生成AIの活用でより多くの優れた成果を上げるクリエイティブプロフェッショナルたち
生成AIが変革をもたらすテクノロジーであることはすでに証明されつつあります。しかし、人間がAIを仕事や私生活のどこにどのように取り入れるかについては、まだ学ぶべきことがたくさんあります。
アドビのコアユーザーの一つであるクリエイティブプロフェッショナルたちは、この新しいテクノロジーが自分たちの仕事にどのような影響を与えるかに特に注目しています。デジタルチャネルやSNS、ライブやバーチャルのカンファレンス、ワークショップ、対話やリサーチを通じてクリエイティブプロフェショナルのコミュニティと関わる中で、私たちは楽観的な意見と、理にかなった懸念の両方を耳にしました。
最近アドビが行った調査では、企業のクリエイティブチームが生成AIによる恩恵をすでに数多く享受していることが、数値とともに示されました。米国、英国、ドイツ、フランス、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの2,541人のクリエイティブプロフェッショナルを対象としたこのグローバル調査では、生成AIを活用するクリエイティブプロフェッショナルが、コンテンツの作成速度と品質の向上だけでなく、やりがいのある本質的な作業に創作のエネルギーを集中できるようになっていることが明らかになりました。
生成AIの登場
生成AIツールが登場した当初は、それらがクリエイターに取って代わり、市場が凡庸な機械生成コンテンツで埋め尽くされるのか、それともプロフェッショナルの競合優位性を高めてくれる新たなツールとなるのか、というもっともな疑問が生じました。
生成AIはまだ比較的初期の段階にありますが、すでにクリエイティブプロフェッショナルの働き方に影響を与えています。彼らの5分の4以上(83%)が生成AIツールを仕事で使用しており、74%がプライベートでも使っていると回答しています。興味深いことに、勤め先やクライアントから何らかの生成AIの使用を求められていると回答したクリエイティブプロフェッショナルは、世界で20%でした。
クリエイターの成果向上
調査では、生成AIツールを使っているクリエイティブプロフェッショナルのうち3分の2(66%)が、より良質のコンテンツが作成できていると回答し、過半数(58%)が作成するコンテンツの量も増えたと回答しています。さらに、69%が生成AIは彼らのクリエイティブなアイデアを表現する新しい方法を提供するだろうと考えています。つまり、クリエイティブプロは生成AIを活用することで、より多くのプロジェクトに取り組み、優れた成果を出し、クリエイティブの幅を広げることができるのです。
国や世代によって異なる導入率
クリエイティブプロフェッショナルの生成AI導入率は世界平均で70~75%です。米国(87%)とドイツ(85%)のクリエイティブプロフェッショナルが生成機能を使っている可能性が最も高く、日本は49%と最も低い導入率となっています。
すべての年齢層が生成AIツールを試していますが、1996〜2012年生まれのZ世代(85%)と1981年〜1996年生まれのミレニアル世代(82%)は、1965~1980年生まれのX世代(62%)や1946年〜1964年生まれのベビーブーマー世代(38%)よりもはるかに高い割合でこのテクノロジーを利用しています。
- 全体として、生成AIの導入率が世界で最も高い層は、米国のZ世代とミレニアル世代で、それぞれ94%と92%です。
- 導入率が最も低い層は、日本のX世代とベビーブーマー世代で、それぞれ31%と19%です。
最も多いユースケースは写真と画像
クリエイティブプロフェッショナルが生成AIを使用する用途の第1位が画像作成であることに驚きはありません。生成AIを活用する米国のクリエイティブプロフェッショナルは、作成する写真や画像の78%に生成AIを使っています。一方、日本のクリエイティブプロフェッショナルが生成AIを使用しているのは、写真や画像、グラフィックの38%に過ぎません。
生成AIを使う理由
クリエイティブプロフェッショナルが生成AIに惹かれる理由は様々です。
- より効率的に作業するため:より多くのコンテンツを作成でき(42%)、作業の自動化で時間を節約できる(44%)ことが上位の理由として挙げられました。また、生成AIを使うクリエイティブプロフェッショナルの3分の2近く(62%)が、作業に費やす時間をすでに約20%削減できていると回答しています。また、将来的にはより効率的に仕事ができるようになると考える回答者はさらに多く、4分の3近く(74%)が生成AIによってコンテンツをより速く生成できるようになるとし、69%がデジタルコンテンツに対する需要の増加に対応できるようになると回答しています。
- 仕事を向上させたい:より質の高い作品を作りたい(45%)、アイデアを形にしたい(42%)、創造的なインスピレーションを得たい(43%)。
- プロとしての視野を広げる:新しいメディアを探求する(37%)、仕事を差別化する(32%)、新しいものに追いつく(32%)。
- そして最後に、約半数(45%)が「楽しみのために生成AIを使用している」と答え、約3分の1(31%)が「好奇心から使用している」と答えています。
クリエイティブプロフェッショナルが生成AIツールを選ぶ際、42%が「品質」を1位または2位の重要な要因としているのに対し、35%は「使いやすさ」をトップ要因として挙げています。
成功体験が信頼を生む
クリエイティブプロフェッショナルの大多数(66%)は、生成AIをある程度信頼していると回答し、3分の1以上(34%)は、この新しいテクノロジーを「強く」信頼すると表現しています。彼らが生成AIに信頼を置く要因の上位には、金銭面や生産性の向上によって自分のキャリアにポジティブな影響を与えると信じているから(1位)、ツール使用の初期から継続的に得られたポジティブな経験(2位)、ベンダーが強力なプライバシーおよびセキュリティポリシーを導入しているから(3位)、などがあります。
一般的な参入障壁
生成AIをまだ創作に活用していないクリエイティブプロフェッショナルにとって、その理由のトップは「どのように始めたらよいかわからない」(31%)でした。生成AIを使用しないその他の理由のトップは以下の通りです。
- 取り組んでいるプロジェクトや媒体の種類とは関係がない(29%)
- 倫理的・道徳的な懸念(25%)
- 時間がない(19%)
- 良いアウトプットを出す方法がわからない(16%)
調査結果全体をまとめると、クリエイティブプロフェッショナルにとって生成AIは、働き方を改善し、仕事の機会創出の拡大に役立つツールであることがわかります。初期の時点から、生成AIは作業のスピードを速めて簡素化し、成果の質と量を高めることを可能にしました。また、クリエイティブプロフェッショナルにとってスピード向上と効率化は大きなメリットである一方で、彼らは生成AIの使用によって新たな創造の境地を開拓し、思い浮かべたビジョンをより豊かに表現しています。ツールがより強力になり、アーティストが熟達を重ねて使いこなすようになれば、クリエイティブな表現と仕事の未来は私たちがまだ想像できない可能性へと開かれていくでしょう。
この記事は2024年2月2日(米国時間)に公開された Creative pros are leveraging Generative AI to do more and better work の抄訳です。