デザイン効率化の新常識!Illustrator の生成塗りつぶし(シェイプ)の活用テクニック #Fireflycamp
生成塗りつぶし(シェイプ)は、Adobe Illustrator に搭載された最新の Adobe Firefly 機能です。2023 年 11 月 22 日に開催された Adobe Firefly Camp では、デザイナーのタマケンさんをゲストにお迎えして、生成塗りつぶし(シェイプ)の特徴を活かした日々のデザインワークに役立つ活用方法を、 3 つの具体的なシーンを題材に紹介してもらいました。
このブログでは、イベントの模様をダイジェストでレポートします。また、記事の最後に、番組内で参加者からいただいたご質問への回答をお伝えします。
番組 MC はアドビの Adobe Firefly 製品担当轟啓介さんと、アクセンチュアのデザイナー木村優子さんです。実際のイベントの様子や詳細な内容は、ぜひ下記のリンクからアーカイブ動画をご覧ください。
デザイン効率化の新常識!Illustrator の生成塗りつぶし(シェイプ)の活用テクニック
今回の Firefly Camp は、なんと千葉のキャンプ場からのライブ中継で行われました!おなじみのワーゲンバスを背景に、焚き火やキャンプギアに囲まれた開放的な雰囲気が素敵でした。 ゲストのタマケンさんは、4 月に開催された第 2 回 Firefly Camp『Photoshop の「生成塗りつぶし」を文字の加工に活用しよう!』に続き、2 度目の Firefly Camp 登壇です。(大好評だったタマケンさん登壇回のアーカイブ動画はこちら)
左からゲストのタマケンさん、MC の轟さんと木村さんです
タマケンさんは、前半で Illustrator の Firefly 機能の使い方全般をおさらいし、後半でその中から[生成塗りつぶし(シェイプ)]を掘り下げて解説してくれました。
今回は Illustrator の Firefly 機能全般と、[生成塗りつぶし(シェイプ)]を紹介してくれました
現在、Illustrator の Firefly 機能には、以下の4つがあります。
- ベクター生成
- 生成パターン
- 生成再配色
- 生成塗りつぶし(シェイプ)
❶ の[ベクター生成]は、プロンプトに入力したテキストからベクターイラストを生成する機能です。生成するコンテンツの種類を[被写体][アイコン][シーン]から選べ、背景やシンプルなアイコン風のイラストを描くことができます。また作品に、[落書き][ピクセルアート][コミック]などの効果を追加して、さまざまなテイストに変化させることも可能です。
[ベクター生成]は、プロンプトからイラストを生成する機能です
❷ の[生成パターン]は、プロンプトによって編集可能なベクターパターンを生成する機能です。カラープリセットを選択したり、パターンに含める色数を指定したりできるだけでなく、エフェクトプリセットから[幾何学][フラット][落書き]などを選択して、テイストを変化させることも可能です。生成されたパターンは背景として使いやすく、デザインに華やかな彩りを加えることのできる便利な機能です。
プロンプトに「アールヌーヴォーの花柄」を入力して生成したパターンの例です
❸ の[生成再配色]は選択されたイラストやオブジェクトに対してプロンプトを入力することで、配色を生成してくれる機能です。季節に合わせた色変えや、ロゴやパターンのカラーバリエーション作成にも便利な機能です。
プロンプト「春の柔らかいピンク」で[生成再配色]を行った例です
➍ の[生成塗りつぶし(シェイプ)]は、入力したプロンプトを元に、あらかじめ作成した形(シェイプ)を塗りつぶすようにベクターイラストを生成してくれる機能です。生成したい範囲を指定できるため、デザインに合った形状を容易につくり出せる実用的な機能です。
[生成塗りつぶし(シェイプ)]を行うことで、狙った形のベクター画像が生成できます
さらにタマケンさんは、この[生成塗りつぶし(シェイプ)]の機能の活用法として、以下の 3 つを紹介してくれました。
- フレームのデザインに活用
- ロゴのデザインに活用
- 文字のデザインに活用
このブログでは、この中からフレームのデザインに[生成塗りつぶし(シェイプ)]を使う方法に絞ってレポートします。その他の活用法や、上記の機能について見たい方はぜひアーカイブ動画でご確認ください。
前述のとおり、[生成塗りつぶし(シェイプ)]は、あらかじめ用意したオブジェクト(シェイプ)の形でベクターオブジェクトを生成してくれます。この形状をフレームのデザインに活用すると、複雑で華やかなフレームを簡単に作成できます。
左のオブジェクト(シェイプ)の形で、右のようなフレームを描いてもらうことができます
デザインの中で「ここにフレームがあるといいな」と思う場面は少なくありません。しかし自分で 1 から描いたり、素材集を探すのは意外と時間がかかるものです。たとえば、下の画像の周りにフレームをつくる場合です。
楽しそうな HAPPY Birthday の文字とイラストの周りにフレームをつくっていきます
まず、欲しいフレームの形を描きます。ここでは元の文字部分に合わせて楕円形を描き、長方形のオブジェクトに重ねて[複合パス]でひとつのオブジェクトにしておきます。
つくりたい形(シェイプ)のオブジェクトを作成します
オブジェクトを選択した状態で、[生成塗りつぶし(シェイプ)]のプロンプトに「花のフレーム」と入力します。[シェイプの強度]は最も高く設定しておきます。その他はデフォルトのままです。
プロンプトに「花のフレーム」と入力します
すると指定した形通りにフレームが描かれます。文字に重ねてみるとぴったりですね。Illustrator の Firefly 機能はベクターデータが生成されるので、不要なオブジェクトを取り除いたり、色を調整したりするのが簡単です。
指定した形のフレームができました!
また、[フラット]や[落書き]などの効果を加えるだけで、さまざまなテイストのデザインのフレームを生成できます。短時間で華やかなデザイン効果をつくり出せるのは、Firefly の大きな魅力ではないでしょうか。
最後に
急速に進化を続ける Adobe Firefly の使い方や、デザインに活用するためのヒントを伝えるために今年 3 月からスタートした Firefly Camp ですが、今回が最終回となりました。
MC の轟さんは、「おかげさまでご好評いただいているので、また暖かくなった頃にバージョンアップして Firefly の魅力をお届けしたいです」、木村さんからは「毎回使い方のヒントがもらえるので、本当に勉強になりました」との言葉がありました。
Firefly Camp のシーズン 2 にもぜひ期待したいですね。 このブログも 10 ヶ月にわたってお読みいただき、ありがとうございました。
アフタートークでは、山から降りてきた?コネクリさんも飛び入り参加していました
番組参加者からの質問への回答
Q: 理想のデザインにならない時はどうしてますか?
A: プロンプトや効果の設定だけでは、どうしても理想に近づけないケースがあります。そういう時は「スタイル参照」を活用しましょう。1 つ理想とするベクターや画像を用意し、それを読み込むことで理想のデザインに近づけることができます。
Q: プロンプトの内容と効果の設定はどちらが重要ですか?
A: 初めはプロンプトだけで生成することをおすすめします。その後、プロンプトだけでは表現できなかったスタイルを、効果で設定してみましょう。プロンプトと真逆の効果を設定すると、どちらが優先されるか気まぐれなことがあります。あまり AI を混乱させないように指示しましょう。
Q: やっぱりプロンプトは英語の方がいいのでしょうか?
A: 日本語が英語に翻訳されてから生成されるので、日本語がうまく伝わらないケースもあります。日本語でうまく生成できない時は、英語を試してみるのもおすすめです。英語が得意な方は、初めから英語を使うのもいいと思います。
Q: プロンプトが同じだと、生成されるイラストは同じものになりますか?
A: 全く同じものは生成されません。似たイラストが生成されることもあれば、全く違うイラストになる時もあります。
Q: 生成塗りつぶし(シェイプ)の結果はどの程度そのまま使えそうなクオリティという印象でしょうか?直したくなるとしたらどんな点が多いですか?
A: クオリティは向上していますが、個人的には、そのまま何も手を入れずに使うことは少ないです。直線で表現したいところが少し歪んでいたり、つくるデザインに合わせて色を自分で調整したりすることが多いです。
Q: 装飾が多くアクが強めなイラストになることが多い気がするのですが、シンプルで軽いタッチにしたいなどの場合、タッチやテイストを指定すると、うまく生成してくれますか?(表現が難しそうではありますが…)
A: ディティールの調整や、色数指定、効果の設定を使うことで、シンプルで軽いタッチも表現できます。
Q: 生成した画像が印刷に耐えられるものにするにはどのような設定をするといいでしょうか?
A: Illustrator で生成したイラストは全てベクターなので、どのサイズの印刷にも耐えられます。
Q: 一期一会ですが、生成した結果を活かしつつそこに少し加えて再生成することはできますか。
A: Illustrator の「生成塗りつぶし(シェイプ)」は、Photoshop の「生成塗りつぶし」のように、上から生成を重ねていく方法には不向きな機能です。バラバラに生成したものを組み合わせていくことはできますが、生成したイラストの上から新たな要素を生成しても綺麗に馴染まないことが多いです。