Adobe MAX Sneaksで発表された、写真、ビデオ、オーディオ3D制作を変革するプロジェクト
昨日、世界最大のクリエイティブカンファレンスであるAdobe MAXにて、写真、ビデオ、オーディオ、3D、デザインにおける最新の初期段階のイノベーションとエキサイティングな進歩を披露する「Sneaks」セッションが開催されました。アドビの開発者やサイエンティストたちのアイデアや技術のプロトタイプが9つのプロジェクトとして紹介され、来場者はクリエイティビティの未来を垣間見ることができました。共同司会を努めたのは俳優のオークワフィナ(Awkwafina)氏です。
今年のSneaksでは、クリエイティブなワークフローの再構築がもたらす無限の可能性に焦点が当てられ、クリエイターにこれまでにないスピード、正確性、パワーを与え、アイデアの探求をより容易にし、作業時間を数日から数分に短縮できるようなプロジェクトが発表されました。これらのプロジェクトのいくつかは、世界中の何百万人ものユーザーが信頼を寄せるアドビ製品の主要機能となる可能性もあります。
写真
- Project Perfect Blend: 人物やオブジェクトを別の画像に追加する際に必要な、カラーや照明、影などを調整して自然になじませるプロセスをより容易にします。前景をより鮮明にするための高度なマスク機能とカスタム背景の生成をサポートする生成AIが使われています。このプロジェクトでは、自然なブレンディングとリアルな影の投影に重点を置いており、よりスムーズで現実感のある仕上がりとなります。
- Project Clean Machine: 撮影用フラッシュや花火などの不要な閃光、または一時的にカメラを遮った物体を、写真や動画から簡単に削除することができます。動画内のフラッシュの閃光を検知して自動的に削除することもできるため、映像のクリーンアップに非常に便利です。
ビデオ
- Project In Motion: Adobe After Effectsのカスタムシェイプで作成したアニメーションを基に、「ピスタチオアイスクリーム」のように欲しいものを言葉で指定するだけでリアルな動画に変換します。生成AI搭載のこの機能があれば、新しいアニメーション制作ワークフローを開拓したり、初期のラフなAdobe After Effectsプロジェクト内のテキストをアニメーションに変換することができます。さらに、プロンプトと併せてスタイル参照画像を使い、ミックス&マッチすることで、独自の映像スタイルを確立することもできます。
- Project Know How: デジタル空間と物理空間の両方で損なわれないコンテンツクレデンシャルの耐久性を示すことで、コンテンツの来歴証明の未来像を描くプロジェクトです。コンテンツクレデンシャルに含まれるメタデータが特定され、削除された場合であっても、フィンガープリントと電子透かしにより、ユーザーは動画や画像の出所を元のソースまで迅速に追跡することができます。このプロジェクトは、アドビがあらゆる形態のコンテンツにおいて信頼の構築と透明性の促進を継続的に支援していることを示すものです。
ベクター
- Project Turntable: この機能を使うと2Dベクターアートを簡単に3Dで回転させ、どの角度でも2Dアートとして成立させることができます。 ボタンをクリックし、スライダーをドラッグするだけで、まるで3Dオブジェクトを操作するようにグラフィックを回転させることができます。 最大の利点は、回転後のベクターグラフィックが元のシェイプとの整合性を保ち、デザインのエッセンスが失われないことです。
オーディオ
- Project Super Sonic: プロンプトを使うか、あるいはプロンプトは使わず動画内のオブジェクトをクリックすることで、サウンドを生成することができます。サウンド発生のタイミングを自分の声でコントロールできる、非常に直感的な機能も備えています。また、タイムライン上に直接サウンドを追加してレイヤー化したり、背景と前景のエフェクトをミックスしたり、さまざまなプロンプトのバリエーションから選択して、最適なサウンドを作成することができます。動画に完璧にフィットするカスタムオーディオを追加して動画をさらに強化できる優れた機能です。
3D/デザイン
- Project Scenic: プロンプトを使って3Dシーンレイアウトを生成することにより、2D画像の生成をより容易にします。このツールは、カメラを制御し、個々のオブジェクトの微調整に役立ち、画像生成プロセスをガイドします。このシステムは、レイアウトやカメラビューの調整の試行錯誤を減らし、3Dシーンをより正確に編集できるようにします。さらに、「リージョナルプロンプト」により、画像内の特定のオブジェクトだけに変更を加えることができます。
- Project Remix A Lot: スケッチを元に洗練されたデザインを作成する作業が驚くほど簡単になります。このツールでは、ラフなアイデアから始め、1枚のインスピレーション画像を使用し、それを洗練させていくことができます。このクリエイティブなプロセスを生成AIがガイドし、さまざまなシェイプ、サイズ、あるいは不規則なシェイプにフィットするようにデザインを調整します。まるで、スケッチを編集可能なグラフィックに変換し、異なる作品すべてで統一したスタイル感を維持してくれる、パーソナライズされたクリエイティブアシスタントがいるような機能です 。
- Project Hi-Fi: 画像作成のゲームチェンジャーとなり得るプロジェクトです。スクリーン上の任意の領域のキャプチャをガイドとして使い、生成AIで高品質な画像をすばやく作成することができます。これらの画像は、Adobe Photoshopに読み込んで編集することもできます。高度なモデルを活用することで、Project Hi-Fiは生産性と創造性を向上させ、リアルタイムのAI技術により、スクリーン上のコンテンツを細部にこだわったビジュアルに変換します。シームレスな方法で、デザインコンセプトを洗練された画像に変換することができます。
Sneaksセッションの全編はこちらでご覧いただけます。
この記事は2024年10月16日(米国時間)に公開された New Adobe MAX Sneaks transform photo, video, audio, and 3d creation の抄訳です。