世界一クリエイティブなサポート・アドビTAMという仕事の魅力

アドビのクラウドソリューションを利用しているお客様に対し、プレミアサポートを提供しているのがTechnical Account Managerです。長期にわたってお客様と向き合い、課題を解決するクリエイティブな仕事です。その魅力を上野尚之に聞きました。

チームメンバーがこぶしを合わせる

アドビのクラウドソリューションを利用しているお客様に対し、年間ライセンスに含まれるプレミアサポートを提供しているのがTAM(Technical Account Manager)です。単に技術的な疑問・質問に答えるのではなく、お客様自身がアドビのソリューションを使いこなし、その価値を体感できるまで、環境整備やトレーニングなどあらゆる面で支援することがTAMの仕事。長期にわたってお客様と向き合い、課題を解決するクリエイティブな仕事です。その魅力をプレミアサポートマネージャー 上野尚之に聞きました。

単なる受け身のサポートではない、TAMの魅力

——上野さんはアドビに入社されて何年目ですか。

上野:10年以上になります。前職ではWeb分析ツールのベンダーに所属していましたが、アドビに買収されたことをきっかけにジョインしました。アドビ入社後は、コンサルタントとしてそのWeb分析ツールの導入・構築支援を行っていましたが、8年くらい前、現在のTechnical Account Manager(テクニカルアカウントマネージャー:TAM)へと転身しました。

アドビ プレミアサポートマネージャー 上野尚之

▲アドビ プレミアサポートマネージャー 上野尚之

——TAMの業務内容を教えてください。

上野:アドビは「Adobe Creative Cloud」「Adobe Document Cloud」「Adobe Experience Cloud」という3つのクラウドソリューションを提供しているのですが、私が担当しているのは最後のExperience Cloudというソリューションになります。これは企業のマーケティング活動全般を支援するソリューションで、お客様は年間ライセンスを購入してクラウドとして使う形になるのですが、その年間ライセンスには「プレミアサポートサービス」という有償サービスが付帯しています。TAMはその有償サポートサービスを提供するチームになり、私はそのチームのマネージャを務めています。現在、約20名のメンバーがおります。

——アドビにはコンサルティング部門もありますよね。コンサルタントとTAMとは、また違うのですか?

上野:コンサルタントとTAMは、大きく2つの点で違いがあります。1つはミッションの違いです。コンサルタントは、Experience Cloudを使ってお客様のビジネスを推進し、数字を上げていくことが主眼で、自分たちも手を動かすし、アドバイスも行いますが、TAMは「お客様がアドビのソリューションを活用するにはどうすればいいか」という姿勢がメインになります。アドビを活用し、お客様自身にその製品の価値を体感していただくことがミッションなので、製品の活用を阻む原因や問題を特定したり、場合によってはトレーニングを実施したり、日々の困りごとをお客様と一緒に解決していくというスタンスです。

もう1つの違いは、お客様と関わる期間です。コンサルタントの場合、専門性を活かして、構築や要件に応じてコンサルティングを提供するケースが多いですが、TAMは1年あるいは 2 年というように、長期間でお客様とエンゲージするというスタイルが決まっています。その期間でお客様と活用プランを作り、その度合いをどうやって上げていくか考えて支援する、そんなイメージです。

そのため「自分が何をできるか」というよりも、常にお客様目線でいることが求められます。お客様が何かで困っているということは、私たちの製品も継続していただけないことになります。TAMは、言ってしまえばそういう大きな課題に常に対峙している仕事です。そこで長期にわたってじっくりとお客様と向き合い、どうしたらベストな形になるかを考え、何かのきっかけでより良い解決策が浮かんでくる。それでお客様から感謝されたり、課題解決につながったりという成果が得られると、非常に嬉しいですね。

——聞かれたことに答えるのではなく、それぞれのお客様とじっくり向き合い、ベストな活用法を考え、提案していくわけですね。単なるサポートいうより、クリエイティブ性が求められる気がします。

上野:そうかもしれません。アドビはPhotoshopやIllustratorなどクリエイティブ製品のイメージが大きいのですが、「お客様目線で、その方に合ったより良い解決策を創造する」という意味では、TAMの仕事もクリエイティブだと思います。

プロマネ力と幅広いIT知識で、活用の阻害要因を徹底的につぶす!

——クリエイティブ性が高いということは、一方で、TAMになるにはかなりのスキルが求められると思います。そのあたりの要件はいかがでしょう?

上野:いまはコロナ禍でお客様先に常駐はしていないのですが、ネットワークでいつでもコミュニケートできるようになっています。その点で、時間の使い方やお客様との向き合い方など、うまくバランスを取らなくてはなりません。実際TAMのメンバーは、お客様のビジネスが止まらないようにコミュニケーションしつつ、できるだけ分散して、個々のお客様に最大限のサポートをしていくバランス感覚に優れた人が多いですね。

メンバーのバックグラウンドはさまざまです。Experience Cloudには、CMSのようにIT領域に近いものもあるので、SI企業でプロジェクトマネージャーをやっていた人もいれば、広告代理店でデジタルマーケティングの施策支援をやっていた人もいます。受け身でテクニカルな質問に答えることもありますが、そのレベルは超えて、「お客様のビジネスに対し、どれだけ価値が出せるか」というところでチーム全体が成長しています。

——その「TAMがお客様に貢献している価値」について、詳しく教えてください。

上野:アドビはベンダーなので、当然製品に関する情報は誰よりも持っています。加えて、クラウドソリューションという特性上、お客様のデータも安全に保有しています。この2つの知見により、私たちには「アドビのソリューションを使って、お客様のビジネスの付加価値をより向上させる」というノウハウがあります。その知見やノウハウをもって、長期的な戦略の下でお客様の支援していくことで、成功に導いていけるのは、やはりTAMという職種の醍醐味だと思います。

ちなみにアドビにはカスタマーサクセスという専門チームがあり、お客様の成功という意味でいえばそちらの方が責任を負っていると思いますが、TAMの場合、テクニカル分野で障壁となっている要因を徹底的につぶし、成功への道筋を準備するイメージです。それができるのは、TAMだけだと思います。

——かなりのIT知識が必要ですね。

上野:IT知識については、プログラミングができるかはあまり問題ではありません。それよりも幅広い知識を持っていることや、それぞれに詳しい人を集めて解決に向けプロジェクトを遂行していくプロジェクトマネジメント力のほうが求められますね。なぜなら、成功への道筋も単純に1つではなく、プロセスを踏まなくてはなりませんし、ITまわりのことだけで解決できるわけではないからです。

やるべきことの第一は、環境整備です。クラウド側、あるいはお客様の実装環境の方で不安定な要素があれば、その問題点をすべて洗い出してつぶしていく。第二に、「どう使っていけばいいか、わからない」という疑問に対し、そこに対して長期的に少しずつトレーニングなどを重ねていく。トレーニング部門では全体的・網羅的なトレーニングを実施していますが、TAMはお客様ごとにカスタマイズしてメニューを組み、最終的には「どんどん使い倒してもらう」までを目指して支援する役割になります。

長期的にお客様と関わりたい、その思いでTAMを志願

——上野さんがコンサルタントからTAMへ転身したきっかけを教えてください。

上野:コンサルタント時代は、Web分析のなかでも導入部分だけ、構築部分だけ、というように、次から次に異なるお客様のプロジェクトを支援するという立場でした。「あの後、あのお客様はどうなったのかな」と気になりながら次の案件に移るということも多かったんです。私としては、もう少しお客様と長期にわたって向き合いながら運用を続け、最後まできちんと責任を持つところまで担当したいと思っていました。そんな時、TAMのメンバーを募集していることを知り、手を挙げたのがきっかけとなります。そして2020年の12月、メンバーからマネージャーとなり、チームをまとめる立場となりました。

——チームをまとめるマネージャーとしての抱負をお聞かせください。

上野:そうですね、その方針を明確にしていくことがいまの自分の課題です。会社としては「お客様に長くアドビ製品を使っていただき、その価値を理解していただく」という事業目標があり、TAMはその目標に対し、「そこまでいかに早く導いていけるか」というミッションを負っているので、そうした目標意識のあるメンバーをどんどん増やしていきたいとは思っています。

——個人的にいま力を入れていること、頑張っていること、興味を持っていることはございますか?

上野:2つあります。1つは英語です。子どもがインターナショナルスクールに行っていて、まだ小学校の真ん中くらいなのに、もう私より英語がうまくなってしまいました(笑)。特に発音はネイティブレベルです。私は20歳を超えてから本格的に英語に取り組んだので、子どもと比べると発音は全然だめなんですよ。その壁を越えるべく、動画サイトを駆使しながら楽しんで英語力アップに努めています。

もう1つはインラインスケートですね。コロナで運動不足気味になり、昔ワーキングホリデーでカナダにいた時にやったインラインスケートを再開しました。ただ、まだスイスイ滑れるレベルではないので、人がいない時間帯の公園でこっそり練習しています。目下の目標は、「人がいる時間に練習に行けるようになる」ことです(笑)。

インラインスケートをする上野尚之

▲インラインスケート、練習中!

困っているとみんなが手助けしてくれるアドビのカルチャー

——最後に、アドビのカルチャーで好きな点やこれからやってみたいことをお聞かせください。

上野:アドビの好きなところといえば、やはり「人」ですね。いい人が多いから、10年以上働いてきたのだと思います。困ったことや疑問点、たとえば「お客様がこういうことで困っているけど、どうすればいいか」と尋ねると、それこそ全世界のアドビの社員から、いろいろなアドバイスや解決策を与えてもらえます。誰かの困りごとに全社一丸となって取り組むカルチャーが、アドビのような規模の会社でもまだ生き続けているということは、かなり珍しいのではないでしょうか。アドビの根底にはクリエイティブ、創造性が根付いていますが、そういう多様性があることが、いいカルチャーを生み出しているのかもしれません。

将来の目標については、漠然としたものですが、家族と共に一度は海外で暮らしたいと思っているんです。アドビは幸い、海外で働くことへの支援も理解もあるので、グローバルに活躍していきたいですね。