Adobe Stockオーディオトレンド:勢いを増すエレクトロニックスペクトル(Electronic Spectrum)

Adobe Stockで音素材は、ロイヤリティーフリーで利用できる厳選されたセレクションからニーズに合った楽曲を利用いただきます。今年のおすすめはエレクトニック。理由をご紹介します。

イメージ:Adobe Stock/alphaspirit

絶大なる影響力を誇るレジェンドのDaft Punkはもうシーンに帰ってくることはないかもしれませんが、そのショックを和らげる嬉しいニュースがあります(発表を見逃した方がいるかもしれませんから念のため)。Adobe Stockオーディオ素材のコレクションが登場し、トレンドを抑えた最高のオーディオ素材が瞬時に見つけられるようになりました。

まず第一弾として「エレクトロニックスペクトル(Electronic Spectrum)」をご紹介します。

エレクトロニックミュージックとは、そもそも何を「評価」すればよいか(そして何を評価しないか)を改めて考えてみると、なかなか定義の難しい音楽です。Epidemic Sound(Adobe Stockオーディオの主要コンテンツパートナー)でコンテンツ開拓部門の責任者を努めるDavid Slitzky氏の考えでは、楽曲の構造よりむしろ、その楽曲の根底にある発想やコンセプトのほうが重要だそうです。

「(合成した要素より)オーガニックな要素のほうが多いトラックであっても、電子的に合成した要素を中心とした曲作りになっているものは、エレクトロニックミュージックと呼ばれます」とSlitzky氏は言います。

このコンセプトを実践している代表的な例として、Slitzky氏が名前を挙げているのがMerrill GarbusのTuneYardsプロジェクトと幅広い分野で活躍するミュージシャンのDan Deaconです。TuneYardsについては、「大抵の場合最初に強烈なオーガニック要素か、ものすごい合成要素を作り、それを中心に曲作りをしている」と言うSlitzky氏。Dan Deaconの音楽は、エレクトロニックパッドや打ち込みを見事にアレンジして作られているだけでなく、「完全にエレクトロニックと思われるトラックでさえ、エレクトロニックではない要素がどこかに含まれています」とSlitzky氏は言います。

「トレンド入り」への道

それにしても、あるジャンル(もしくはサブジャンルやニッチな分派)が、注目を浴びトレンド入りするための要素とは何でしょうか?

オーディオはクリエイターにとって重要なアセットであるため、Adobe Stockがアプリ統合のオーディオコレクションを立ち上げました。ただしこれだけでは足りません。コンテンツの良さだけではなく、それらが細心の注意を払ってセレクトされているかどうかという点です。

トレンドに必要な3大要素として、「まずは人気、それから認知度、そして最後に関連性」とSlitzky氏は言い、さらに次のように語っています。「この3つは相乗効果があります。まず“人気”。たくさんの人に使ってもらえなければトレンドにはなりませんからね。そして“認知度”。それが何であるかを説明するにも、それをトレンドと呼べるようになるにも、利用者側の認知が必要です。それから“関連性”ですが、これはZ軸のようなものです」

この最後の要素が決定的な意味合いを持ちます。「本当にトレンドとして定着するかどうかは、“関連性”で決まります」とSlitzky氏は言います。

コミュニティのサウンドトラック

改めて印象に残るCMを思い起こしてみると、ビールのCMからこの(超かわいい)イギリスのシリアルブランドのCMまで、ありとあらゆるところにエレクトロニックミュージックが使われていることに気が付きます。そして、人気が長続きするコンテンツの大半がYouTubeやTikTokといったプラットフォームのコンテンツクリエイターによって生み出されたものです。YouTubeもTikTokも新たなスターの宝庫であり、そうしたスターのブレイクはエレクトロニックミュージックの伴奏に — そして題材によるところが大きいと言えます。エレクトロニックミュージックの紹介や演奏、プロモーションに特化したYouTubeチャンネルは、何百万人ものフォロワーを集めています。なかでもフォロワー数が多いのはMrSuicideSheep — これはカナダのグループ、それからCloudKid — こちらはドイツを拠点に活動しています。エレクトロニックミュージックとは、Slitzky氏の言葉を借りれば、「コミュニティのサウンドトラック」なのです。

トップブランドの販促物を制作するクリエイティブチームも、この現象を見過ごしてはいません。2020年にオンエアされたAppleのAirPod ProヘッドフォンのCMでは、オーストラリアのエレクトロニックミュージシャン、Flumeのトラックがフィーチャーされていましたし、FordはMatthew Dearに依頼して、新型マスタングのマッハEが実際に発するサウンドを使ったトラックを作りました。こうした流れは全面的に、ターゲットとなる購買層が主導権を握っています。「広告であれ、映画やテレビ番組であれ、ターゲット層の言葉で語らなくてはなりません」とSlitzky氏は語ります。「それだけでなく、サウンドトラックも同じものを使う必要があるのです」

コンテンツの革新を先導しているのはサウンドといっても過言ではありません。いたるところに浸透している最大手のソーシャルメディアと同じように、エレクトロニックミュージックもデジタルクリエイティビティの規模を広げ、新しいものをどんどん受け入れています。その動きを加速化させているのが、「アクセシビリティ(手に入りやすさ)」です。

これについてはSlitzky氏が詳しく説明しています。「エレクトロニックミュージックは、聞く側が探し、作り手が利用する際の“アクセシビリティ”だけでなく、音楽を作るツールまでを含めますます大衆化が進んでいるという点が他のジャンルとは異なる点です。あまたある音楽のジャンルのなかで、これほど技術進歩の恩恵を被りながら広がったジャンルもないと思います。スマートフォンさえあれば誰でもコンテンツを作って自分のメッセージとして世界中に公開できるようになりました。この種の音楽も様々なチャネルで利用される機会が飛躍的に広がったわけです」

ロイヤリティフリーのオーディオがチャンスを開く

使える音楽(特に著作権で揉めるリスクのない音楽)を探す作業は、クリエイターが避けて通れないステップです。経験豊富なクリエイターでさえ、「公正使用」に関する法律や(難解な法律用語だらけの)デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の問題に遭遇します。著作権のトラブルは、プロジェクトを事実上まるごと吹き飛ばしてしまいかねません。つまり、ロイヤリティフリーであることが使い手にとって肝心な点であり、これを理解する才能とやる気のあるアーティストが利用しやすい作品を多く制作していることが人気となって表れているのです。

「自宅のスタジオで比較的自由なスタイルの音楽作りができることから、エレクトロニックミュージックのアーティストは増え続けており、広告代理店や映画・テレビの制作会社で働きながら、音楽で副収入を得ています」と、「RA」の名でも知られるエレクトロニックミュージック専門の多角的なプラットフォーム、Resident Advisorの2016年の記事でTony Naylor氏は書いています。「その一方で」とNaylor氏は続けます。「映画やテレビの制作会社の間では、従来のオーケストラの曲に比べるとほんのわずかなコストで制作を委託できる実験的なエレクトロニックミュージックがプロジェクトにもたらす芸術的価値について、ますます評価が高まっています」

いかがでしたでしょうか?

Adobe Stockの音素材はサブスクリプションプランでもご利用いただけますが、ビデオ作品と合わせてお使いであれば、クレジットパックがお勧めです。事前に購入したクレジットを好きな時に好きなアセットに交換して使えるだけ、まとめて購入することでお得にご利用いただけます。詳しくはAdobe Stockのプランページを御覧いただき、最適なプランをお選びください。

この記事は2021年3月23日に RF Jurjevics により作成&公開された Adobe Stock audio trends: The ever-expanding electronic spectrum の抄訳です。