブリッドな職場)(英語)』から、ダウンロードいただけます。

本ブログは、2022年3月30日に公開されたブログの抄訳です。