新鮮な空気を胸いっぱいに - 解放感あふれるビジュアルヘのニーズの高まり

春から夏にかけて気持ちの良い季節が始まると、開放的な気分を味わいたくなることも多いと思います。このブログでは Adobe のクリエイティブトレンドの1つ「新鮮な空気を胸いっぱいに」を紹介しながら、閉塞的な気持ちからの解放感を想起させるクリエイティブのニーズについてご説明します。

Portrait of happy young woman enjoying sunlight

イメージ:Adobe Stock/Westend61.

熱帯と極圏の中間の緯度に位置する温帯地域には、「Fool’s Spring(冬日和)」という言葉があります。これは季節はずれのまばゆい日差しと暖かな陽気が続くほんの短い期間のことで、その後また冷たくじめじめとした晩冬がやって来ます。短い期間ではありますが、この時期には短パンをはき、サングラスを手にした人たちが近場のアウトドアスポットに押し寄せます。

Adobe Stockの最新のビジュアルトレンド「新鮮な空気を胸いっぱいに(Breath of Fresh Air)」に表れているのは、暖かくなったら屋外へ出て自然を満喫したいという、人々の抑えきれない強い思いです。このコレクションでは、なだらかな丘陵地帯開け放たれた窓どこまでも続く空などの解放感あふれる作品が多数紹介されています。1年間の巣ごもり生活を経て、玄関先の階段で遊ぶ楽しさ、静かな郊外の散歩人里離れた湖誰もいないビーチなど、どこに住んでいようとただ外に出るだけで嬉しいという高揚感が感じとるのではないでしょうか。

現実の世界で屋外へ

コテージコア(Cottegecore)(今年のデザイントレンド「深みをたたえたロマンチシズム(Austere Romanticism)でも紹介しているスタイル)は、シンプルで牧歌的な田舎暮らしの幻想世界を表現しています。その世界感をイマージネーション世界から現実のものへと置き換えたのが「新鮮な空気を胸いっぱいに」というテーマです。パンを焼いたり、自宅の改造に取り組みながら家で過ごした長い冬が終わり、これからは実際に家の外で過ごす機会が多くなるでしょう。また、自然のありがたさを改めて感じるからこそ環境への関心も集まり、環境問題に対しての意識も更に高まっていくと思われます。

イメージ:左:Adobe Stock/Chelsea Victoria/Stocksy 右:Adobe Stock/Wirestock.

コレクションの中で際立っているビジュアルは、車で少し走れば着く距離にあるアウトドアを楽しんでいる光景です。まだ海外旅行は我慢せざるを得ないなか、旅行熱に浮かされる人たちにとっては裏庭や屋外の空間が心の拠り所となります。「新鮮な空気を胸いっぱいに」では大都会の喧騒やどこか遠くの景観よりも、素朴な山小屋農場小さな村キャンプ人気の復活を思わせる風景など、文明社会と自然との交わりを描いたビジュアルが表現されています。

イメージ:Adobe Stock/Westend61

土に触れる

過ごしやすい気候になるというだけでなく、1年もの長きにわたって家に引きこもっていたこともあり、自然とのつながりを直接触れて感じたいというニーズは常に存在しています。アメリカでは複数の州で土地の無料払い下げ制度が再開され、マイホーム志向の再燃が顕著となってきました。日本でも都心を離れて田舎に移住する動きも出てきました。

こうした要素も影響して、ビジュアルの世界では畑仕事、自然採集、牧畜の画像へのニーズが増えています。素手でレタスなどの葉野菜を摘む作業は、一種独特の充足感が想起させます。また、子供たちが両親祖父母と一緒に庭仕事をしたり、野菜を収穫する様子も人気の高いシチュエーションで、世代を超えて伝統を共有できるという畑仕事や農作物の役割にも注目が集まっています。

「新鮮な空気を胸いっぱいに」には田舎を舞台にしたものが多いものの、都市や郊外もトレンドであることに変わりはありません。園芸好きの家族や都会人は、どんなに人が多い都会の街角にも自然を見出しています。こうした興味関心の表れとも言える地域農園、地域の食料配給所、コミュニティ冷蔵庫などからは、環境の持続可能性や食料危機、地域に根ざした社会活動とのリンクをうかがい知ることができます。また、ベランダ菜園屋上農園で植物の世話をするのが単純に楽しいということの表れでもあります。

イメージ:Adobe Stock/Hero Images/Hero Images

認識の高まり

昨年、私たちはとてつもなく大きな気候変動の兆候を何度も目にしました。オーストラリアとアメリカ西部で発生した未曽有の山火事では、町がオレンジ色の煙に覆われる画像に激しい動揺を感じました。大西洋では記録的な数の巨大な嵐が発生しました。この気候変動についてはSNSでも話題になり、社会活動の果たす役割に対する認識が広がっています。2021年、自然を愛好する人たちは自身の行動が自然に与える影響を十分に考慮したうえで、慎重に自然とかかわろうとしているのです。

Lo-TEK Designのような活動は、世界中の先住民族のコミュニティで実践されてきた知恵や、地球が人の住める場所であり続けるためにその知恵がどんな役割を果たしているかを思い起こさせてくれます。「新鮮な空気を胸いっぱいに」を見ると、自然の一部になりたいという私たちの思いは、自然を大切にし、自然保護を支援しなければならないということと分けて考えられないことが改めてわかります。このトレンドは自然の美しさを紹介する一方で、社会が長い年月をかけて学んできた生態系と調和した暮らし方も表現しようとしています。

インターセクショナルな女性用ハイキングクラブであるHike Clerbのような団体では、アウトドアでの癒しとリフレッシュを楽しみながら、有色人種の女性たちを支援しています。アウトドアスポーツの圧倒的に白人優位な状況と戦っているのです。

自然は誰か特別な人たちのものではなく、すべての人にとって平等に居場所となっているということを感じさせるビジュアルが増えているのも、社会的な寛容性へのニーズの高さと認識の高まりがその背景にあるからだと考えています。

イメージ:Adobe Stock/Cavan Images

どこにいても新鮮な空気を

昨年は自然のなかで過ごすAirbnbの予約が25%も増加しました。2021年も同じような状況が続くとすれば、大勢の人たちが春休みや夏休みを利用して、都会を離れて自然に親しむことが予想されます。ワクチンの接種が進んでも、人の少ないところで暖かい季節を楽しめる方法を見つけようとする人が多いでしょう。とはいえ、毎週、仕事が休みの日に、普段の生活のなかで自然に親しむ方法が見つかる場所もたくさんあります。

イメージ:Adobe Stock/Monica

つまり、「新鮮な空気を胸いっぱいに」が表しているのは、自然に包まれたり、胸いっぱいに酸素を取り込む方法はひとつではないということ。どこまでも視界の開けた広大な世界に出かけるもよし、ちょっと車で出かけるもよし。すぐそこの街角だってよいのです。

このギャラリーからセレクトされた写真やイラストを御覧いただき、解放感あふれる世界観をお楽しみください。

いかがでしたでしょうか? Adobe Stockでは年間を通して2021年のクリエイティブトレンドについてご紹介していきます。このブログ記事が、クリエイティブ制作の一助になれば幸いです。現在Adobe Stockでは、使いやすい通常アセット(写真やイラスト、ベクターなど)をお得にご利用いただける年間サブスクリプションプランが、初月無料で利用できるキャンペーンを実施中です。この機会に、豊富なコンテンツとCreative Cloudとの連携による業務効率の良さを是非体感ください。また、作品を販売いただける方も募集中です。今回紹介したトレンドレポートをヒントに、写真やイラスト、ビデオなど素敵な作品を投稿ください。皆様からの作品をお待ちしております。

この記事は2021年4月6日に Brenda Milisにより作成&公開されたA visual trend that feels like spring の抄訳です。