既存の性別の枠を超えて:Adobe Stockで見るジェンダーとその表現

Hands cupped together with a rainbow of light shining in them.

イメージ : Adobe Stock / Inti St. Clair/Stocksy.

歴史を通して、私達のジェンダーには常に多様な広がりがありました。例えば、北米先住民のコミュニティには100種類以上のジェンダーの定義があったとされていますし、インドでは法的に認められているヒジュラ―と呼ばれるジェンダー(第三の性)が数千年前から存在していました。

一部の文化圏では、トランスジェンダーやジェンダーフルイッドのコミュニティが確立していますが、私達の日常で目にする広告物や出版物などを見渡してみても、性別の多様性(男性と女性に二択ではないという事実)はまだ十分に反映されているとは言えません。しかし、時代は変わりつつあり、消費者もブランドもより正確に社会を描写することを求めているのは確かです。それを実現するために私たちにできることは、Adobe Stockの中でインクルージョンの視点に立った作品を提供することであり、その実現に向け力を注ぐことだと考えています。そのため、私たちは、最近開始した「コントリビューター支援プログラム」により、皆さんにビジュアルクリエーターとしの参加を募り、これまで以上に多様性と包摂性に富んだコレクションづくりに取り組んでいます。

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イメージ : Adobe Stock / Julia Forsman/Stocksy.

イメージ : Adobe Stock/ Eugenio Marongiu.

ジェンダー、その表現と認知度の高まり

ここ数年、歴史ある機関や組織が積極的により多くの人々を受け入れようとしており、ジェンダーインクルージョンに大きな進展が見られます。ほんの一例をご紹介すると、2019年に英米語辞典メリアム・ウェブスターが今年の一語に三人称単数としての「they」を選びました。「they」は、性自認が男性でも女性でもないという人々の間でよく用いられる性的に中立な代名詞のひとつです。

最近はハリウッドのメジャー映画やテレビ、世界的なブランドのキャンペーン、そしてストックフォト業界でも、性別の多様性を考慮したよりリアルな表現が増えてきています。

こうした変化がなかなか進まない分野もありますが、明るい兆しは見えてきています。ハリウッドは、トランスジェンダーの役にシスジェンダー(性自認と身体の性が一致する人)の俳優をキャスティングして批判を集めたことから、映画会社の幹部たちがこの慣行を見直し始めています。2017年には、ノンバイナリーの俳優Asia Kate Dillonが、ウォール街を舞台にしたドラマ 「ビリオンズ(Billions)」にキャストとして加わり、ベンチャーキャピタルのインターンで同じくノンバイナリーのテイラー役に扮しました。そのプロセスはAsiaにとっても仕事仲間にとっても互いに勉強になったようです。

Asia は 2019年にニューヨークタイムズで次のように語っています。「私の最初の撮影日の前にショウタイム(米ケーブルテレビ)で顔合わせのミーティングがあったのですが、私のジェンダーを意図的でなく単に間違う人もいて、やんわりと訂正しました。誰でも実際に知るまでは自分が無知であることに気づかないものです。私自身、自分が何者なのか学ぶ必要がありました。お互い時間をかけてしっかりとこの事実を理解することが大切かとおもいます」。

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イメージ:上段左から時計回りで Adobe Stock/Juan Moyano/Stocksy, Adobe Stock/Giorgio Magini/Stocksy, Adobe Stock/Hero Images.

いくつかの巨大ブランドは、今こそジェンダーの表現を広げるタイミングだとみています。例えば、ジレット(Gillette)は最近、若いトランス男性が、熱心で協力的な父親に助けられながら髭のそり方を覚えるというスポットCMを放送しました。この父子は本当の親子で、CMは彼ら自身のストーリーを語ったものでした。また、スターバックスは別のアプローチをとり、トランスジェンダーの人々が名前を変えた際に感じる苦痛に目を向けています。この広告では、トランス男性が、1日中名前を間違えられ続けた後、最後に正しい名前が書かれたコーヒーのカップを受け取るところで終わります。

他にも、広告物にノンバイナリーのジェンダーを意図的に取り入れているブランドはいくつもあります。その中でも傑出しているのが、ユニリーバの2019年のキャンペーン “United We Stand” です。同社はニューヨーク市で行われるWorldPrideへのスポンサーシップも行っています。2018年の コカ・コーラの広告キャンペーンも注目すべき一例で、同年のスーパーボウルで公開された広告の中では、三人称単数としての「they」が使われていました。

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イメージ : Adobe Stock/Mattia/Stocksy.

実際の姿が描かれる「リアルな」ビジュアルニーズの高まり

このように世界的なブランドが、キャンペーンのメッセージをより効果的に伝え、視聴者や顧客とのつながりを深めるために、よりリアルで多様な作品を積極的に探しています。そのため、世の中の真の広さや多様性を伝えるストックコンテンツの需要は高まるばかりです。Adobe Stock利用者のこうしたニーズに応えるため、私たちが今求めているのは、様々なジェンダーの人々を等身大の姿を表現したビジュアルです。力強いストーリー性があり、私達のライフスタイルを正確に描いた作品です。

私たちは昨年、上記の要素を満たすようなコンテンツ、つまり、インクルージョンの視点に立った真実味とインパクトを兼ね備えたコンテンツの制作を促進するため、Adobe Stock支援プログラムを立ち上げました。そして、このプログラムの一環として、新しい多様なビジュアル制作を応援する目的で、8つのテーマから成るクリエイティブ・ブリーフを用意しています。また、Adobe Stockにおけるインクルージョンへの取り組みをさらに広げるため、ビジュアルで取り上げられることが多くなかったコミュニティに属し、かつコンテンツ制作活動を行うアーティストを対象に、アーティスト 開拓ファンドと称する50万ドルの創作支援プログラムも創設しました。こちらで募集を開始していますのでご覧ください(英語のみ)。

アーティストの皆さん、私たちが求めるコンテンツ:Identity and Genderをぜひご覧ください。そして、個々人が余すところなく唯一無二の自分を表現している写真、イラストレーション、ベクター、ビデオの最新かつ最高の作品を投稿ください。皆さんからどのような作品が生まれるのか今から楽しみでなりません。応募のプロセスは英語になりますが、日本のアーティストからも是非参加いただき、私達のリアルなライフスタイルを描写した作品を発表してください。皆様からのご応募をお待ちしています。

この記事は2021年4月30日にSarah Casillasにより作成&公開された Binary and beyond: Gender and representation in stock imagery の抄訳です。