Adobe Stock コントリビューターから学ぶ - 魅力が引き立つビデオ向けライティングの基礎知識
クレジット:Adobe Stock /SouthWorks
このブログ記事では、Adobe Stockのコントリビューターとして活躍するアーティスト達から、撮影や作品販売のヒントをご紹介します。今回はロンドンに拠点をおく映像制作ユニット SouthWorks がビデオ撮影時のライティングの基本を教えてくれました。
SouthWorks (Josh Martinさん とTom Osborneさん)
優れたライティングは、高品質な動画を撮影するために不可欠な要素です。ライティングの基礎を理解することで、潜在的な購入者を強力に引き付けるStockビデオを制作し、あなたのポートフォリオを強化しましょう。
幸いにも、もしあなたが写真撮影のライティングのスキルをすでにお持ちなら、ビデオ撮影向けのスキルの習得は簡単です。この記事では、自然光と人工光でそれぞれ豊富なビデオ撮影の経験を持つSouthWorksが、皆様のライティングスキル向上に役立つ選りすぐりのヒントやテクニックをご紹介します。
1.自然光でシンプルに撮影する
ビデオ撮影のライティングが初めてという方は、複雑すぎる調整は避けましょう。屋外なら太陽の下、屋内なら大きな窓のあるスペースといった、自然光がたっぷり入る場所でまずは撮影してみます。
光源の面積が大きいほど、照明は柔らかくなります。必要に応じて、スクリムやレフ板を使って強すぎる光を和らげたり、白いシートで光をバウンスさせ影を飛ばしたりします。間接的に日光が当たる場所でも撮影し、満足な仕上がりになるまでモデルの位置を調整してみましょう。自然光が豊富な環境で被写体の輪郭を際立たせる必要がある場合は、フラッグや黒いシートをネガティブフィルとして使用します。
また、日の出直後や日没直前の「ゴールデンアワー」と呼ばれる時間帯に屋外で撮影するのもお薦めです。この時間帯は陽光が低い角度から柔らかく差すため、金色の光を帯びた美しい映像を撮ることができます。太陽を被写体のバックライトに、そして白いシートをソフトフィルライトにて撮影します。手持ちで撮影すれば、被写体の後ろに太陽の光がちらちら見え隠れし、美しさが際立つ極上のコンテンツとなるでしょう。
「なぜ自然光で常時撮影しないのか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それは、常に安定した自然光を確保できないためです。つまり、天候の変化や時間の経過によって露出やカラーバランスが崩れる可能性があるということです。照明の計画を立てる際は必ず、天気予報と撮影の時間帯を考慮するようにしてください。
クレジット:SouthWorks
2.人工光は、種類ごとの長所と短所を考慮して使用する。
自然光が利用できない、または自然光が適さないビデオ撮影では、人工光を使用する必要があります。写真撮影では基本的にフラッシュ照明を使用しますが、ビデオ撮影では定常光の照明を使用します。
定常光とは文字通り、定常的に点灯する照明のことで、これにはLEDライト、タングステンライト、テーブルランプ、蛍光灯などが含まれます。中でもSouthWorksが好んで使用するのはLEDライトです。理由は、安価で持ち運びがしやすく、他のライトより熱くなりにくいからです。LED照明はモディファイア(調光用のアタッチメント)を装着したり、壁にバウンスさせた裸電球と組み合わせたり、あるいはスクリムを取り付けたり(私たちがよくやる手法です)して使用します。SouthWorksでは、さまざまな撮影環境、撮影条件に対応可能なAputure社のLED COBライトシリーズを使用しています。
クレジット:Adobe Stock/ Dario Lo Presti/Veris Studio
定常光を選ぶ際は、次のポイントを考慮します。
- 光の強さ: 撮影に十分な程度のパワーは必要ですが、出力が制御困難になるほどのパワーは不要です。
- 大きさと重量: 撮影場所までの運搬や撮影現場内での移動が簡単にできるかどうか確認します。
- 主電源の電力容量を圧迫しないか: 照明機器のためにヒューズ回路が作動し、撮影現場の電源が遮断されるような事態は回避しなければなりません(そんな馬鹿なことがと思うかもしれませんが、SouthWorksでも経験があります)。電源や、家庭用回路で複数の照明機器が使用可能かを必ず確認しましょう。
- 色温度: 光源によって、同じ被写体でも温かく見えたり、冷たく見えたりします。暖色系の照明ではオレンジや黄色味が強くなり、寒色系の照明では青味、白味が強くなります。これを数値で表したものが色温度(ケルビン)です。高品質の映像を撮影するために、すべての照明下で色温度を一定に保つようにしましょう。
- 使用可能なモディファイアの種類:出力や光量を増加させる機材、光の強さを和らげたり弱めたりするソフトボックスやスクリムなど、さまざまなモディファイアに対応しているか確認しましょう。
クレジット:SouthWorks
3.照明条件に合わせてカメラの設定を調整する。
個人的には、シャッタースピードで露出を調整する方法はお薦めしません。自然光で撮影する場合、カメラが十分な光を取り込み、適切な露出で撮影するには、ISO感度を上げる必要があるかもしれません。カメラは新機種になるにつれ、ISOの常用感度も高くなります。たとえばCanon R6では、ISO1600まで色再現性を損なわずに快適に撮影でき、ISO3200でも比較的少ないノイズで撮影できます。ご自身が使用するカメラのスペックに合わせて、設定や照明を適切に調整しましょう。
4.基本の3点照明で撮影してみる。
定常光による撮影では、複数のライトをどのように設置するか、その方法は無限にあります。SouthWorksがお薦めする方法の1つが、ライティングの基本といわれる3点照明です。この手法は被写体を適切に照らしつつ、影もコントロールできます。
具体的な方法は、次のとおりです。
- 被写体の後ろに窓または人工光のバックライトを配置します。これにより被写体を背景から分離できます。
- 被写体の前方斜め45度の位置にスクリムを挟んでメインのキーライトを配置します。
- 必要に応じて、壁やレフ板にバウンスさせたフィルライトをキーライトの反対側に設置し、影を和らげます。
クレジット:Adobe Stock /SouthWorks
購入する人に素通りされる作品になるか、それとも惹き付ける作品になるかは、ライティングで決まるといっても過言ではありません。自然光で撮影する場合は時間に余裕を持って、さまざまな時間帯、シートやスクリム、カメラ設定で撮影に取り組み、各要素が映像の仕上がりにどう影響するかを確認します。また、定常光での撮影も自宅で練習しましょう。照明機材やモディファイア、ポジションを変えて撮影してみることで、どの場所でも一定の撮影品質を担保できる自分なりの照明設定を確立できます。
今回ご紹介した基本をマスターすれば、いつでも自信を持ってライティングを設定し、高品質なStock映像を制作できるようになります。皆さまの素敵な作品をAdobe Stockで拝見できるのを楽しみにしてます!
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