生成画像をレタッチすればもっと使える!Adobe Firefly でバナー制作を加速しよう #Fireflycamp

Adobe Photoshop がアップデートされ、「画像を生成」や「参照画像」などの生成 AI 機能が使えるようになり、精度の高い画像生成が可能になりました。しかしそれでも細部までイメージ通り!という画像を生成するのは難しいことです。

2024 年 8 月 25 日に開催された Adobe Firefly Camp では、デジタルクリエイターのパパさんをゲストにお迎えし、生成した画像にレタッチを加えることで狙ったイメージに近づけていく方法を紹介してもらいました。

このブログではイベントの模様をダイジェストでレポートし、番組内で参加者からご質問いただいた項目への回答をお伝えします。

番組 MC はアドビの Adobe Firefly 製品担当轟啓介さんと、アクセンチュアのデザイナー木村優子さんです。実際のイベントの様子や詳細な内容は、ぜひ下記のリンクからアーカイブ動画をご覧ください。

Firefly トピックス

まずはアドビの轟さんが、急速に進化を続ける Firefly の最新情報や活用のヒントを紹介してくれる『Firefly トピックス』のコーナーです。

今回のトピックスは、7 月 24 日にアップデートされた Adobe Illustrator と Photoshop に追加された Firefly の機能についてです。いずれもベータ版の時点で Firefly Camp でも紹介されていますので、詳しくはアーカイブ動画『Adobe Firefly 徹底攻略!Photoshop の新機能で生成結果をイメージに近づけよう』または、『ロゴやアイコンを素早く形にしよう!ここまで進化した Illustrator の生成 AI 機能』をご覧ください。

Firefly Image 3 Model が搭載され、生成画像のクオリティが大幅アップ!

Illustrator にも 3 つの Firefly 機能が追加されました

生成画像をレタッチすればもっと使える!Adobe Fireflyでバナー制作を加速しよう

さて、ここからはパパさんの登場です!

パパさんは、Adobe Community Evangelist でもあり、SNS を中心に Photoshop の作品メイキング、チュートリアルを投稿しているフリーランスのデジタルクリエイターです。SNS 上では段ボールをかぶった姿ですが、今回は素顔で登壇です!

アドビ製品に精通したエバンジェリストのパパさん。Photoshop の著書も多数あります

今回は、バナー用の画像をつくるために Photoshop の Firefly をどのように使ったらよいか?というテーマで、以下のポイントを解説してくれました。

① 画像を生成の基本的な使い方

② 生成拡張で見切れた画像を復元

③ 合成写真の接地面

④ 不要な物の削除

いずれもすぐに試したくなるような実用的な内容でしたが、今回のブログではこの中から ③ の『合成写真の設置面』に絞って紹介しましょう。これ以外のポイントも知りたい方は、ぜひアーカイブ動画でご確認ください。

香水のバナー広告をつくるために、まずは背景となる花びらの画像を生成します。

プロンプトは「台の上に積もるピンクの花びら 淡い背景 ピンクの花びらが舞う」で生成しました

続いて香水のボトルの画像をコピー&ペーストで合成します。切り抜いた画像を重ねただけなので、宙に浮いているような印象になっています。

商品の香水ボトルを切り抜いて重ねます

生成 AI 以前の時代であれば、ボトルのレイヤーにマスクを作成して花びらの重なった部分を消していくのが一般的なやり方でした。この方法は今でももちろん使えますが、きれいに消すにはそれなりの時間とテクニックが必要です。

パパさんはさくっと消していましたが、慣れていない人にはちょっと難しいかも?

生成 AI の機能を使う場合は、接地している付近を[なげなわツール]で囲んでざっくりとした選択範囲をつくり、[生成塗りつぶし]をクリックするだけです。プロンプトは入力しません。

ボトルの下部を少し大きめに囲んで選択します

マスク表示にするとこのようになります

するとボトルと重なって花びらが描かれ、ボトルが少し埋まっている状態になりました。花びらが足りない場合は、さらに[生成塗りつぶし]を繰り返します。このとき、先に行った[生成塗りつぶし]を取り消してやり直すよりも、新たな選択範囲を作って[生成塗りつぶし]を重ねて繰り返す方が、狙った場所にお好みのボリュームで花びらを追加することができるそうです。パパさんもこの方法で何度か[生成塗りつぶし]を重ねました。

花びらの中にボトルが少し埋まったような、自然な接地面ができました

パパさんは、さらに背景のレイヤーを複製してボトルの画像の上に配置し、ボトルに重なる位置にある花びらをいくつか[オブジェクト選択ツール]でクリックして選択し、[レイヤーマスク]ボタンをクリックして花びら以外の部分をマスクしました。これでボトルの前にも花びらが舞うような、奥行きのある演出が加えられます。

背景のレイヤーを複製して重ね、花びら以外の部分をレイヤーマスクで隠すと、ボトルの手前に花びらが!

最後に花びらの数を調整し、ブランドロゴやテキストを配置すれば、高級感のあるバナー画像が完成です。

設置面や、ボトルに重なる花びらの表現で奥行き感が増し、美しく仕上がりました

最新バージョンの Photoshop では、生成 AI の精度も格段に上がっています。しかしそれでも「もうちょっとこうだったら……」と思うケースは多いでしょう。生成 AI の画像に従来の Photoshop の機能を組み合わせてほんの少しの手間をかけるだけで自分のイメージに近づけたり、商業レベルのクオリティに仕上げることも可能だという、パパさんのデモンストレーションでした。

Firefly デザインチャレンジ

続いて MC の木村優子さんが、5 分で Firefly を使ってチャレンジをする『Firefly デザインチャレンジ』のコーナーです。

今回は最新の製品版で正式リリースとなった、Illustrator の「生成塗りつぶし(シェイプ)」の機能にチャレンジしてくれました。

「生成塗りつぶし(シェイプ)」は、選択したオブジェクトの範囲に合わせて線や色を生成する機能です。プロンプトだけで絵を描くことも、元になるイラストや文字を美しく整えることも可能です。実際にどのような使いかたができるのか、3 つの例を見せてもらいました。

まずは Illustrator で描いた図形の中に、[生成塗りつぶし]の機能でイラストを生成した例です。図形の形に合わせて描いてくれるので、マークやアイコンの作成に便利です。

選択した形状の中にグラフィックを生成することができます

2 つ目は、ペンタブレットで簡単に描いたラフな線からイラストを生成した例です。イラストに自信のない人でも、この機能を使えば味わいのあるイラストに仕上げることができますね。

ラフに書いた線をイラストに仕上げることもできます

最後はテキストをアウトライン化して、その中に水彩画風の配色を生成した例です。ロゴやタイトル文の加工も一瞬で行うことができます。

アウトライン化したテキストに水彩画風の着色をすることも可能

木村さんは最後に、今回生成したイラストや文字を使ったグッズ展開のビジュアルも見せてくれました。最新の Illustrator で強化された「モックアップ機能」を使えば、イラストやロゴをマグカップに印刷したり、車にペイントするといった展開例も簡単に作成することができます。この機能も仕事に役立ちそうなので、気になる方はぜひアーカイブ画像をご確認ください。

最後に

Photoshop と Illustrator の製品版がバージョンアップされたことで、最新の生成 AI の機能が使用できるようになりました。しかし生成 AI を実際の仕事の中に取り入れていくには、生成 AI の機能そのものだけでなく、レイヤーやレイヤーマスク、選択範囲のつくり方といったベーシックなテクニックを押さえておくことも変わらず重要なのだと感じさせられました。

次回の『Adobe Firefly Camp』は、9 月後半に開催予定です。内容やゲストは未定、ぜひ SNS 等の告知を見逃さずチェックしてください。

番組参加者からの質問への回答

Q: ほかにも Photoshop の AI 機能でおすすめはありますか?
A: ニューラルフィルターや空の置き換えなど強力な AI 機能はたくさんありますが特に「被写体を選択」はとっても優秀な機能です!クイック選択ツールなどを選択するとオプションバーの「デバイス(高速)」から「クラウド(詳細な結果)」にすることで更に精度の高い結果を得ることができますので是非使ってください!

Q: 背景の人物除去をする際に、中央左側の見切れている人物を選択する場合は、どのような選択をするといいでしょうか?大きくなげなわツールでは、選択が難しそうです
A: 選択範囲を細かく作るときはペンツールが便利です。しかし今回のご質問のような場合は被写体と背景をレイヤー分けして背景のレイヤーのみ編集すると処理しやすいです。

Q: マグネット選択ツールはどんな時に使用されますか?拡大しながら使うと気づいたら意図しないところまで囲まれてしまって難しいです……
A: 正直僕もあまりついかいません!もし使うのであればオプションバーから「頻度」を上げ、手動でもクリックしてポイントを打っていくとやりやすくなると思います。ただ、そのように細かくポイントを打っていくのであればペンツールや多角形選択ツールでも OK です。