STEAMやSDGsの学びに重要なアウトプットの力を支えるGIGAの1人1台端末とクリエイティブツール

GIGAスクール端末の活用促進をめざし開催するSDGsクリエイティブアイデアコンテスト。作品応募を希望する学校や教員に対し、SDGs学習のポイントやAdobe Spark活用事例など作品制作に役立つ情報をお届けするオンラインセミナーをレポートします。

朝日新聞 SDGs ACTION!とアドビが開催する「SDGsクリエイティブアイデア コンテスト2021」がスタートしました。応募期間は2021年7月1日(木)~9月30日(木)で、SDGsの達成に向けた解決のアイディアを全国の小、中、高等学校より広く募集しています。教育機関向けに無料で提供されるAdobe Sparkで、動画を含むウェブページにまとめることが応募条件です。コンテストに向けた作品作りやSDGsの学びのヒントとなるセミナー「GIGAスクールの1人1台×STEAM教育」が、2021年7月19日(月)に開催されました。

STEAM教育とICT活用についてコンテスト審査員が語る

前半は、本セミナーの審査員、東京大学大学院情報学環/東京大学生産技術研究所 教授 大島まり氏と文部科学省ICT活用教育アドバイザー/株式会社情報通信総合研究所 特別研究員 平井聡一郎氏の対談です。GIGAスクール構想による学校現場のICT化とSTEAM教育について意見が交わされました。

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大島まり氏(左)と平井聡一郎氏(右)によるオンライン対談の様子

まず、GIGAスクール構想の「GIGA」は「Global and Innovation Gateway for All」であることを改めて確認。平井氏は「広い世界に飛び立っていく子どもたちにはイノベーティブな活動が必要で、その入り口をすべての人たちに用意しようというもの」と表現し、自治体間のICT整備格差を埋める必要から始まったと説明しました。大島氏は、ICTの導入により、従来の一斉授業の形が変化し個々の生徒に応じた教育プログラムを提供できるようになるとし、「学校現場のDXが進み、教育のパラダイムシフトが起こるのではないか」とポジティブに受け止めます。ただし現時点は端末の整備がおよそ完了したところで、いわば「ようやく電気が通ったところ」。これからツールとして使いこなしていく段階で、デジタルコンテンツの整備や、学習者のデータの集約と解析、学習者へのフィードバックをどう行うかなど、さまざまな課題があると指摘しました。

STEAM教育の可能性

STEAM教育は、Science、Technology、Engineering、MathematicsにArtの要素を加えた教科横断的な学びであることを大島氏が解説しました。例えばSDGsのような社会的な課題を解決するためにどのような知識が必要か、理数系に限らず複数の教科にたちもどって要素ごとにブレークダウンし、個々の作業や多様な意見交換を行いながら各知識を統合して課題解決の方針を考えるという手法を取ります。

平井氏は、従来の教科の枠組みを超えて探究的な学習を行うと結果的にSTEAM教育になるだろうと指摘します。例えば、さつまいもを栽培するだけでなく、栽培したさつまいもを道の駅で販売することを目的にすれば、値段設定や市場調査が必要になり自然と算数や社会などの要素が入ってきます。このように「教科書の内容を教えるスタイルではなく、学びをデザインするというふうに変わらなければいけない」と平井氏。学習指導要領でもカリキュラムマネジメントで教科横断的な学びを設計できることになっていて、子ども達が自由な学習ができる環境が整っていると説明しました。

SDGsは社会課題を自分ごととして捉える絶好の機会

SDGsはグローバルで抱えている社会課題を「自分ごと」として捉える大切な機会になると両氏とも指摘します。自分ごととして関わることで生きた知識を身につけ、社会課題を解決するプロセスを学ぶことができます。

そうした学びの中で、学んだことや考えた解決策をアウトプットすることが大切だと平井氏は指摘。自分のイメージをより具体化しやすいツールが必要で、例えばAdobe Sparkは使いやすく簡単にきれいな作品を作れるため、子ども達も評価する先生の側も表現する内容に集中できると評価しました。

大島氏は、「ICTは使いこなさなければただの箱」であり、アイディアを表現するソフトの存在が重要だと話します。形にしたものを共有することで新たなアイディアを呼び込んで進化させるというプロセスがクリエイティビティの育成には大切だということです。

「社会的な課題を解決する方法はひとつではないんですね。自分なりのアイディアで本当に自由に『自分だったらこういうふうに社会をよくしていきたい』という思いをぜひ形にしていただきたいなと思います」と大島氏は呼びかけました。

聖徳学園のSTEAM実践

つづいて、聖徳学園中学・高等学校の情報科教諭でExecutive ICT Director、学校改革本部長の品田健先生が、STEAM教育の実践を紹介しました。品田先生はAdobe Education LeaderとApple Distinguished Educatorの認定を受けており、ICTを活用したクリエイティブな学びの設計に積極的です。

同校のICT環境はセミBYOD方式で全学年の生徒が1人1台のiPadとApple Pencilを使用し、貸し出し用のMacBook Proも整備しています。また、「情報科」を「STEAM」、「総合的な学習の時間」を「SDGs」と呼び、コラボレーションして授業を進めています。

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中1では基礎基本をおさえつつムービー制作なども行う。中2、中3では地元武蔵野市に関係すること、高1、高2では国際協力プロジェクトに取り組む。

同校ではSTEAMを「学んだ知識や技能を統合して課題や問題に取り組み、創造的なアウトプットを行う」と定義して様々な学習活動を行っていて、いずれもクリエイティブなアウトプットをするのが特徴的です。昨年度の高等学校では、例えばグリーンスクリーンを使った撮影で学習動画を作ったり、国際協力プロジェクトの一環として、担当する国のPRムービーや問題解決につながるポスターを作成したりしました。

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高校1年生がグリーンスクリーン撮影で作成した学習動画

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高校2年生が取り組んだ内容

Web サイト
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国際協力プロジェクトの中間発表として高校2年生が作成したポスター。Photoshopを使用

また、今年度は国際協力プロジェクトの取り組みをAdobe Spark Pageを使ってウェブページとして記録しています。年間を通じて継続的にまとめポートフォリオとする予定です。

男性の写真のコラージュ
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生徒がSparkで作成しはじめたウェブページ。随時成果を追加してポートフォリオとして活用

品田教諭は、アドビ製品を使うメリットとして「かっこいい作品が作りやすい」ため「生徒のクリエイティビティが刺激される」ことをあげます。生徒たちは日常的に様々な動画を見ているので要求レベルが高く、プロと同じ製品を使えることで満足度が高い様子です。また、各アプリの使い方などの解説動画が豊富に用意されているので、教える際に生徒に提示できてとても便利だと評価しました。

STEAMやSDGsの視点で構成される学びにはアウトプットが重要で、その現場では質の高いアウトプットの手段としてアドビ製品が活用されています。今回のコンテストで使用するAdobe Sparkは小学生から高校生まで誰でも操作しやすいので、ぜひ今から活用してコンテストへの応募に挑戦してみてください。

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SDGsクリエイティブアイデアコンテスト2021(公式サイト)