マルチな分野で活躍するアーティスト Ta-ku が語る、インスピレーション、クリエイティビティ、生成 AI の未来
オーストラリアを拠点に、様々な分野でアーティストとして活動する Ta-ku は、彼が継承するマオリ、スコットランド、フィリピンの伝統からインスピレーションを受けて、クリエイティブ業界に強い印象を残しています。ストーリーテリングへの情熱からアーティストへの道を歩み始めた Ta-ku は、ビートメイキングで名をあげました。
しかし、これは彼のアーティスティックな領域の構築における、ほんの出発点に過ぎませんでした。自身の原点であるストーリーテリングへの情熱と共に、Ta-ku はクリエイティブディレクション、写真撮影、映像撮影から、デザイン、ビジネス、ファッションに至るまで、極めて広範なプロジェクトを通じて、創造性への渇望を追求してきました。現在の彼は、急速に拡大しているクリエイティブな帝国のキュレーターです。
この記事では、ニューアルバムのリリースを直前に控えた Ta-ku が話した、彼の作品を形づくっている個人的な体験を紹介します。また、生成 AI のような革新的な技術の台頭を踏まえたクリエイティビティの未来に対する彼の考えも聞きました。
Adobe Express を使用して作成された顔写真
あなたはレコーディングアーティストであり、写真家であり、クリエイティブディレクターでもあります。どのように現在の姿に至ったのでしょうか?
私は高校を中途退学した、移り気で飽きっぽい人間でした。若い頃は、クリエイティブでありたいと本気で思ったことはありませんでした。それが自分に可能だとは全く思っていなかったからです。
20 代の前半は DJ になりたかったのですが、それは上手くいきませんでした。そこで、ビートをつくり始めました。5 年間ほどひどいビートをつくっていましたが、とにかくそれにこだわり続け、やがて、独自の声とスタイルを確立し始めたのです。それが転機になりました。私は、クリエイティビティに取りつかれて、自分がどこまで行けるのかを実験して確認することに没頭しました。
その一環として、音楽のライブツアーをしていた頃にカメラを手にするようになり、写真芸術にも夢中になりました。それがやがて少しずつ、ビジュアルやクリエイティブディレクションへの総合的なアプローチへとつながっていったのです。
これまでのクリエイティブなキャリアの中で最高の瞬間は何でしたか?
シドニーのオペラハウスで一晩に 2 回公演して完売させた時だと思います。それは身に余る光栄でした。あれほど多くの人が自分のアートに共鳴するのを目にするのは、本当に素晴らしいことです。
これまでに制作した中から、お気に入りの作品について教えてください。それは何に触発されたのでしょうか?
もうすぐ発売されるデビューアルバム Songs To Come Home To です。このアルバムは、私たちみんなが自分自身の人生に向き合って、私たちを形づくってきた体験や選択を、郷愁に満ちた目線で振り返ることへの温かい歓迎であり招待です。「平和」「感謝」「尊重」の感覚を想起させる、音と映像の旅と言える作品だと思います。
これは、「家」が私たちに常に与えてくれる、おなじみの感情に触発されました。
クリエイティブな空間は常に進化しています。クリエイティビティの未来について、最もエキサイティングな点は何ですか?
そこに限界がないことです。私たちは先に進み続けるだけです。それが実に私の胸を躍らせます。制限や限界を感じるのは嫌いです。毎日新しい何かを学び続けたいと思っています。その方が、毎日同じ作業を繰り返すよりも好みです。
生成 AI は、現在のあなたの仕事にどのように関わっていますか?
私はビジュアル作品のあらゆる側面において、生成 AI を使っています。アイデアの始まりとしても、アイデアを進化させる方法としてもです。それは、私により多くの柔軟性と時間を与えてくれます!最も重要なのは、私に創造的な自由を与えてくれることです。それは、私のクリエイティブなワークフローを支援する、とても美しいツールです。
あなたのようなクリエイターにとって、将来的に、生成 AI の最大の可能性は何だと思いますか?
私にとっては、アイデアを生み出す際の手助けになる手段です。スタート地点が一番難しいのはよくある話です。インスピレーションが溢れ出たときには、何をどのように見せたいのか、あるいはどのように感じられるべきかを既にわかっているかもしれません。しかし、そこにたどり着くには時間がかかることがあります。生成 AI は、一瞬のうちに反応して、頭の中にある何かを明確にする工程を支援してくれます。これは恐ろしいほどに強力です!
クリエイターになりたい人へのアドバイスはありますか?
学び続け、新しいことに積極的に挑戦しましょう。一晩で何かが変わったりはしないとしても、何か新しいことを学び、それをクリエイティブなワークフローに使ったと確信して、毎日眠りにつくことは間違いなく可能です。私のようなアーティストにとって、それはとても大きな勝利です。
この記事は Multidisciplinary artist Ta-ku discusses inspiration, creativity and Generative AI(著者: Adobe Communications Team)の抄訳です
- https://blog.adobe.com/jp/publish/2023/09/14/cc-design-generative-ai-in-creative-cloud-is-now-generally-available-and-can-be-used-for-commercial-purposes
- https://blog.adobe.com/jp/publish/2023/08/31/cc-design-at-limbitless-ai-makes-everyone-visual-storyteller
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