個人の表現が世界を変える:ユーザー生成コンテンツ (UGC) が支持される理由

キャンプ、テント、足、女性、飲む、暖かい

イメージ:Adobe Stock/AILA_IMAGES.

ソーシャルメディアをきっかけにトレンドとなることは珍しくありません。UGC(ユーザー生成コンテンツ)と呼ばれる手持ち撮影の映像もそのひとつです。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で世界中のクリエイティブ制作が休止を迫られる中、アマチュアのクリエイターによって作成されたコンテンツが急速に主流になってきました。

「手持ち撮影による映像がこれほど広まったのは、パンデミックによる影響が大きいといえるでしょう。広告、テレビ、映画用の映像は制作できない状況でしたので」と、Adobe Stockのモーション&オーディオ部門の責任者を務めるTom Spotaは語っています。「複雑なセット、高額な予算、多くの関係者による共同作業はもう必要ないのです」

賢明なコンテンツクリエイターは手持ち撮影に着目し、一般の人がモバイルデバイスで撮影したコンテンツを積極的に取り入れ始めました。テレビや広告の業界では、多くのクリエイターが手持ち撮影をCOVID-19で制約を受けるコンテンツ制作の課題を解決する手段だと考えたのです。映像制作の分野では既にデジタル化が進んでいましたが、制作の一連の流れを完結できるリモートワーク環境が実現したことにより、業界は一変しました。Adobe Stockの2021年のモーショントレンドのひとつである手持ち撮影は、安全でスマートなリモートワークの実現に大きく貢献しているといえるでしょう。

「UGCの特徴に、リモートでも制作を完結させることができる点があります。キャスティングもプロダクションも、社内の専門家と直接対面することなく進めることができるのです」と、昨年の夏Isabelle Sarraf氏はBackpage誌に綴っています。「しばらくの間、リモートキャスティングが主流となるのは間違いありません。演者の活躍の場が広がるだけでなく、スタジオにとっても費用対効果が高く、コンテンツ制作の敷居も低いことがこのトレンドが続くと予測する大きな理由です」

しかし、手持ち撮影による映像がトレンドとして確立された要因は、わかりやすい「手作り感」にあると考えます。人と人とのつながりが希薄になっている今だからこそ、映像を観てすぐに親近感が沸くかどうかという点が重要なのです。この場合のすぐ(即時性)は、ユーザー生成コンテンツを使用することでブランドがタイムリーな制作ができるということも意味しています。

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イメージ:Adobe Stock/AnnaStills.

手持ち撮影による映像が他者とつながる感覚を増長

手持ち撮影で制作されたタイムリーで感動的なコンテンツの中には、このスタイルの人気を決定づけた作品がいくつかあります。2020年にGoogleが発表した広告「thank you, teachers」では、リモートで学習する子どもたちや保護者の様子を撮影した手作り風の映像に教育者を支援する心のこもったメッセージが添えられていました。

Facebookもパンデミックによる精神的苦痛を訴えるインパクトのある広告を公開しました。「Never Lost」と名付けられたこの広告は、手作り風の映像と「People’s Faces」の作者Kate Tempest氏が朗読するナレーションで構成されています。これらの短い映像作品では、世界中の人々が共感できる感動的な生活の「まさにその瞬間」が表現されています。そこにブランドの支持と顧客層に対する理解が織り込まれているのです。

「手持ち撮影の映像は他者とのつながりを作り、孤独感をやわらげる効果があります」とSpotaは言います。「手持ち撮影の映像には人と人とをつなぐ力があるという点で、UGCは特に効果的でした。同じような状況にある人たちを見て、自分もパンデミックに直面している人たちのコミュニティの一員であると感じることができますからね」

「人と人とのつながり」こそが手持ち撮影のコンテンツを成功に導く鍵なのです。

手持ち撮影による映像コンテンツの魅力の大部分は、その信頼性にあります。つまり、それは現実の生活そのものだということ。だからといって、必ずしもコンテンツの内容が感情的である必要はありません。Microsoftが2020年に公開した広告はコミュニケーションプラットフォームの「Teams」をテーマとし、スクリーンシェア形式の映像と、このサービスがいかにリモートワークへの移行を支援したかを説明するユーザーの声を中心とした、シンプルな構成になっています。つまるところ、リアルさこそが肝心なのです。

「ユーザー生成コンテンツの正統性は他に類を見ません」と、Adobe StockのビデオキュレーターであるRamin Talaieは語っています。「まさしくユーザー本人がそこにいて、自分自身の実体験を見せてくれるのですから、これ以上の本物はないでしょう」

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イメージ:Adobe Stock/blackboxguild.

社会的証明のためのビデオ速記術

Talaie等が語っている累積効果は「社会的証明」という名前で知られており、1984年にビジネスと心理学の両方を専門とするRobert Cialdini教授が初めて使用した用語です。「社会的証明」のコンセプトはCialdini教授の著書『Influence』の記載にあるように、人間は「ある状況において、自分の判断より周囲の人たちの判断を頼りにしてしまう」という考えに基づいています。手持ち撮影の映像はこのニーズにまさに合致しているのです。

昨年の夏、Jasmine Giuliani氏はオーストラリアのMarketing誌に掲載された記事で「UGCは社会的証明という強力な現象を利用している」と綴っています。「人間は遺伝子的に他人の経験から学ぶように組み込まれています。それは知り合いの誰かかもしれませんし、信頼するブランドかもしれません。UGCがマーケティング戦略として非常に重要視されている理由は、消費者にとって親近感のある普通の人々が登場することでブランドの信頼性を高めているからなのです」

手持ち撮影の映像がパンデミックによる一時的な需要の高まりを超え、継続的に求められるトレンドになってきているのは明らかです。ブランドやクリエイターが着目しているUGCのメリットは、洗練されたスタジオを使用せずとも映像でに高い生産価値があるという点です。「企業が求めている人材は、実生活に即した形でライフスタイルや製品を使用している人たち」であると、昨年の秋、Forbes誌のRebecca Kowalewicz氏は書いています。「理想化された華々しい『ありえたかもしれないもの』は、『実際にあるもの』、そして製品が消費者の生活をどのようにしてより良く、より便利にすることができるのかというものに取って代わりつつあります。

数字でもこれを裏付けるデータが出ています。昨年の秋にMax Willens氏がDigiday誌で報告したように、Facebookだけでも「ブランドやメディア企業が制作していないコンテンツの動画再生回数は1年を通して堅実に伸びており、2020年1月の2,230億回から2020年8月には4,950億回まで増加していることがTubularのデータで明らかになりました」

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イメージ:Adobe Stock/E_MOTION_MEDIA.

ストックビデオでビジュアルに奥行きを追加

一般の人による手持ち撮影の映像を取り入れるのは、ときに難しいことがあります。かわいいペット、悲しい思い出、子どもの歌声などをライセンス映像にしたい人もいれば、完璧なシーンを世間の目にさらしたくないという人もいるでしょう。

2017年、Global Marketing Alliance(GMA)は、知的財産権の使用の複雑さについて報告しました。「ユーザー生成コンテンツのライセンスや著作権に関する法律は曖昧であることが多いため、取り扱いを間違えるとブランドは痛い目を見ることがあります」と、GMAのSimon Banks氏は書いています。「多くの消費者は最新の情報を入手し、自分の権利をよく理解していますし、..自分のコンテンツが盗用されたことを知ったら法的措置をとるでしょう」。これは理想的な状況とはいえませんね。

このようなジレンマをお持ちの方に役に立つのが、お客様の需要に応じてコンテンツを制作することができるストックサービスと、ストッククリエイターです。近年、ストックの需要は高まる一方です。スタジオでの制作が徐々に再開されているものの、依然として手持ち撮影の映像が一歩リードしています。

「今後テレビの放送で広告を展開する方法を永久に変えてしまったのではないでしょうか」と、Tom Spotaは語っています。「高い生産価値が必要とされるのはいつの時代も同じですが、UGCと手持ち撮影の映像は放送業界で加速度的に普及しているといえるでしょう」

Adobe Stockのギャラリーで手持ち撮影映像のトレンドをご覧ください。

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この記事は2021年6月11日に Brenda Milisにより作成&公開されたThe world according to us: user-generated content’s epic riseの抄訳です。