「Digital Textile Conference」にて生成AIセミナー実施。テキスタイルデザインへAdobe Firefly技術の活用を
2024年8月27日(火)、「Digital Textile Conference」にて、【クリエイティブのための生成AI「Adobe Firefly」とテキスタイルデザインへの応用】と題したセミナーを開催しましたのでご紹介します。
「Digital Textile Conference」は、ファッションビジネス学会デジタルテキスタイル研究部会が主催するカンファレンスで、今回の開催ではテーマに「デジタルテキスタイルの未来」を掲げています。サーキュラーエコノミー及びデジタルファッションについて、繊維・アパレル業界の視点で深掘りする講演や、技術から見た未来として、特許と生成AIを切り口にした様々な講演が行われ、多くの方にご参加いただきました。
アドビの講演にも多くの方に参加いただいた
アドビからは、わたし岩本と、プリント&パブリシング事業部 シニアOEMプロジェクトマネージャー 加藤統久が登壇し、昨今話題となっている生成AIについて、アドビの生成AI「Adobe Firefly」がどのような特徴を持ち、テキスタイルデザインにおいてどのような活用ができるのか、PhotoshopとIllustratorに実装された機能を中心にデモを交えて紹介しました。また、セミナー後半では完成したデザインを印刷するための最新のRIP技術を解説しました。
Illustrator、Photoshopの最新「生成AI」機能を紹介
プロンプトを入力するだけで、オリジナルのパターンが作れるIllustratorの「生成パターン(Beta)」と、アートワークの配色を変更できる「生成再配色」の紹介
最新のIllustratorには、Adobe Fireflyの技術を搭載した様々な生成AI機能が備わっています。まず始めに、プロンプトを入力するだけで、拡大・縮小や編集が可能なベクターパターンを生成できる「生成パターン(Beta)」をデモを交えて紹介しました。この機能を使うことで、デザイナーは瞬時に複数のオリジナルパターンを作成でき、従来のデザインプロセスを大幅に短縮しつつ、より多くのアイデアを効率的にデザインに取り入れることが可能になります。
また、作ったベクターイメージを製品パッケージやTシャツなどのオブジェクトに適用し、モックアップを簡単に作成できる「モックアップ(Beta)」機能を紹介しました。ラスタライズオブジェクトにベクターイメージを適用すると、Illustrator がオブジェクトの曲線やエッジに合わせて、グラフィックを自動的に調整します。平面で作ったイメージを簡単な操作で、Illustratorから離れることなくモックアップを作ることが可能です。
Illustrator「パターンの作成と編集」
https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/using/create-edit-patterns.html
Illustrator「モックアップを作成」
https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/using/create-art-mockups.html
Illustrator「生成再配色」
https://www.adobe.com/jp/products/illustrator/generative-recolor.html
Illustratorの「生成パターン(Beta)」に“効果”の設定を加えることでカスタマイズが容易に行える
Photoshopの「参照画像(Beta)」機能を紹介すると会場内から驚きの声が沸いた
Photoshopの生成AI機能として、バージョンアップした「生成塗りつぶし」と「生成拡張」をデモを交えて紹介しました。生成AIに参照する画像を指定できる「参照画像(Beta)」機能の紹介では、写真の女性の洋服が一瞬で変化した様子に、会場からは「おお…!」と驚きの声が上がりました。最新の生成AI機能に、手応えを感じていただけたのではないでしょうか。
IllustratorとPhotoshopの最新の生成AI機能についてはこちらのブログを参照ください。
2024年7月、PhotoshopとIllustratorがアップデート。新機能に加え生成AI機能が強化
https://blog.adobe.com/jp/publish/2024/07/24/cc-design-photoshop-illustrator-update2407
スクリーン上の生成AIのデモに参加者の視線が集まった
アドビが提供するハイエンド・商業印刷向けのRIP「Adobe PDF Print Engine (APPE)」とプリント技術を解説
プリント&パブリシング事業部 シニアOEMプロジェクトマネージャー 加藤統久によるアドビのRIPとプリント技術の紹介
加藤からは、アドビの製品やサービスに共通する技術基盤である「Adobe Common Core-Technology Framework」を紹介しました。このフレームワークにより、アドビの製品間でのカラーマネジメントが統一され、Adobe Print RIPソフトを実装したプリンターで安心して美しい出力が可能です。また、クロスプラットフォームの互換性が保証されるため、デザインから印刷までのプロセス全体が効率化され、品質の向上にも大きく貢献します。
また、アドビが提供するPrint/Scan Solutionsや、ハイエンド・商業印刷向けのRIP(Raster Image Processor)「Adobe PDF Print Engine (APPE)」を解説しました。最新のAPPE 6では、印刷機の能力を最大限に活用するための強化されたカラー処理コントロールが追加され、あらゆる種類のジョブで効率と再現品質が向上します。また、様々なテキスタイル・パッケージ業界向け機能を追加しており、テキスタイルの印刷分野での生産効率の最適化、そして柔軟な対応力を提供する重要なツールとなっています。
これらアドビのデジタルテキスタイル、パッケージ、ラベル印刷への対応については、下記サイトにて詳細をご紹介していますので、是非ご覧ください。
Adobe & Digital Textile Printing
https://www.adobe.com/products/textiles.html
Adobe & Digital packaging and labels printing
https://www.adobe.com/products/packageprint.html
Adobe PDF Print Engine 6の新機能
https://www.adobe.com/jp/products/pdfprintengine/whats-new.html
質疑の時間には生成AIに関する質問が参加者から寄せられた
展示コーナーでは参加者同士の活発なコミュニケーション
出展者と参加者のコミュニケーションで賑う展示コーナー
会場内には展示コーナーが設けられ、株式会社ベビーユニバースからセミナー講演とともにブース出展がされました。同社はグラフィック自動生成に特化したソフトウェア開発を行っており、多くのIllustratorのプラグインを開発・販売しています。
Illustratorの生成AIを使ってテキスタイルデザインを作成し、Illustratorでパターンメイキングをするためのプラグインソフト「iPM」を使った、柄と型紙が一体化したパターンファブリック制作が紹介されました。この工程により、衣類に印字するパターンを自由自在にコントロールすることができ、シャツの柄をピタリと合わせて仕立てる事も容易です。ブースでは実際にIllustratorの生成AIで作成したパターンで作られた衣類が展示され、多くの参加者の注目を集めました。
ベビーユニバースのブースに展示されたIllustrator「生成パターン(Beta)」でテキスタイルデザインを作成したシャツ。絵柄がピタリと合っていることが分かる
ベビーユニバース 代表取締役 五十嵐隆典氏、iPM担当 猪瀬由実子氏、アドビのメンバー
Adobe Fireflyの技術が搭載された生成AI機能は、テキスタイル業界において新しいデザインの可能性を広げるだけでなく、デザインの効率化と創造性の拡張を実現し、より柔軟なデザインプロセスを可能にします。デザインの反復作業を自動化するため、試作段階の時間とコストを削減するなど、クリエイティビティと効率性の両方を向上させる革新的なツールとして効果を発揮します。
是非これらの機能を日々のクリエイティブワークにご活用ください。