ユーザーフィードバックの収集に役立つ 10 のベストプラクティス

Simona Toader によるイラストレーション

新しいサービスをデザインする場合も、既存のアプリを改良する場合も、それを使う人々を理解することが求められます。なぜ使うのか?何を達成したいのか?どんな環境で使うのか?あるいは、どこに使いづらさを感じているのか?そうした答えを知らずに、適切なデザインの判断を下すことはできません。

簡単に言うなら、ユーザーの視点から見る必要があるということです。そして、これを達成する最も単純な方法は、対象である人々から情報を直接収集することです。

ユーザーフィードバックは、デザインプロセスの重要な一部であり、ユーザーリサーチには欠かせない手法です。直接のフィードバックが無ければ、何がユーザーに有効で何がそうでないかを知ることは困難です。この記事は、適切で有益なユーザーフィードバックを収集するための 10 のベストプラクティスと、そのために利用できるいくつかのツールを紹介します。

1: 目的を定義する

フィードバックを集めるだけでは、デザインプロセスへの大きな貢献にはなりません。フィードバックは目的の達成に意味を成すものであるべきです。そのため、フィードバックを集め始めるよりも前に、以下の 2 種類の目的について検討します。

2: 質問と指標を明確化する

達成したいゴールを定義したら、ユーザーに尋ねる具体的な質問を考えます。オープンエンド方式の質問(例:この機能についてどう思うか?)、クローズドエンド方式の質問(例:毎日この製品を 1 時間以上使っているか?)、数値選択式の質問(例:全体の体験の評価はどの程度か?)の組み合わせになるよう検討しましょう。また、広い観点からの質問(例:全体的な体験を評価する)から、かなり具体的な質問(例:特定の側面や機能を評価する)まで用意することになるでしょう。

以下は、質問を選択する際に考慮することが、一般的に推奨される項目です。

以下は、フィードバックを収集する際に考慮される一般的な指標です。

3: 適切な人々を見つける

フィードバックを集めるための質問は重要ですが、フィードバックを求める相手も同様に重要です。適切な相手をターゲットにすることで、より正確なフィードバックを得られます。誰からフィードバックを集めるべきか確信が持てない場合は、対象ユーザーのプロファイル(ユーザーペルソナ)の定義から始めましょう。そして、プロファイルに適合している人々を、フィードバックを求める相手として選びます。

この件に関連する実践的なヒントをいくつか紹介します。

4: 段階に応じたフィードバックを求める

プロトタイプの段階と一般公開した段階の両方でフィードバックを収集することが推奨されています。しかし、それぞれの段階に応じて、ユーザーフィードバックへのアプローチは異なるものになるでしょう。

プロトタイプ段階のフィードバック

完成品が出来上がる前に、それがユーザーにとってどのように機能するかを確認するには、どうすればよいのでしょうか?幸いなことに、それはさほど難しいことではありません。すべきことは、対象となるユーザー層を代表する人々を招待し、プロトタイプを操作してもらい、フィードバックを集めることです。

Adobe XD のコメント機能はフィードバックを得るために利用できます。

Adobe XD のコメント機能はフィードバックを得るために利用できる 出典: Adobe

開発途中のアルファ版やベータ版がある場合は、フィードバックの仕組みをアプリに組み込むことが可能です。Instabug のようなツールを使うと、アルファ版やベータ版のテスト使用をするユーザーが、簡単にフィードバックを共有できるようになります。

Instabug を使えば、ユーザーは即座にフィードバックを提供できます。

Instabug を使えば、ユーザーは即座にフィードバックを提供できる 出典: Instabug

一般公開後のフィードバック

アプリを利用中のユーザーにフィードバックを求める場合は、タイミングがすべてです。フィードバックを求めることが、ユーザーの予期せぬものであったり、彼らがやりたいことを妨げるものであってはなりません。ユーザージャーニーの中で自然に一息つけるポイントを見つけ、邪魔にならない方法で質問するようにしましょう。

例えば、ユーザーがあるマイルストーンを達成した時(ポジティブな体験)、またはユーザーがアカウントをキャンセルしたい時(ネガティブな体験)のように、特定のアクションの後にフィードバックを求めるのは良い考えです。

5: コミュニケーション手段を考慮する

ユーザーとのコミュニケーションやフィードバックの収集に使えるチャネルは、近年大幅に増えています。しかし、チャネルによって、異なる目的に適していることには注意しましょう。

以下は、フィードバックを得るために使われる代表的なチャネルの特徴です。

一対一のインタビュー

インタビューは、ユーザーと直接関わりたい場面で優れた方法です。時間がかかりがちな側面はありますが、多くの定性的なフィードバックを得られます。これを、定量的なデータ分析のフォローとして実施するのは優れた戦略です。(例えば、ユーザーがある機能を他の機能よりも多く使用していることが分かったが、その理由が不明な場合)

アプリ/サイト内のフィードバック

ユーザーがアプリやサイトを操作している間に質問をして、フィードバックを得ることができます。これは、システムによって開始されるものと、ユーザーの特定の操作によって開始されるものがあります。すでにサービスやアプリを使用している人々に対して回答を求められるため、非常に有益なフィードバックを得られる可能性があります。サイトやアプリに簡単にフィードバック用のフォームを追加できる Qualaroo のようなツールが利用できます。

この方法を使う場合、フィードバック用フォームのデザインは退屈なものであってはなりません。下の画像のように、マイクロインタラクションを使って視覚的な興味をかき立て、楽しい体験をつくり出すことを検討するとよいでしょう。

フィードバックのプロセスにマイクロインタラクションを取り入れて楽しいユーザー体験をつくり出している。

フィードバックのプロセスにマイクロインタラクションを取り入れた例 出典: Bill Labus for Stripe

電子メール

電子メールもよく使われるチャネルの一つで、一般的には、ユーザーフィードバックを求めるアンケートページへのリンクをユーザーに送ります。アプリ内のフィードバックと比較すると、これは、正確に詳細を知るには、やや効果的ではないチャネルです。

人間の記憶は不確かであり、ユーザーに過去に起きたことを具体的に思い出してもらおうとすると、重要な詳細が抜け落ちてしまうことがあります。だからといって、メールからのフィードバックを無視するべきということにはなりません。具体的な何かを尋ねるよりは、一般的な、あるいは全体的な印象を知るためにこのチャンネルを使いましょう。メールに製品ブランディングや配色を直接再現すると、ユーザーの記憶をリフレッシュする効果があります。

優れたフィードバックのリクエストは、背景を説明し、必要な時間を伝え、インセンティブを提供する 出典: Nick Babich

ユーザビリティテスト

ユーザビリティテストは、全体的なユーザー体験を理解し、使いづらい箇所を特定するのに役立ちます。ユーザビリティテストは、社内で実施することも、オンラインで外部と実施することもできます。テストには、参加者にタスクを送信し、フィードバックを自動的に収集する Crazy Egg や Qualaroo などのツールを利用できます。

ユーザビリティテストの優れた点は、実施方法の柔軟性が高く、プロジェクトのニーズに合わせられることです。また、ユーザーのタスク完了を妨げている問題を直接見ることができるため、何を修正する必要があるのかを正確に把握できます。

ソーシャルメディア

ソーシャルメディアのモニタリングも、ユーザーの声を知るための優れた方法です。この情報は、製品の企画やマーケティングに役立てることができます。綿密な調査を行えば、ターゲット層のユーザーに響く適格なメッセージを見つけることもできるでしょう。

ソーシャルメディアをモニタリングすることでユーザーについて多くを学べる 出典: Nick Babich

6: ユーザー主導のフィードバックを誘う

フィードバックを求めるのは一つの方法ですが、中には自ら積極的に連絡してくるユーザーもいます。その内容は、特定の機能に対する不満や変更の要求かもしれませんし、新しい機能の提案さえも含まれているかもしれません。

オンデマンド型のフィードバックは、ユーザーが体験したその瞬間の考えや感情を伝えられるため、非常に価値のある気付きを得られることがあります。それにより、アプリのデザインにおける改善すべき点やその優先度に集中できるようになります。

ユーザーがいつでもフィードバックできる方法を提供することは、素晴らしい考えです。ユーザーがフィードバックできるフォームをデザインに組み込んで、ユーザーが体験のどの段階でも連絡できるような手段を検討してみましょう。

Slack が提供するオンデマンドのフィードバックでは、/feedback コマンドを使って、素早くチームにフィードバックを送信できます。

Slack が提供するオンデマンドのフィードバックは、/feedback コマンドを使って素早くチームにフィードバックを送信できる 出典: Nick Babich

7: 発見をデータで裏付ける

丹念に作成されたロードマップを手にしているとしても、変更作業に実際に費やせる時間に対し、変更したい項目が多過ぎるという状況は珍しいことではありません。その場合は、フィードバックから得たアイデアを裏付けるデータを収集すると、優先順位をより効果的に判断できます。

以下は、その具体的ないくつかの例です。

8: 定期的にフィードバックを集める

ユーザーフィードバックの収集は、1 回限りで済ませるべきではありません。新しいトレンドが日々生まれて、過去に集めたフィードバックはいつの間にか古くなるものです。すなわち、フィードバックの収集は、デザインプロセスの中核に組み込まれるべき作業です。定期的ユーザーと接することで、継続的にフィードバックを得られ、トレンドを把握してデザインの改善を行えます。

9: 分析したら行動する

ユーザーにフィードバックを求めたとしても、そこから行動に移せないのであれば意味がありません。そこで、集めたデータを分類し、優先順位をつけることが必要になります。

パレートの原則は、おおよそ 80% の効果は 20% の原因から生まれることを示唆します。プロダクトデザインの世界にあてはめるなら、80% のユーザーが 20% の機能を使うことを示唆します。すなわち、多くのユーザーに最大の価値を提供する適切な変更に対して、時間と労力を投資することが重要ということです。

コスト面から評価する場合は、これを方程式として、特定の変更に対する収益率を見積もることができます。

(変更により得られる収入 - 変更に費やした費用)/ 全体の費用 × 100

このスコアが高いほど、そのタスクの優先順位は高いと考えられます。

10: 双方向のフィードバックを実現する

定期的な改修を確実に行いたければ、ユーザーフィードバックは双方向のプロセスであるべきです。すなわち、ユーザーからのフィードバックを、デザインチームへの要求へと変えることです。これにより、収集されるフィードバックと提供されるサービスやアプリの間に因果関係が生まれ、継続的にフィードバックがデザインプロセスに統合されます。

このプロセスがもたらすメリットには以下のようなものがあります。

おわりに

顧客中心が当たり前になった現在の世界では、ユーザーからのフィードバックを集めることは、もはやオプションではありません。顧客の欲求や要望に寄り添えるかどうかは、サービスやアプリの成否を決めるでしょう。ユーザーからのフィードバックがあれば、正しい判断をしたのか、あるいは間違っていたのか、さらに、どの部分を改善すべきかを特定するのに役立ちます。

この記事は Collecting User Feedback: 10 Best Practices(著者: Nick Babich)の抄訳です