Adobe Acrobatとともにデジタル変革の30年を祝う
今から30年前 、アドビの共同創設者であるジョン ワーノック(John Warnock)博士と彼のチームは、人、コンピュータアプリケーション、システムの間で視覚資料をやり取りするという基本的な課題を見事に解決する方法を見つけました。元の書式を維持したまま、テキストや画像をデジタル共有できるPDF(Portable Document Format)と呼ばれるファイル形式と、Adobe Acrobatを開発したのです。
PDFとAcrobatは唯一無二とも言える発明でした。私有ソフトウェアやフォーマットが主流だった時代に、アドビはPDFの仕様をリリース初日に公開しました。そして誰もがPDFを作成、利用、処理できるようになりました。PDFを作成するAcrobatの技術は、プリントパイプライン技術をベースにしたもので、当時のどんなアプリケーションでもPDFを作成できました。つまり、あるアプリケーションが印刷可能な場合、確実にPDFを作成することができるのです。
PDFは、デジタル出版、コラボレーション、電子署名を可能にし、個人、政府、文化・教育機関は、文書の出版、共有、アーカイブを民主化できるようになりました。2008年、アドビはPDFのソースコードを公開し、「紙からデジタルへ」の革命を加速させ、仕事とプライベートを問わず、私たちの働き方を根本から変えました。あらゆる企業にとって、PDFは標準的なビジネスワークフローとなり、組織は最も重要な文書を伝達し、保存することができます。
現在、世界には控えめに見積もっても3兆以上のPDF文書が存在しており、日々新しいユースケースが登場しています。
いつでも、どこでもAcrobat
Adobe Acrobatは、PDFの利用、作成、編集、管理のためのグローバルスタンダードであり、アクティブユーザー数は毎月数億人にものぼります。
Acrobatは、デスクトップ、ウェブ、ブラウザ、モバイルデバイス、他のアプリケーションへの組み込みなど、場所を選ばず、働く人々をサポートしています。昨年、お客様は4,000億以上のPDFをAcrobat製品で閲覧などし、80億件以上の電子およびデジタル署名取引を実行しました。
さらに、Adobe ScanはiOSおよびAndroid上でスキャンアプリを牽引し、1億5,000万を超えるダウンロードを記録しており、約25億のドキュメントをこれまで作成しています。
今年2月、アドビとマイクロソフトは、Microsoft Edge上で14億人以上のMicrosoft Windowsユーザーに、AcrobatのPDF機能を提供することを発表しました。AcrobatはGoogle Chromeの推奨PDFビューアであり、1億回以上インストールされ、数十億のPDFが処理されています。
働き方を変える
Acrobatは、あらゆる規模やタイプのビジネスのデジタルワークを支えるエンジンです。
多くの起業家や社会人たちは、時間、リソース、予算に制約があります。しかしAcrobatを使えば、自宅オフィス、クライアント先、外出先から、電子署名の作成、編集、共有、依頼を、簡単かつプロフェッショナルに行うことができます。
Acrobatは、大企業から中小企業に至るまで、ビジネスクリティカルな文書の作成、利用、レビュー、承認、保護を、個別にも大規模にも実現する完全なソリューションを提供しています。
Acrobatは、PDFのセキュリティと認証においても信頼できるブランドです。 また、一般的な生産性アプリケーションと統合することで、働く場所を選ばず、安全でシームレスなコラボレーションを実現します。Acrobat APIを使用することで、企業は文書プロセスを自動化し、PDF内の貴重な非構造化データをビジネスに重要なインテリジェンスに変換することができます。
ここでは、数百万人のお客様のユースケースから、どのようにAcrobatを活用してビジネスを行っているかをいくつかご紹介します:
- HGTVの番組「100 Day Dream Home」に出演している、不動産起業家 ミカ クラインシュミット(Mika Kleinschmidt)は、顧客への請求書や業者への提案書、デザインのインスピレーションやムードボードを顧客と共有するなど、あらゆる用途でAcrobatを使用してビジネスを展開しています。
- 世界中の何百もの政府機関や自治体が、市民の体験をデジタル化するためにAcrobatを使用しています(米国50州含む)。例えば、カリフォルニア州のソノマ郡では、Acrobatを導入して50万人以上の住民のための行政サービスをデジタル化しています。
- 金融サービスやヘルスケアなどの規制の厳しい業界では、機密文書を安全かつセキュアに保ちつつ、迅速で透明性の高い、アクセスしやすい顧客体験を提供するためにAcrobatが使用されています。英国を拠点とする TSB銀行は、Acrobat を使用して、500 万人以上の顧客のためのデジタルファースト戦略を推進しています。
- エアバスのような企業の人事チームは、Acrobat を使用して、従業員の入社、福利厚生、業績評価、求人情報などのプロセスを合理化しています。
- インドのトップデザインスクールであるMITインスティテュート・オブ・デザインやテュレーン大学などの教育機関では、学生と講師のコラボレーション、入学や寄付手続きの合理化、教材のアップデートなどの活動にAcrobatが活用されています。
- AIシンガポールは、Acrobatのウェブサービスを活用して、様々なPDF文書に含まれる非構造化データの理解と抽出を自動化し、高度な自然言語処理モデルのトレーニングを行いました。
- Acrobatは、デジタルワークフローによって、さらに持続可能なビジネス成果をサポートします。Acrobatソリューションで作成、署名、共有、保存された文書は、紙ベースのプロセスと比較して、90%のコスト削減と95%の環境負荷の軽減を実現します。
カスタマーゼロ
アドビでは、Acrobatを使用して、ビジネス全体でデジタル文書のワークフローを実行しています。例えば、当社の 法務、営業、調達の各チームは、Acrobat を使用して、契約の完了所要時間と契約締結プロセスをスピードアップさせ、監査証跡、パスワード保護、より安全な配信により、契約書のセキュリティを向上させることができます。
デジタルドキュメントの未来を創造
アドビは、AIを活用したイノベーションによって、デジタルドキュメントの未来を創造し続けます。Liquid Modeは、アドビの人工知能(AI)と機械学習のプラットフォームであるAdobe Sensei上で動作する、画期的なモバイル読書体験ツールです。現在、Liquid Modeを使用して閲覧されたPDF数は、月間数億にものぼります。
また、先日発表されたPDF Accessibility Auto-Tag APIは、Sensei AIを使用して、PDFコンテンツをアクセシブルな情報に変換するプロセスを簡素化・拡張し、時間とコストを削減しつつも、法令遵守を強化し、より良い従業員体験と顧客体験を提供します。
私たちは、デジタルドキュメントの可能性を追求する新たな地平線に向かって、数十年にわたる経験、PDFを革新する比類のないレガシー、そして何億人ものお客様をアドビの旅にお連れできることを楽しみにしています。
※本ブログは、2023年6月15日に米国アドビブログで公開されたブログの抄訳になります。