ポジティブ&カラフル:Adobe Stockの2021年ビジュアルトレンド - 気分を盛り上げるカラー

クレジット:Adobe Stock/Jeremy Pawlowski/Stocksy United

昨年は多くの人が精神的に追い詰められ、これまでにないほど強いストレスにさらされた1年でした。年が明け、最近ではストレスを解消するために気分を盛り上げてくれるものが人気を博してきています。有名ブランドから独立系クリエイター、雑誌からビデオゲームに至るまで、明るくエネルギッシュなカラーが大流行し、レインボーカラーが急速に広まっています。

Adobe Stockの2021年ビジュアルトレンド見ると、それぞれのトレンドの特徴のひとつにカラーがありますが、「気分を盛り上げるカラー(Mood Boosting Color)」ではカラーそのものに焦点が当てられています。

フルカラーで気分を前向きに

「『気分を盛り上げるカラー』は今年一番最初に取り上げたビジュアルトレンドであるだけでなく、個人的に一番好きなトレンドでもあります」。Adobe Stockのクリエイティブ&コンシューマーインサイト責任者Brenda Milisはこう語っています。「2020年の一年を通して研究に勤しみ、様々なクリエイティブプロジェクトを調査して新たなビジュアルパターンを見つけ出そうとする中で、フルスペクトルのカラーを配したビジュアルは圧倒的に多く見られました」

レインボーカラーがブームになっているというと、いわゆる(虹を模した)七色のアーチを連想されるかもしれませんが、他にも様々なパターンがあります。特に興味深いのは、帯状に配色されたカラーが飛び出してくるような使い方です。ビジュアルやキャンペーンを魅力的に見せる手段として、印刷物と動画のどちらにおいても、デジタル/アナログ両分野で活用されています。主な例としては、Appleの「Shot and edited on iPhone」キャンペーンが挙げられるでしょう。オフラインでは、コロナ禍で「The Home Edit」の人気が急上昇し、鮮やかなカラースペクトルに基づいてきれいに配色されたインテリアの画像がファンから熱狂的な支持を集めました。

「まるでトレンド自体が自己主張しているかのような力強さを感じました。昨年の1年間を通して、気持ちをポジティブに変えてくれるほど強い影響力のあるトレンドは他にありません」とMilisは語っています。

クレジット:Adobe Stock/Josephine Rais

「気分を盛り上げるカラー」には、消費者の気分を前向きにし、幸福感や情熱を喚起して、楽観的な気分を継続的に維持しようとする狙いがあります。近年、ページや部屋全体をミレニアルピンクで埋め尽くす表現が注目を集めましたが、それがこのトレンドのきっかけだったのかもしれません。現在は使うカラーの幅をさらに広げ、視覚的なインパクトを大きく高めようとする動きが各社ブランドに見られます。

パワフルであること。カラーを主軸としたこのトレンドのインパクトを一言で形容するのには、この言葉がぴったりではないでしょうか。力強い配色には、見る人の心に活力をみなぎらせる効果が確かにあります。

「様々なカラーを取り合わせた明るく美しいビジュアルで晴れやかな気分になってもらい、前向きな考えを促進するということ自体は、決して新しいアイデアではありません」とMilisは言います。

人の気分や欲求、活力は、どのような色を見て、どのような色に囲まれて過ごすかによって変化します。色とりどりの明るいカラーがあふれる環境に身を置くことは、感情豊かなメッセージで常に脳を満たし、高揚感、注意力、行動を起こしやすい態勢を保つために役立つ可能性があるのです。

クレジット:(左)Adobe Stock/Luke & Morgan Choice/AvantForm (右) Adobe Stock/VISTA by Westend61

スペクトルとその象徴性

「ビジュアルトレンドとして力強さを象徴する虹と(後述する)プライドパレードにおける虹にはどのような違いがあるのか長い間考えていたのですが、なかなか答えは出ませんでした」。Milisは、虹が象徴するものの中に「多種多様な体験、アイデンティティ、精神を持つ人々がそれぞれ生きているという現実の状況を体現する」イメージが内包されているのではないかと考えています。

人は遥かな昔から虹に魅了され、様々な文化圏で独自に意味づけされてきました。神々が空をわたるときの通り道である、という見方さえあります。虹はギリシア神話においては神々の使者イーリスであり、北欧神話においては神の世と人の世をつなぐ神秘の橋ビフロストです。また、仏教においてはある精神的段階への到達を意味し、具体的には「瞑想の究極の境地に至る1つ前の段階、物事が純粋な光に転化し始める段階」を表すものとされています。

レインボーフラッグが誕生したのは1978年のこと。ベトナム退役軍人でドラァグパフォーマーでもあるアーティストのGilbert Baker氏が、サンフランシスコで開催される毎年恒例のプライドパレードのために最初のレインボーフラッグを作りました。それがゲイコミュニティに定着して広まり、40年以上を経た今ではLGBTQ+を直接的に象徴するシンボルとなっています。最近の2017年には、フィラデルフィア市において、レインボーカラーにブラックとブラウンを加えた新バージョン人種的インクルージョンの象徴として採用されました。

クレジット:Adobe Stock/Raw & Rendered/AvantForm

活気あふれるレインボーカラーは、深刻な場面で使われるときにも陽気さと遊び心を失いません。レインボーカラーを取り入れたビジュアルや、幅広い色彩の取り合わせは、使用機会と意味づけを拡大していき、今ではダイバーシティとインクルージョン、連帯と未来への希望を表すシンボルになっています。

「私はクリエイティブな作品を見るのが好きで、特にレインボーカラーとブラックを組み合わせた色彩表現が好きです。この組み合わせには、ブラックパワーを象徴する意味に加え、ブラックであることの喜びを称える意味が与えられています。単に平等を勝ち取ることだけでなく、ブラックのアイデンティティを称えることについての議論がきわめて公共的な場で交わされるようになってきました。このトレンドには、美しくて楽しいだけでなく、政治的な側面もあるのです」。Milisはこのように語っています。

米国では、COVID-19が国全体を覆いつくし、ワクチン普及の見通しも立たず、ブラックやブラウン(ヒスパニック系)の人々が困窮しやすく不公平な状況にある一方で、ブラックの喜びを称える運動が個人やブランドによって展開されています。オーガニックハッシュタグや話題のTikTok動画、VSCOの#BlackJoyMattersキャンペーンなどを通して、挑戦的で表現力に富み、かつカラフルに、世の中は動いています。

「色彩が喚起する感情のエネルギーの大きさには、まったく驚かされます。集団行動も含めた本当に大勢の人々が色彩の力を利用し、手を取り合って社会正義の実現に取り組んでいるのは、とても喜ばしい状況ですね」とMilisは言います。

いかがでしたでしょうか? Adobe Stockでは年間を通して2021年のクリエイティブトレンドについてご紹介していきます。このブログ記事が、クリエイティブ制作の一助になれば幸いです。現在Adobe Stockでは、使いやすい通常アセット(写真やイラスト、ベクターなど)をお得にご利用いただける年間サブスクリプションプランが、初月無料で利用できるキャンペーンを実施中です。この機会に、豊富なコンテンツとCreative Cloudとの連携による業務効率の良さを是非体感ください。また、作品を販売いただける方も募集中です。今回紹介したトレンドレポートをヒントに、写真やイラスト、ビデオなど素敵な作品を投稿ください。皆様からの作品をお待ちしております。

この記事は2021年1月25日にIrene Malatestaより作成&公開されたPositively colorful: Adobe Stock’s 2021 visual trend, Mood Boosting Color の抄訳です。