<企業が動画内製化を続けるべき理由> 実践!業種別動画内製化のワークフロー を徹底解剖【第4回】動画マニュアル作成編
「企業が動画内製化を続けるべき理由 実践!業種別動画内製化のワークフロー を徹底解剖!」と題して5回に分けてブログを公開していきます。今回のテーマは「動画マニュアル作成編」です。
今から動画内製化を始める人と、始めたけどワークフローや技術面で課題があり、思ったように内製化が進まない方も対象としたブログを書いていきます。
みなさん、こんにちは。株式会社火燵の安部(Twitter: @kotatsu_kun)です。今回は<企業が動画内製化を続けるべき理由> 実践!業種別動画内製化のワークフロー を徹底解剖。【第4回】動画マニュアル作成編についてです。
第4回 動画マニュアル作成編
まずは事例のご紹介です。
<動画マニュアル作成事例>
江本手袋株式会社 様
https://www.emoto-tebukuro.jp/
作成した動画マニュアル
使用カメラ:スマートフォン、GoPro
使用ソフト:Premiere Pro
香川県東かがわ市の江本手袋株式会社様はTV東京の人気番組、和風総本家でも取り上げられた手袋づくりの老舗メーカーです。東かがわ市の手袋産業は地域の職人が130年の伝統文化を継承してきたものの近年では、機械自動化で大量生産される手袋づくりが一般的となり、手作り手袋への需要と供給は年々減っているのが現状です。文化としての手袋づくりを残すため、また後継者を育てるため、江本手袋株式会社様では自分たちで動画マニュアルの内製化を実施する事にしました。ここでは江本手袋株式会社様の動画広告制作のワークフローをご紹介します。
動画マニュアル制作のワークフロー
1)企画
*このような画像を1枚作ると動画マニュアルがどのような構成がイメージがしやすいです。
動画マニュアルを作るのに必要な企画書の必須項目としては、内部向けか、外部向けか?、動画の本数と対象となる作業、クオリティポイントが分かる画像(画像1枚でもサンプルで作ると分かりやすい。)、予算、アップロード先や公開範囲、視聴者の属性(初心者か?その道のプロか?)などになります。動画マニュアルの作成は視聴者の専門性や経験の有無などで表現の仕方が大きく変わります。今まで本ブログで取り扱ってきたマーケティング重視の企画よりも、動作そのものを分かりやすくする為の表現が動画の企画作業でもポイントになります。江本手袋株式会社様の動画マニュアルの場合、視聴対象は服飾専門学校に通う学生です。一般の方よりも縫製などの知識はありますが、プロではないので学生が理解できる専門用語の範囲内で優しく語りかける動画を企画しました。また手元を大きく分かりやすく撮影することを心がけてGoProとスマートフォンを使い撮影しました。
2)コンテ
一般的な動画制作には絵コンテが必要となります。絵コンテは制作チームが意思統一をする為にも必須です。江本手袋株式会社様の場合は構図が手元のアップのみで限定的であることから紙の絵コンテは作らずに、テスト撮影を行い動画コンテを作成しました。完成尺が1時間を超える、作成本数が多い、様々な構図で撮影する必要がある場合は、紙資料などで確認した方がいい場合もあります。動画コンテをいきなり作成する方法も時には時短に繋がります。テスト撮影した動画コンテを確認して、内容が伝わるか、画面に対して人物の大きさが構図的に適切か、説明文を掲載する場合は、画面に対してテロップの位置をどこに持っていくか、文字数、文字の大きさなどを確認し工程や説明に問題がない事を確認して本番撮影を行いましょう。
3)撮影
*動画のテロップスペースを意識しながら撮影するの難しいので画面いっぱいに撮影して、動画を縮小して空いたスペースに説明文を配置する方法を採用した。
絵コンテやテスト撮影を元に撮影していきます。江本手袋株式会社様の場合はスマートフォンで撮影しています。GoProとも比較したのですが、決め手は、手元を至近距離で撮影する構図のみである事、一番慣れているカメラで撮影したいという理由です。撮影時は以下の点に気をつけましょう。予定した構図で正しく撮影できているか?これは理解度に直接影響します。動作が何かに被って写ってない、全体の一部して写ってないとマニュアル動画として成立しませんのでご注意ください。次にテロップの配置スペースは確保できているか?これは撮影前までに表示文字数とサイズを確定しておく必要もあります。演者がいる場合、演者の動作が単純で分かりやすいかもチェックしましょう。カメラマンは動作のタイミングやスピードを演者に指示して視聴者にとって観やすい動画マニュアルを目指しましょう。
4)編集
*説明不足の部分はテロップで補います。
撮影までの作業がしっかりしたものであれば、編集の作業負担は少なくなりますが、撮影で気がつかなかった言い間違えや、説明不足部分などはどうしても発生していしまいます。編集作業はそう言った「改善のポイント」を発見する作業でもあります。説明不足部分は、ナレーションやテロップで補います。それでも分かりにくい場合は再撮影となります。よくある修正事例としては、ナレーションに「主語」や「述語」が抜けているパターンです。そういう場合は補足テロップを入れるようにしましょう。編集で「動画の分かりやすさ」が確定となります。とにかく、分かりづらい部分は徹底的に補足することに注力しましょう。完成したら初見の方を中心にチェックしてもらいましょう。2回目以降も同じ人にチェックしてもらうより、別の初見の方に視聴チェックしてもらう事をお勧めします。
動画マニュアル作成に必要な技術
1)客観的なシナリオ作り
動画マニュアル作成の難しいところは、制作サイドにとっては当たり前の作業で、視聴者にとっては初めて観る高度な作業を動画化するとういう状況です。視聴対象の年齢や属性を明確にします。動画マニュアルは動画(アニメーションや実写)、文字(テロップ)、声(ナレーション)をフル活用して構成します。説明文章やナレーションは主語、述語、目的語、修飾語が使われている確認します。「このように」や「少し」などは受け手よって大きく印象が変わります。程度を表す言葉は、可能であれば数字で伝えるようにしましょう。動画マニュアルはとにかく「1度視聴すれば理解できる」が重要なポイントになりますので、小学生が観ても理解できる事を意識して取り組んで観てください。
2)撮影はレンズの知識が必要
Canon公式サイト 交換レンズ基礎知識 : https://cweb.canon.jp/ef/knowledge/
動画マニュアルを撮影する時のカメラについては、どれくらい構図に変化があるかで決定します。撮影対象である被写体と動作を考慮してレンズや照明などを選択する必要があります。
3)音声もクリアに録音したい
*リフレクションフィルターやポップガードを使うと音質が向上します。
動作をナレーションで補足する場合は動作中に声を録音した方が効率的です。カメラ標準のマイクで録音しても良いですが、被写体との距離が離れたり商品の動作音が入ると聞こえが悪くなります。そんな場合はワイヤレスピンマイクを口に近い位置に装着して録音しましょう。カメラ標準のマイクよりも格段に聞こえやすさが向上します。音質を確保したい場合はナレーションブースで別録音しましょう。
4)編集で音声を修正・改善
動画マニュアルでの音声は、動画マニュアルの主役と言っても過言ではありません。音声がクリアに聞こえるだけで動画マニュアルの理解度が格段にアップします。ピンマイクを使い、大きな声で上手く録音できた音声ファイルでもPremiere Proで音量調整、ノイズ除去の最終調整を必ず行いましょう。また最新バージョンのPremiere Proには自動文字起こし機能がついています。クリアな音声と短時間で作成できる字幕を使って最高の動画マニュアルを作りましょう。
動画制作に必要な書類の作成について
1)スタッフの出演承諾書
企業の動画活用が増える一方で以前では想定されなかったトラブルも発生しています。例えば、社員が出演した動画を作成した場合でも、その社員が退職した場合などは、それまでとは事情が変わってきます。社員は退職する事を前提として使用期間も含めた同意書の作成をお勧めします。
2)著作物使用承諾書
スマートフォンが1台あれば動画の撮影・編集、アップロードまで誰でもできる時代です。ネットを検索すれば素材集もたくさんヒットしますが、それぞれのサイトで使用の制限や用途が限られます。それぞれの素材集サイトの利用規約は必ずチェックして利用規約内で素材を使いましょう。アーティストのコンテンツを使用する場合は著作物の仕様承諾書を作成して同意を得ましょう。
動画マニュアルをYouTubeへアップロードして結果を出す方法
1)目次機能
*目次を掲載した方がGoogle検索で露出しやすくなります。
最近では何かの方法などをGoogle検索した時に、検索結果が目次付きのYouTube動画として表示されるようになっています。YouTubeには目次の表示機能があり、誰でも自分がアップロードした動画に設定可能です。Google検索の結果に目次付きのマニュアル動画が表示される回数も増えているので皆さんもチェックしてみてください。
2)視聴者維持率を観てユーザー視聴状況をチェック
*視聴者維持率が高いところは動画マニュアルにおいて分からないポイントかもしれません。
YouTubeには動画マニュアルのどこが観られているかチェックする機能があります。YouTubeにログインしてYouTube Studioからアナリティクスの視聴者維持率をチェックしましょう。グラフ上で動画のどこが視聴されていて、どこが観られてないのか確認できます。極端に観られていない部分はカットの対象になりますし、何度も観られているところは、分かりづらいのかもしれません。もう少し丁寧に説明するなどの改善を行いましょう。
3)多言語での動画作成はYouTubeの字幕機能
*字幕機能は海外言語の字幕を後から追加したい場合に有効です。
海外向けに複数の言語字幕で動画を作成したい場合はYouTubeの字幕機能を使いましょう。仕様上、字幕の文字の大きさや色は指定できませんが、作成・アップロードする本数を抑えたい時には便利な機能です。チェックしてみてください。
以上、いかがでしたでしょうか?動画マニュアルは売上に直結しにくいクリエイティブです。予算が多く割かれることは少ないでしょうから動画内製化に前向きな企業も多いでしょう。説明が中心ですのでデザイン性を求められる事は少なく、制作のハードルも低いはずです。ワークフローなどで不明点があればTwitterで気軽に質問をください。
最終回、第5回は「採用動画作成編」をお伝えします。2020年はオンライン説明会など採用市場もオンライン化したの1年でした。2021年も多くの方が多くの方が採用動画制作に挑戦しています。何から手をつけていけばいいのか、ワークフローについてお伝えしたいと思います。
アドビが勧める動画内製化の詳細については下記をご覧ください。
https://www.adobe.com/jp/creativecloud/business/teams/video-work.html