日本初開催!「Adobe Illustrator Summit Tokyo 2025」レポート|ユーザーと開発者が共に創るIllustratorの未来
2025年2月15日(土)、Adobe Illustratorをテーマにした特別なイベント『Adobe Illustrator Summit Tokyo 2025』を開催しましたのでご紹介します。
本イベントは「これからのIllustratorはどのように進化すべきか?」をテーマにし、日本のユーザーが求める最適な方向性を探り、それをアドビのメンバーと共有することで、より便利で革新的なIllustratorの実現を目的としています。日頃Illustratorを使って情報発信をしているインフルエンサーや、第一線で活躍するクリエイター、学生の方々をご招待し、31名にご参加いただきました。
過去にはニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ロンドンで同様のイベントが開催され、日本での開催は今回が初めてとなりました。
イベントには31名のIllustratorユーザーが集まった
Illustratorを通じて世界へコミュニティを広げ、クリエイティブの未来につなげる
日本は、世界と比較してもIllustratorを多くの方に利用いただいている国の一つであり、長年にわたり世界中のクリエイターに愛されながら進化を続けてきました。特に日本のデザイン文化は、独自の美意識と精緻な技術によって、Illustrator の可能性を大きく広げてきました。
そんな日本でのイベント開催は、アドビのサンフランシスコオフィスに勤める、プロダクトマーケティング シニアディレクターのカレン・ブリューワー(Karen Brewer)の強い希望で実現しました。
プロダクトマーケティング シニアディレクターのカレン・ブリューワー(Karen Brewer)
我々アドビは、ユーザーが製品に求めるものや、今後どのような進化を期待しているかを直接聞き、深く理解することが重要だと考えています。実際にIllustratorに搭載されている多くの機能は、このようなサミットやコミュニティから寄せられたアイデアや意見をもとに開発されてきました。
「日本は多くの方にIllustratorを活用いただいている、私たちにとって特別な国です。このイベントには、Illustratorの開発に関わるアドビの様々なメンバーがアメリカやインドから来日して参加しています。今回の体験を通じて日本の市場を知り、直接対話することで日本のユーザーの声を理解し、今後の製品開発に活かす機会になればと考えています。」と、カレンは語ります。そしてもう一つ、イベント開催には強い想いがあると言います。
「このようなイベントを開催することで、ユーザー同士がつながり、新たな出会いを見つけてコミュニティを広げて貰う、その一歩になって欲しいというのが私の一番の願いです。そして、それが今後の人生において大切な友人関係へと発展すれば、さらに嬉しく思います。」
カレン自身がアドビとユーザーを結ぶ架け橋となり、Illustratorを通じたコミュニティの発展や、これからデザイナーを目指す未来のクリエイターの手助けになりたいという強い想い。それが今回の日本開催へとつながりました。
Adobe Illustratorの日本の製品担当 岩本崇と、マーケティングスペシャリスト 有川慧が司会進行。イベント冒頭では全員参加型のゲームで会場を盛り上げた
スペシャルゲストによるIllustratorの進化と活用事例を紹介
イベント前半では、Illustratorを使ってクリエイティブを行う、トップクリエイターやアーティスト、大手企業のインハウスデザイナーの方々に登壇いただき、実際の制作現場での経験をもとに、Illustratorの活用方法と進化について貴重なインサイトを共有しました。
“イラレおじさん”こと、樋口泰行氏は「Illustratorを愛さずにはいられない!」と壇上から製品愛を伝え、会場を沸かせた
紋章上繪師の波戸場承龍/耀鳳 氏のセッションでは、Illustratorを使い家紋をアートにした様々な事例が紹介された
“イラレおじさん”こと、グラフィックデザイナーの樋口泰行さん(@higuchidesign)からは、日本におけるDTPの歴史を紐解くとともに、なぜ日本でIllustratorが愛されるかの背景を考察しました。紋章上繪師の波戸場承龍/耀鳳 さん(@HatobaShoryu)からは、日本の歴史とアイデンティティを象徴する“家紋”が、Illustratorとの出会いをきっかけにクリエイティブを世界へ展開していった飛躍について紹介し、実際にIllustratorを使った制作工程を紹介するなど、参加者の注目を集めました。
イラストレーター・キャラクターデザイナーのサタケシュンスケさん(@satakeshunsuke)によるIllustratorを使ったライブペイントセッションや、日清食品ホールディングスさんからはここでしか聞けない制作秘話を紹介いただくなど、日本のユーザーにおけるIllustratorの活用事例と世界へ向けた発信を、たっぷりと感じられる時間となりました。
イラストレーター・キャラクターデザイナーのサタケシュンスケ 氏による、Illustratorを使ったライブペイントセッション
プロフェッショナルから若手クリエイターまで。Illustratorを愛する多様な視点で積極的なディスカッション
イベント後半では、参加者は4チームに分かれ、Illustratorの“良いところ”、“改善すべきところ”、“将来性に期待すること”について、ディスカッションを行いました。
本イベントにはさまざまな年代、多様なお仕事をされている方に参加いただきました。世代や業種を超えたクリエイター同士が、Illustratorという共通点を基に、これからのデザイン環境に求められる機能やサポートについてなど、活発な意見交換が行われました。
チームのメンバーが出した項目をもとに、全員で意見を出し合いながら議論が深まっていく
日々のクリエイティブワークを振り返りながら、ピックアップする項目を熟考する姿も多く見られた
日々の制作で感じるIllustratorの魅力や課題を共有し、他のクリエイターと意見交換することで、自分だけでは気づかなかった新しい視点やIllustratorの活用方法、アイデアやインスピレーションを得ることができたのではないでしょうか。また、ディスカッションの時間を通じて、参加者同士のつながりを深められる時間となったかと思います。
また、アドビのメンバーと直接対話し、「こんな機能がほしい」「この操作をもっとスムーズにしたい」といった具体的な要望を共有することで、ユーザーのニーズや求められる方向性をより明確に理解することができ、クリエイターとアドビが共にこれからのIllustratorを作っていくプロセスとして、価値のある時間となりました。
各チームの部屋では、多様な年代・職種の視点からコメントが飛び交った
アドビのファシリテーターがチームの意見を取りまとめる
各チームが集約した内容を全員の前で発表し共有する時間では、さまざまな意見が活発に交わされた
アドビのチームとクリエイターが向き合うことで、Illustratorの進化を創り上げる強い一歩に
カレン、エリック・スノーデン(Eric Snowden)、ガウラヴ・ジェイン(Gaurav Jain)が登壇し、参加者とのパネルディスカッション
イベントの最後には、カレンに加え、デザイン担当 シニア バイスプレジデントのエリック・スノーデン(Eric Snowden)、ソフトウェアエンジニア ディレクターのガウラヴ・ジェイン(Gaurav Jain)が登壇し、参加者とともにディスカッションを行いました。
このセッションでは、Illustratorを使った日々のクリエイティブで直面する、課題や疑問を率直に共有し、それに対してアドビの開発者が直接耳を傾ける貴重な機会となりました。参加者から寄せられた具体的な質問に対して、開発者がその場で答えることで、製品に対する理解が深まるだけでなく、今後の進化に向けた貴重な意見も共有されました。
エリックは壇上で、「アドビのツールの魅力は、その柔軟性と、ユーザーごとに異なる使い方ができる点にあります。アドビのクリエイティブ製品には『こう使うべきだ』という決まりはほとんどありません。私たちは、さまざまなツールを提供することで、ユーザーの皆さんが実際に使いながら自分に最適な方法を見つけ、自分らしいクリエイティブを実現できるよう支援しています。」と、参加者へメッセージを伝えました。
ただの意見交換にとどまらず、クリエイターと開発者が同じ目線で向き合うことで、互いに新たな視点や気づきを得る場となり、Illustratorをより進化させるための強い一歩となったことは、非常に意義深いものとなりました。
懇親会では参加者全員が自由なコミュニケーションを楽しんだ
イベント終了後のアンケートでは、「今後のアップデートの方向性が見えてきて、とても参考になりました。」「具体的な課題解決や新機能について学ぶことができ、多くの発見がありました。」「異なるユーザーが様々な視点でアプリをどのように使っているのかを見るのは、とても興味深かったです。」「私はジュニアデザイナーですが、フィードバックが製品に反映されるなら、今後も積極的に意見を伝えたいと思います。」「エンジニアチームと直接話ができたのは、とても貴重な経験でした。次の展開がますます楽しみです!」など、たくさんのフィードバックをいただきました。
日本では初開催の本イベントですが、多くの参加者がイベントで得た経験に手応えを感じ、今後のIllustratorの進化へ期待を寄せていただけたのではないでしょうか。
参加者全員でIllustratorの「イ」のポーズで記念撮影
Illustratorは単なるデザインツールではなく、創造力を引き出すパートナーであるべきだと、アドビのチームは考えています。
『Adobe Illustrator Summit Tokyo 2025』を通じて、日本のクリエイターのアイデアやフィードバックが、次世代のIllustratorを形づくる重要な指針となります。みなさんの声をもとに、Illustratorはさらに進化し、日本のクリエイティブワークをより自由で快適に支える存在へと発展していきます。
これからも、みなさんと共に成長するIllustratorにご期待ください!