Adobe Firefly webアプリに動画生成(ベータ)機能が登場
プロのビデオ編集者やモーショングラフィックスデザイナーから、広告代理店の社員や個人事業主まで、あらゆるユーザーが、より速く、より良く、より効率的に自身のビジョンを追求するための新しい方法を常に模索しています。実際に、過去10年間、手間のかかる作業の削減やストーリーテリングの強化にAIをこう使いたいという素晴らしいフィードバックを皆さんからいただいています。それらのフィードバックは、この数か月間、私たちが魅力的かつユーザーフレンドリーなAdobe Fireflyの動画生成モデルである「Adobe Firefly Video Model」を開発する上で、設計の方針になり続けました。
2024年9月にこのモデルを発表して以来、私たちは一部のコミュニティリーダーたちに早期アクセスを提供しており、彼らはすでに生成動画ならびに人間の創意工夫の限界を押し上げる素晴らしい作品を、「テキストから動画生成」や「画像から動画生成」を駆使して作成しています。私たちはより早いアイデアの創出とその探索や、既存のフッテージへの要素の追加、さらにはタイムラインのギャップの補完といった形で、創造的な意図をより思い通りに表現できるように取り組んでいます。
私たちは、迷いなく制作を進められることがユーザーやそのクライアント、そして共同制作者にとって非常に重要であると理解しています。他のAdobe Firefly生成AIモデルと同様に、Adobe Firefly Video Modelは安全に商用利用できるよう設計されており、使用許可を得たコンテンツのみでトレーニングされています。アドビユーザーのコンテンツでトレーニングされることは決してありません。
それでは、生成動画のクリエイティブで新しい活用方法をみてみましょう。
Adobe Fireflyの「テキストから動画生成(ベータ)」機能
Adobe Fireflyの「テキストから動画生成(ベータ)」では、テキストプロンプトやさまざまなカメラコントロール、参照画像を使用して、タイムラインのギャップをシームレスに埋めるBロールを生成できます。
タイムラインに欠けているショットがあっても、もう問題ありません。詳細なプロンプトを使用して、プロジェクトの完成に向けた魅力的なインサートショットを生成できます。
予算が限られ、納期が短いチームにとって、撮影が難しいショットやコストのかかるショットのクリエイティブな意図を視覚化することは困難です。VFX作業に入る前、または撮影現場に戻ってショットを撮影する前に、Adobe Fireflyを使用してこれらのショットを視覚化し、計画することで、撮影班とポストプロダクション間のコミュニケーションを効率化することができます。
多くのユーザーから、視覚効果ショットの追加を予定しているタイムラインのギャップを埋められることが、ストーリーの構築を進めるうえで現場の支持を得ることに役立つと聞いています。もう「ここにショットを追加」という文字のプレースホルダーは必要ありません。視覚効果作業のガイドとなるよう、意図していることをより簡単に表現することができます。
Adobe Fireflyを使用して炎、水、光漏れ、煙などの雰囲気を演出する要素を生成して既存コンテンツに視覚的な奥行きを加えられるようになりました。コミュニティからは興奮の声があがっています。これらの要素を黒や緑の背景に生成し、Adobe Premiere ProやAdobe After Effectsなどのアドビツール内の描画モードやキーイングによって、既存のビデオに重ねることができます。
上の画像をAdobe Premiere Proの「スクリーン」描画モードで合成した例:
アニメーターやモーションデザイナーに意図を伝える場合、あるいは単独で作業するときでも、クリエイティブプロセスに着手する前にアイデアを練っておくことで、適切なスタイルを見つけるための試行錯誤にかかる時間を節約できます。
Adobe Fireflyの「画像から動画生成」機能
画像から動画生成では、テキストプロンプトと一緒に参照画像も利用できます。ビデオから1つのフレームを抜き出してアップロードするだけで、クローズアップなどの既存のコンテンツの補完ショットを簡単に作成できます。
また、既存の画像ライブラリにあるような静止画像から新たにBロールを作成し、動かすこともできます。
場合によっては、元のモーションや意図を変更することもできます。例えば、あなたが編集者で、あるクリップに含まれるアクションについて、再撮影を監督に提案したい場合、同じルックを維持しながら変更がストーリーにどう役立つかを視覚化することができます。
Before
After
プロンプト:手袋をはめた宇宙飛行士の手がフレームインし、黄色のケーブルの1つを抜く。シネマティック。
Adobe Fireflyにおけるプロンプト作成のコツ
Adobe Firefly Video Modelでは、カメラの寄り、アングル、カメラモーションなどの豊富なカメラコントロールを使い、より精密な動画生成が可能です。しかし、さらに良い成果を得るためには、より詳細なプロンプトが有効です。より詳細で説明的なプロンプトであればあるほど、Adobe Firefly Video Modelはより正確に、ユーザーが頭に思い描いたものを生成できます。
また、プロンプトを更新することで、さまざまな視点を探求できます。 ユニークな識別子である「シード」を利用すると、成功したプロンプトを起点に、素早く反復して作品を改善することができます。 シードは一貫した出発点を維持するので、ゼロから始めることなく、素早く新しいバリエーションを試すことができます。
プロンプトには、次の構造を使用してみてください。
ショットのタイプ+キャラクター+アクション+場所+スタイル
- 照明、撮影、カラーグレーディング、ムード、スタイルについてできるだけ多くの言葉を使って具体的に説明する
- あいまいな表現は避け、明確かつ詳細に説明する
- 具体的な動詞や副詞を使ってアクションを定義する
- 多くの形容詞を使って説明する
- 時間帯や天候などの時間的要素を含める
- 必要に応じてカメラの動きを追加する
- これを繰り返し行う
動画生成用プロンプトの作成に関するベストプラクティスについてはこちら。
クリエイターに寄り添ったAIイノベーションへの取り組み
アドビはクリエイターに寄り添ったアプローチにより、説明責任、社会的責任、透明性というAI倫理原則に従ってAIを開発しています。 またアドビには、何百万人ものユーザーが信頼を寄せるアプリケーションに、10年以上にわたり何百ものインテリジェント機能を導入してきた実績があり、今後もクリエイティブコミュニティを尊重し支援する形でテクノロジーをツールに統合していきます。
Adobe Firefly生成AIモデルは、Adobe Stockなどのライセンスコンテンツやパブリックドメインのコンテンツでトレーニングされており、ユーザーのコンテンツでトレーニングされることは一切ありません。
さらに、クリエイターがコンテンツの帰属表明と来歴証明を行えるコンテンツクレデンシャル機能を含め、お客様を保護するための革新的な取り組みを継続して行っています。アドビは、これからの時代においてクリエイターの信頼できるパートナーであり続けることを目指しています。私たちは、業界を超えて3,700人以上のメンバーがデジタルコンテンツの透明性を推進するために協力しているグローバルな連合、Content Authenticity Initiative(コンテンツ認証イニシアチブ、CAI)を共同設立しました。
私たちは、Adobe Fireflyを使って作成されたアセットにコンテンツクレデンシャルを付与し、コンテンツを扱う人や見る人が、それがどのように作成されたか、AIが関与しているかどうかを確認できるようにします。これにより、作成からオンラインでの配信まで、透明性の高い信頼の連鎖を確立することができます。
皆さんがどんな作品を制作されるのか、今から楽しみです。Adobe Firefly Video Modelにいちはやくアクセスしたい方は、こちらのウェイティングリストにご登録ください。
この記事は2024年10月14日(米国時間)に公開された Generate Video (beta) on Firefly Web App の抄訳です。