Adobe MAX 2022: Adobe Lightroomを含むフォト製品の最新リリース
写真提供:Tomás Karmelo Amaya(Adobe MAX 2022ルミナリー兼Adobe Lightroomアンバサダー)
目次
- より進化したAI搭載のマスクツール
- 「コンテンツに応じた削除」による修復
- 各プラットフォーム版のアップデート
この記事では、本日アップデートが実施されたAdobe Lightroom製品群の新機能をご紹介します。これには、より簡単になったマスク作成ワークフローや写真内の不要な要素の除去が含まれます。また、AI搭載マスクツールの搭載により、モバイル版でのプリセットの適用もさらに簡単になりました。これらの強化のねらいは、ワークフローのさらなるスピードアップと、退屈な繰り返し作業の軽減です。
最新のアップデートは、Adobe Lightroom Win/Mac版、Adobe Lightroom Classic、Adobe Camera Raw(ACR)、iOS版、Android版、iPadOS版、ChromeOS版、web版として本日から段階的に提供を開始し、今週中にすべてのユーザーが利用できるようになる予定です。
より進化したAI搭載のマスクツール
「複数の被写体を選択」、「オブジェクトを選択」、「背景を選択」
Adobe Lightroom Win/Mac版、Adobe Lightroom Classic、ACR
2021年10月、私たちは選択調整のやり方を再定義する新しいマスクツール、「空を選択」と「被写体を選択」をリリースしました。これをさらに拡張するために、今回のアップデートでは、「複数の被写体を選択」、「オブジェクトを選択」、そしてワンクリックの「背景を選択」という新世代のマスクツールを追加しました。
「人物を選択」でブラシの適用回数を減らし、すばやく編集
新しい「人物を選択」を使えば、ポートレートの編集とレタッチがこれまで以上に簡単になります。Adobe Senseiを搭載したこのマスクツールは、あらゆるポートレートに写っている個人またはグループを検出し、高品質のマスクを生成します。顔の皮膚、体の皮膚、目、歯、唇、髪など、特定の体のパーツを選択することも可能です。「人物を選択」が提供する拡張インターフェイスを使えば、少ないクリック数とブラシストロークで必要な選択範囲をすばやく作成できます。
Adobe Lightroom Classicの操作画面(写真提供:Lisa Ngo)
Adobe Lightroomの操作画面(写真提供:Tomás Karmelo Amaya)
「オブジェクトを選択」で正確な選択
「オブジェクトを選択」は、Adobe Lightroomで最もすばやく柔軟にオブジェクトをマスクできるオプションで、狙った編集をシームレスにおこなうのに役立ちます。ブラシ選択ツールでオブジェクトをペイントするか、矩形選択ツールで周囲を囲むだけでAIが自動的にオブジェクトのエッジを微調整し、正確なマスクを作成します。
Adobe Lightroomの「オブジェクトを選択」のブラシ選択ツールで花の上にペイント(左)、その結果(右)
Adobe Lightroomの「オブジェクトを選択」の矩形選択ツールでクライマーを範囲指定(左)、その結果(右)
Adobe Lightroom Classicの「オブジェクトを選択」のブラシ選択ツールで看板の漢字をペイント(左)、その結果(右)
Adobe Lightroom Classicの矩形選択で釣り人を範囲指定(左)、その結果(右)
ワンクリックで背景を選択
以前は、いったん被写体のマスクを作成し、それを反転させることで背景を選択していましたが、今回のアップデートでは、AIがワンクリックで背景のマスクを直接生成してくれるオプションが追加されました。
Adobe Lightroomの操作画面(写真提供:Lisa Ngo)
Adobe Lightroom Classicの操作画面(写真提供:Lisa Ngo)
「アダプティブプリセット」にポートレート用が登場
Adobe Lightroom Win/Mac版、Adobe Lightroom Classic、ACR、iOS版、iPadOS版
2022年6月に、ワンクリックで簡単にAIマスクツールのパワーを利用できる新しいタイプのプリセットをデスクトップ版に導入しました。今回のアップデートでは、同じAI搭載のプリセット機能がポートレートに対応し、デスクトップ版とモバイル版両方で利用できるようになりました。
これらのポートレート用アダプティブプリセットを使えば、ポートレート全体をすばやく補正したり、「目を強調」「歯を白く」「眉を濃く」などのプリセット機能を使い、特定の特徴をワンクリックまたはワンタップで補正できます。
Adobe Lightroomモバイル版の操作画面(写真提供:Jojo Giltsoff)
「空を選択」「被写体を選択」対応のアダプティブプリセットがモバイル版で利用可能に
「空を選択」「被写体を選択」といったAI搭載マスクツールの力を、アダプティブプリセットを通じてモバイルで利用できるようになりました。Adobe Lightroomはワンタップで画像内の空や被写体を検出し、適切なマスクを作成します。
Adobe Lightroomモバイル版の操作画面(写真提供:Jojo Giltsoff)
マスク量スライダー(Adobe Lightroom Win/Mac版)
ローカル調整に適用される編集の強度を調整します。
マスク機能がより多くのデバイスに対応(Android版)
Androidデバイスのサーバー側サポートの導入により、これまで以上に多くのモバイルデバイスにAIマスク機能のパワーが提供できるようになりました。これにより、デバイスの性能(例:6GB未満のRAM)に関係なく、すべてのAndroidユーザーが、被写体と空のマスク作成にクラウドの力を利用することができます。
「コンテンツに応じた削除」による修復
Adobe Lightroom Win/Mac版、Adobe Lightroom Classic、ACR、iOS版、iPadOS版、Android版
「コンテンツに応じた削除」の追加により、Adobe Lightroomはこれまで以上に簡単に写真の修復や不要な部分の除去をおこなえるようになります。Adobe Photoshopと同じ「コンテンツに応じた」テクノロジーを使って、周囲のコンテンツをサンプルして画像に適したかたちで塗りつぶし、不要な箇所を削除します。また、この機能には、リフレッシュオプションと、キーボードコマンドでサンプリング領域を選択する機能が含まれており、より詳細なコントロールも可能です。
Adobe Lightroom で犬のリードを削除前(左)、削除前(右)
虎の頭と背中の奥にある木を取り除く前(左)、取り除いた後(右)
各プラットフォーム版のアップデート
Adobe Lightroom Win/Mac版
編集中の比較表示ビュー
比較表示ビューにいても完全な編集機能にアクセスできるので、画像を並べた状態で簡単に編集できます。
Adobe Lightroomの操作画面(写真提供:Benjamin Warde)
パフォーマンスの強化
GPUアクセラレーションにより、画像の読み込みが速くなり、書き出し時間が大幅に短縮されました。
Adobe Lightroom Classic
左右のパネルの入れ替え
Adobe Lightroom Classicのワークスペースがワークフローに合わせてカスタマイズ可能になりました。すべてのモジュールの左右を入れ替えることができます。また、現像モジュールだけ変更することも可能です。
Adobe Lightroom Classicの操作画面(写真提供:Venkatesh Penjuri)
ポータブルデバイスからの読み込みを高速化(Windows)
Windowsマシンで、携帯電話やタブレットなどの接続されたポータブルデバイスからのプレビューの読み込みと取り込みが高速化されました。
Adobe Camera Raw
マスキングカーブ
選択範囲だけにトーンカーブの調整を適用できる機能が追加され、編集に最適な色調を実現します。この機能は今回のアップデートでAdobe Camera Rawに搭載され、将来的にはAdobe Lightroomにも搭載される予定です。
Adobe Camera Rawのトーンカーブ調整適用前と後
ディスプレイのHDRサポート(テクノロジープレビュー)
新しいHDRサポートで、画像のハイライトを最大限に活用できます。HDRを有効にすると、HDR対応ディスプレイでハイライトをさらに詳細に視覚化し、編集することができます。この機能は、Adobe Camera Rawのテクノロジープレビューとして提供しています。
Adobe Camera Rawの操作画面(写真提供:Eric Chan)
Adobe Lightroom アカデミー
昨年のAdobe MAXでは、ユーザーの写真撮影・編集スキルを向上させるためのユニークかつ厳選されたインタラクティブコンテンツや動画が満載で、Adobe Lightroomコミュニティとのつながりや学び合い、インスピレーションの与え合いを促進するwebサイト「Adobe Lightroom アカデミー」をリリースしました。今回のアップデートでは、料理、旅行、夜景などの写真に関する新しいコンテンツを追加し、トピックがより簡単に見つかるようにレイアウトを一新しています。
今後数か月の間に、「Adobe Lightroom Essentials(Adobe Lightroomの基本)」、「Adobe Lightroom in Black & White(Adobe Lightroomにおける白黒写真)」、「From Still to Motion with Adobe Lightroom(Adobe Lightroomで静止画像をモーション化)」、「The Business of Photography(ビジネスフォト)」、「Photographic Essentials(写真の基本)」、「Visual Literacy(視覚的リテラシー)」といった記事が追加される予定です。
Adobe Lightroom web版
動画編集
Adobe Lightroom web版でも、画像と同じ編集ツールが動画にも使えるようになりました。
プリセット量スライダー
プリセットの適用量を調整することで、画像を最適な仕上がりにできます。
新機能の詳細
各Adobe Lightroom製品のアップデートや強化点については、以下の新機能ページをご覧ください。
Adobe Lightroom Mac版、Windows版、iOS版、iPadOS版、Android版、ChromeOS版
今週開催されるAdobe MAXでは、写真に関する素晴らしいワークショップやセッションが開催されますので、ぜひご参加ください。
この記事は2022年10月18日(米国時間)に公開された Photography at Adobe MAX 2022: New features for Adobe Lightroom and more の抄訳です。
- https://blog.adobe.com/jp/publish/2022/10/18/cc-design-photoshop-releases-major-update-selections-hole-filling-adds-share-for-review-collaboration-much-more
- https://blog.adobe.com/jp/publish/2022/10/18/cc-updated-creative-cloud-helps-you-create-with-precision-speed-collaborate-seamlessly
- https://blog.adobe.com/jp/publish/2022/10/18/cc-taking-collaboration-to-next-level-with-new-creative-cloud-features