初心者でも楽しく作れる!オリジナル地図デザイン【#1道路や線路など基礎パーツを作ろう】
Illustrator歴8000日、ディレクター兼DTPデザイナーの「いとくに」です!
『PsとAiを実践的に学ぶ!クリエイター直伝のテクニック集』のSeason 4を担当します。
「Illustratorって難しそう…」と思っていませんか?でも安心してください!今回のシリーズでは、初心者の方でも楽しく作れるオリジナル地図デザインを、全3回のステップアップ形式で、少しずつ完成を目指していきます。
完成イメージ
こんな方におすすめ:
- Illustratorを始めたばかりの方
- オリジナルデザインに挑戦したい方
- 店舗や観光地のプロモーションに役立つ地図を作りたい方
第1回では道路や線路、駅といった基礎パーツを作りながら、Illustratorの基本操作を学び、次回にアイコンを追加、最終回でプロモーションやDMに活用できる地図を完成させます。
「楽しくて、しかも役に立つ!」そんなIllustratorの魅力をたっぷり体感しながら、一緒に素敵な地図を作っていきましょう!
記事で使用するIllustratorのバージョン
Illustrator 2025(v 29.1)
地図を作る「目的」や「ターゲット(訴求対象)」
地図を作る上で目的やターゲットを明確にすることは、そのデザインに大きな影響を与えます。例えば、ターゲット層である20〜30代女性を意識したカラーやデザインを選び、リフレッシュ感を与える要素を取り入れることで、視覚的に魅力的で共感を呼ぶ地図が完成します。以下の表は、その目的やターゲットを明確にした上での地図デザインのポイントをまとめたものです。
目次
- 準備
- ファイルを開く
- 背景を描画する
- 道路を描画する
- 線路を描画する
- 駅名を作成する
- 線路の上に駅名を配置する
- 完成
- まとめ
- 次回予告
準備
Illustratorの画面レイアウト
この記事では、Illustratorのワークスペースの設定を[初期設定(クラシック)]の状態で解説します。ワークスペースとはIllustratorのパネルのレイアウトのことです。
メニューバーの[ウィンドウ]→[ワークスペース]→[初期設定(クラシック)]を選んでください。
補足:すでに[初期設定(クラシック)]になっている場合
メニューバーの[ウィンドウ]→[ワークスペース]→[初期設定(クラシック)をリセット]
単位の設定
⌘ + K(Windowsの場合はCtrl + K)を押して[環境設定]ダイアログボックスを表示し、[単位]を以下のように設定してください。
- 一般:ミリメートル
- 線:ポイント
- 文字:ポイント
サンプルファイルのダウンロード
サンプルファイルをダウンロードすることで、本記事の解説内容を一緒に試せます。ダウンロードして、ぜひ一緒に地図を作ってみましょう!
上記をダウンロードすると以下のファイルが入っています。
- 作業用ファイル:Map_challenge.ai
- 完成見本: Map_kansei.ai
ファイルを開く
「Map_challenge.ai」をIllustratorで開き、作業していきます。
レイヤー構成を確認する
メニューバーの[ウィンドウ]→[レイヤー]をクリックして[レイヤー]パネルを表示し、レイヤー構成を確認しましょう。
鍵アイコンが付いているレイヤーはロック状態を表し、編集できません。水色のハイライトで表示されるレイヤーは、図形の描画など編集中のレイヤーです。
- 「タイトル」レイヤー:タイトルやキャッチコピーを配置
- 「フッター」レイヤー:主催者情報を配置
- 「テキスト」レイヤー:道路やアイコンの名前を配置
- 「JR」レイヤー:JRの線路と駅を配置
- 「アイコン」レイヤー:地図上のアイコンを配置
- 「道」レイヤー:道路を配置
- 「下絵」レイヤー:下絵を配置
- 「背景」レイヤー:背景のオブジェクトを配置
背景を描画する
レイヤーを管理する
レイヤーのロックや表示・非表示などのレイヤー管理を活用することで、誤操作を防ぎ、作業効率を上げられます。整理しながら編集できるため、複雑なデザインもスムーズに進められます。
レイヤーパネルの「下絵」レイヤーを非表示から表示に切り替え、間違えて操作してしまわないように「背景」レイヤー以外のレイヤーはロックし、「背景」レイヤーをクリックして編集対象にします。
正円を作成する
[楕円形ツール]を使って以下の手順で正円を作りましょう。
①ツールバーの[長方形ツール]を長押し
②[楕円形ツール]をクリック
③アートボード内をクリックし、[楕円形]ダイアログボックスを表示
④以下の数値を入力し、OKをクリック
- 幅:92mm
- 高さ:92mm
作成した円の位置を調整する
以下の手順で、作成した円をアートボードの中央に配置しましょう。
①ツールバーで[選択ツール]に切り替え、円をクリックし選択
②[プロパティ]パネルの[整列]の「水平方向中央に整列」をクリック
③「垂直方向中央に整列」をクリック
選択しているオブジェクト(ここでは正円)がひとつだけのとき、アートボードを対象に整列が実行されます。
正円のカラーを変更する
正円のカラーを水色に変更します。
水色の色は、安心感やリフレッシュ感を与える色として、リラックスした気分を促します。特に、週末のリフレッシュ目的で出かける女性に好まれる色です。
以下の手順で「塗り」と「線」のカラーを設定しましょう。
[プロパティ]パネルの[アピアランス]で、以下を参考にカラーを変更します。
- 「塗り」を水色に
- 「線」をなしに
円のエッジをなめらかな凹凸にする
円を柔らかな印象にするため、エッジをなめらかな凹凸にします。
ラフ効果をかけることで、地図に手作り感や親しみやすさを加え、視覚的に柔らかく温かい印象を与えます。これにより、ターゲット層である若い女性にリラックスした雰囲気を提供します。
メニューバーの[効果]→[パスの変形]→[ラフ]で[ラフ]ダイアログボックスを表示し、[ラフ]ダイアログボックスで以下のように設定すると、正円の周囲が凸凹になります。
- サイズ:1(%)
- サイズの種類:パーセント
- 詳細:5(/inch)
- ポイント:丸く
道路を描画する
道路を書く準備をする
作業しやすくするため、「道」レイヤーのロックを解除して、「道」レイヤー以外のレイヤーはロックし、「道」レイヤーをクリックして編集対象にします。
道路を描く線を設定する
[プロパティ]パネルの[アピアランス]で以下の設定をしましょう。
- 「線」のカラーを白
- 「線幅」を「5pt」
大通りを描画する
ツールバーの[直線ツール]を使い、ドラッグして直線を描画します。
背景の円から線がはみ出すようにドラッグしましょう。
上記の手順に従い、すべての大通りの線を描画しましょう。
狭い道路を描画する
狭い道が2種類あり、道幅に合わせて線幅を3ptと2ptに変えながら描画します。まずは3ptの直線道路を描画しましょう。
続いて、線幅2ptの道路を描画します。
折れ曲がった道路は[ペンツール]を使って描きます。
[ペンツール]は、Illustratorで直線や曲線を自由に描けるツールで、「アンカーポイント」と呼ばれる「点」をクリックして配置し、それらをつなぐことで線を作成します。
また、滑らかな曲線を描くことも可能ですが、まずは直線を描く感覚に慣れた後で、曲線の仕組みを学ぶとスムーズに理解できます。次回の記事で曲線の基礎からお伝えします。
⌘ + shift +A(Windowsの場合はCtrl + shift +A)で描画した道路の選択を解除し、以下の手順で折れ曲がった道路を描画しましょう。
①ツールバーから[ペンツール]を選択
②始点をクリック
③中間地点をクリック
④終点をクリックし、キーボードの「V」を押し道路の描画を終了する
線路を描画する
準備
線路を描画しやすくするため、「道」レイヤーは非表示に設定します。
[レイヤー]パネルで「JR」レイヤー以外のレイヤーをロックします。
「JR」レイヤーをクリックして編集対象にしましょう。
直線を描画する
下絵では曲線になっていますが、後工程で曲線に変えるため、現段階では直線を描画します。
下絵を参考に、[Shift]キーを押しながらドラッグして水平線を描画しましょう。
ツールバーから[選択ツール]を選び、線をクリックして選択し、[プロパティ]パネルの[アピアランス]で以下の設定をしましょう。
- カラー:黒(K 100)
- 線幅:4pt
作業しやすいように、以下のレイヤーを非表示にします。
- 「道」レイヤー
- 「下絵」レイヤー
- 「背景」レイヤー
[プロパティ]パネルの[アピアランス]で右下の「…」をクリックし、[アピアランス]パネルを表示します。
線路を描画する
以下の手順で線路を作成しましょう。
①[アピアランス]パネルの「新規線を追加」アイコンをクリック
②追加した線の「線幅」を2.5ptに
③新規線のカラーをクリック
④白をクリック
⑤[アピアランス]パネルの「線」をクリック
⑥「破線」をクリック
⑦「破線」の最初の「線分」を「10pt」に設定
次のようになっているか確認しましょう。
補足:破線の「線分」と「間隔」について
「線分」:線の中の短い線や点の長さを指します。たとえば、「線分」を10ptにすると、10ptごとの線が繰り返されます。
「間隔」:線分同士の間の長さです。「間隔」に数値をいれず空白すると、「線分」の数値をそのまま間隔として処理されるので、この記事では空白で10ptの間隔を保っています。
線路を曲線にする
下絵を参考に曲線にします。「下絵」レイヤーと「背景」レイヤーを表示に切り替え、以下の手順で線路を曲線にしましょう。
ツールバーから[ペンツール]を選択します。「option」キー(windowsの場合は「 Alt」キー)を押したまま、線路の中央までカーソルを移動するとカーソルが「セグメントリシェイプカーソル」に変わります。この状態でドラッグすると、ドラッグする方向に合わせてパスが曲がるので、上にドラッグして曲線に変えましょう。
動画(直線を曲線に変える)
駅名用の長方形を作成する
描画作業がしやすいように、以下のレイヤーを非表示にします。
- 「道」レイヤー
- 「下絵」レイヤー
- 「背景」レイヤー
ツールバーから[長方形ツール]を選択し、アートボード上でクリックします。
[長方形]ダイアログボックスが表示されるので、以下の数値を入力し「OK」をクリックして長方形を作成します。
- 幅:10mm
- 高さ:3mm
長方形の「塗り」と「線」を設定し、線路を作る
ツールバーから[選択ツール]を選び、長方形をクリックします。
[プロパティ]パネルの[アピアランス]で、以下を参考にカラーや線幅を設定します。
- 「線幅」を0.75pt
- 「線」を黒(K100)
- 「塗り」を白
長方形を角丸長方形にする
[変形]パネルを使って長方形を角丸にしましょう。
[プロパティ]パネルの[変形]の右下にある「…」をクリックして[変形]パネルを表示します。「半径」を0.5mmに設定すると角丸長方形になります。
駅名のテキストを作成する
「森音駅」というテキストを入力しましょう。
テキストを配置する
①ツールバーの[テキストツール]をクリック
②アートボード内をクリックして、「森音駅」と入力
③[プロパティ]パネルの[文字]で、フォントを「Zen Maru Gothic Medium」に変更
④[プロパティ]パネルの[文字]で、フォントサイズを「6 pt」に設定
補足:任意のフォントを早く見つける方法
検索ウィンドウにフォント名の一部を入力すると、探しやすくなります
テキストのカラーを設定する
ツールバーから[選択ツール]を選び、テキスト「森音駅」をクリックして選択し、[プロパティ]パネルの[アピアランス]で「塗り」の色を「K100」に設定します。
テキストと角丸長方形を組み合わせる
「森音駅」のテキストを角丸長方形の中央に配置します。
まずは[整列]で以下の設定を行います。
①[プロパティ]パネルの[整列]で「…」をクリックし[整列]パネルを表示
②[整列]パネル右上の「≡」をクリック
③「字形の境界に整列」をクリック
④「ポイント文字」をクリック
「字形の境界に整列」の「ポイント文字」について
「ポイント文字」では、文字の形そのもの(見た目の輪郭)が整列の基準になり、他の「オブジェクト」に揃えやすくなります。
準備ができたので、角丸長方形とテキストをセンター揃えし、グループ化します。
グループ化することで、移動やサイズ変更が一体化し、編集が便利になります。
①角丸長方形とテキスト、両方のオブジェクトを選択
②両方を選択した状態で、角丸長方形をクリックする
※角丸長方形のエッジが太く表示され、整列の基準となる「キーオブジェクト」に設定される
③[整列]パネルの「垂直方向中央に整列」をクリック
④[整列]パネルの「水平方向中央に整列」をクリック
⑤角丸長方形とテキストを選択した状態のまま、右クリック
⑥「グループ」をクリック
線路の上に駅名を配置する
駅名を線路に沿って配置する
角丸長方形とテキストで作成した駅名を、以下の手順で線路上に配置しましょう
①駅名(角丸長方形とテキストのグループ)と線路をドラッグして両方を選択
②ツールバーの[パス上オブジェクトツール]をクリック
③線路をクリックし、駅名をパス上に配置する
位置を微調整
駅名の「すべて移動ウィジェット」の「◇」をドラッグすると、線路に沿って移動できます。
「下絵」レイヤーと「背景」レイヤーを表示し、下絵を参考に駅名の位置を調整しましょう。
完成
道路と線路が描画できました。
まとめ
Illustratorの基本操作[直線ツール]を活用した道路や線路の作成方法
制作内容 道路を[直線ツール]で描き、シンプルな線路を作成
駅を1つ配置して、基本的な地図デザインの骨格を完成
ポイント[直線ツール]だけで地図の基盤を構築できるシンプルさを体感
線の調整や色の選択など、初心者でも迷わず作業を進められる設計
次回予告
次回は、今回作成した地図にアイコンを追加します。さまざまなオリジナルアイコンを作成していくので作っていて面白い回になります。お楽しみに!