2023年の日本のビジュアルトレンド:体験共有の喜びと個性の尊重
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パンデミックによる世界的な健康危機は最悪期を脱したとはいえ、まだ数年はその影響が続くでしょう。
あらゆる国や文化が、それぞれの方法でパンデミックの長期的な影響に順応しようとしています。ブランドメッセージやブランドビジュアルを調査することで、各国がどのようにパンデミックに対処してきたか、前進に向けどう取り組んでいるのかを知ることができます。
ステイホームは人々に打撃を与え、複数の調査で「パンデミック後に孤独感が増した」という結果が出ています。 日本の多くの人々も、他の国々と同様、長期間の在宅生活と社会生活からの隔離を経て再び社会に参加することを切望しています。
科学技術振興機構が日本在住の3,000人を対象に実施した調査では、47.8%の人が「以前より孤独を感じる」と回答しています。長期間にわたる孤独生活を考えれば、広告やブランディングのコンテンツでよく目にするビジュアルのテーマが、体験共有の喜びと自分自身の個性をより深く理解し尊重することの2点に絞られているのは当然といえるでしょう。
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チームワーク : 一緒に過ごすことの喜び
長期間の孤独生活を経て、人々は再びパブリックスペースでコミュニティや同僚と一緒に過ごすことを求めています。また、家族や親族を家に呼んで、休日や誕生日などの節目を共に祝うことを切に望んでいます。
昨年1年間は、さまざまなクリエイティブキャンペーンで、家以外のパブリックスペースで人々が一緒に働いたり、旅行に出かけたり、遊んだりする様子が表現されるようになりました。また、国内各社が社会生活への参加と事業活動や旅行業、サービス業への支援を訴えてもいました。
例えば、KFCの昨年のクリスマスコマーシャルでは、老若男女が大勢集まってクリスマスを祝っています。グリコは、「Share happiness! Pocky~分かち合うって、いいね!~」というキャッチコピーで親子が公園で仲良くポッキーを分け合うCMを作成しました。また、大成建設の広告でもチームワーク精神が強調されています。
このようにチームワークや親しい人と一緒に時間を過ごすことの喜びを表現する広告には、ライフスタイルの変化に加えて多様性も映し出されています。夢のような世界観のパルコのビデオクリップには、奇抜な衣装を着用したさまざま人種のモデルが登場しています。
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セルフセレブレーション : 自己容認の高まり
個人は何らかの集団の一員でありますが、日本では昔から、その所属先のアイデンティティに自己を同調させることこそ重要という風潮が強く根付いていました。しかし、パンデミックにより集団主義のような日本の古い固定概念は覆りつつあります。他者と隔離されて過ごすうちに、その人がその人である要素=個性を理解し認めようという考え方が広まったのです。最近のある調査によれば、日本のZ世代の約70%が「私らしさ」とは何かを理解しており、周囲にも受容されていると感じています。
この数年で、自分らしさに注目し理解するセルフアウェアネスの考え方が広がり、多様性の周知も相まって、Celebration of Self(自分自身の在り方を称える)の意識が高まってきています。ブランドメッセージにおいても、世代、属性、関係性を問わずあらゆる人が自分の個性に満足しポジティブに生きる姿勢が提示されています。
たとえば、資生堂の化粧品広告は「大人」世代の女性に向けて軽快なタッチで「年齢にとらわれず自分らしく生きていこう」とエールを送っています。
こういったポジティブな姿勢は広告や画像だけでなく、芸術全般でもジャンルを問わず表現されています。Billboardの最近の記事では、日本の歌手の自己受容と個性の礼賛について語っています。
さらに、今日のブランドイメージからも、日本社会に古くから根付くジェンダーステレオタイプ(性別に関わる固定概念)のようなものが衰退しつつあることが見て取れます。例えば、男性は以前に比べて多種多様な活動に従事し、千差万別のアイデンティティを謳歌する姿が描かれています。SNSでは男性の子育てインフルエンサーが急増し、工夫しながら日々育児に奮闘する様子がTikTokやInstagramなどで公開されています。
最近のある調査では、家事や育児を担う男性を支持する人の増加が見られ、回答者の38.4%が「夫も家事や育児を優先すべきだと思う」と答えています。
ファッション、美容、日用品などの家庭用品のブランドは、家事や育児に取り組む男性の姿を提示しています。
美容業界は、かつて「女性のためのもの」であった化粧品やエステの広告に多くの男性を起用しています。ミュゼプラチナムの広告はその一例であり、楽しさや気軽さを加味して従来の脱毛広告とは一線を画しています。
これからも私たちが未来に向かって進化し続ける限り、ブランディング、SNS、世界のカルチャーすべてに社会の変化が刻々と反映されていくでしょう。
クレジット:Adobe Stock / buritora、Adobe Stock / LGBTQ+、Adobe Stock / VICTOR TORRES/Stocksy、Adobe Stock / One
心を揺さぶるブランドイメージ
Adobe Stockのイメージクリエーターは常に新たな作品を投稿し続けており、所属するコミュニティの個性や自身の体験が今この瞬間も表現されています。Adobe Stockウェブサイトには、チームワークやセルフセレブレーションをはじめ多種多様なテーマの画像やクリエィティブコンテンツが豊富に揃っており、お客様のキャンペーンやプロジェクトをサポートする作品がきっと見つかります。ぜひAdobe Stockをご活用ください。
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この記事は2023年3月28日に Brenda Milis により作成&公開された2023 Japanese Visual Trends: Celebrating shared experiences and individual identitiesの抄訳です。