【イベント】College Creative Jam 2021 キックオフ いよいよ課題発表!モバイルプロトタイプで気候変動問題に挑む

リアルな社会問題の解決に大学生が挑むデザインコンペ「College Creative Jam 2021」のキックオフイベントをご紹介します。

リアルな社会問題の解決に大学生が挑むデザインコンペ「College Creative Jam 2021」が、8月20日(金)にキックオフを迎えました。本コンペのゴールは、出題テーマの解決につながるモバイルプロトタイプをAdobe XDで作成すること。技術や思考の手法を学べる多数の自由参加ワークショップが用意され、学びながらチームで作業を進められる参加型のコンペです。課題が発表されいよいよスタートを切ったキックオフイベントの様子を紹介します。

およそ60チームの参加でいよいよスタート!

今回コンペにエントリーしたのは65チーム168人。翌日から早速ワークショップが予定され、10月1日(金)の提出締め切りに向けて走り出します。アドビのエデュケーションエバンジェリスト 井上リサとクリエイティブクラウドエバンジェリスト 仲尾毅が、全国からオンラインで集まった参加者の気持ちを投票でつかみながら明るく進行しました。

審査員を務めるのは、コンペ課題の出題企業でもあるパタゴニア日本支社の環境社会部門アクティビズム・コーディネーター中西悦子氏、株式会社電通のカスタマーエクスペリエンス・クリエーティブ・センタークリエーティブディレクター/アートディレクター高草木博純氏、株式会社フェリシモのカスタマーマネージメントグループディレクター吉田綾貴子氏。各分野の専門的な視点から最終審査を担います。

アドビの井上リサと仲尾毅。審査員紹介

上段:アドビの井上リサ(左)と仲尾毅(右)。下段:審査員の皆さん

プロクリエイターから創作に向き合う姿勢を学ぶ

これからコンペ課題に取り組む参加者に向けて、審査員でもある高草木氏がプロの視点でクリエイティビティについてインスピレーショントークを行いました。

高草木氏は、「Creative」というのは、「社会への『提案』」であり、「他者へのブロポーズ」だと表現し、自分が求めている何かを表現するアートとは区別します。これまで自身が手がけてきたプロジェクトを具体的に紹介し、いずれも「前例がない」体験創出や課題解決のチャレンジだったことを示しました。

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「Creative」というのは、「社会への『提案』」であり、「他者へのブロポーズ」だと語る高草木氏。

高草木氏はこうして何かを生み出す過程で重要なポイントを参加者にアドバイスしました。1つ目は、考えるだけでなく手を動かし作ったり書いたりしながら考えること、2つ目は自分で気づいているかもしれないことに丁寧に向き合うことです。「逆にいうとアタマだけで考え他人の意見で決めたら最低だと思うんですね」と高草木氏。これから課題解決に取り組む学生達に、力強い指針となりました。

手を動かせ、自分の声を聴け、とアドバイス

手を動かして考えること、自分の声を丁寧に聴くことをアドバイス

いよいよテーマの発表!有機農業×土壌の健全性×気候変動問題!?

さて、いよいよ課題テーマの発表です。出題企業のパタゴニア日本支社から提示されたテーマは「有機農業×土壌の健全性×気候変動問題」。審査員でもある同社の中西悦子氏が、出題の背景を説明します。

テーマは有機農業、土壌の健全性、気候変動問題

中西氏がテーマとその背景を説明

アウトドアウェアで有名な同社は環境保全を重視していて、これまでにも全てのコットン製品をオーガニックコットンに変更するなどの取り組みをしてきました。現在のミッションステートメントは、「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」。気候変動問題を重く捉え、脱炭素などに貢献する3つの解決策を実行しています。

パタゴニア社は具体的に3つのアクションを実行している

そのひとつが「炭素を土に戻す」という農業。KERNZAという多年生で長い根を持つ穀物を栽培し、上の部分だけを収穫して根を土の中に残し耕さずに保持することで、土壌を肥沃にして大気中の二酸化炭素を吸収させて隔離するという試みです。その一環として、収穫した穀物でルートビアを作り販売するビジネスを行っています。

こうした農業を「リジェネラティブ・オーガニック農業」と呼び、気候変動の原因を抑え地球の健全性を保ちながら食料を供給できる方法として同社は支持。農家と協力してコットンの栽培にも着手しています。もし世界中でこの農法を採用できたなら、世界の年間二酸化炭素排出量を上回る炭素を土壌に隔離できるポテンシャルがあるというデータが紹介されました。

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パタゴニアが支援するリジェネラティブ・オーガニック農法 画像:パタゴニア

リジェネラティブ・オーガニック農法の農業者を増やす

「有機農業×土壌の健全性×気候変動問題」の背景を聞くと、地球規模のテーマの重大さと壮大さに圧倒されます。井上は、そんな参加者の気持ちに共感しながら、出題テーマを具体的な課題に落とし込んだChallenge Briefを配布しました。

現在日本で有機農業を行う農地面積は圧倒的に少なくわずか0.5%。有機農業面積を増やす目標は掲げられているものの、具体策にはまだ欠けている現状です。そこで、今回の課題は農業者を増やすという点にフォーカスし、**「リジェネラティブ・オーガニック農法に賛同する日本の有機農業者を増やすモバイルソリューションを作成する」**が、課題として示されました。

知識を深め課題に向き合う時間

さらに、より深く今回のテーマについて深く理解するために、福島大学食農学類 金子信博教授と、茨城大学農学部 小松崎将一教授からゲスト講演がありました。日本で「保全農法」と呼ぶ、土壌を耕さずに地表を草などの有機物で覆う栽培方法について、金子先生は土壌生物の研究の側面から、小松崎先生は農法の研究の側面からそれぞれデータを示して解説します。

福島大学金子信博教授と茨城大学小松崎将一教授

福島大学の金子信博教授(左)と茨城大学の小松崎将一教授(右)

初めて知ることばかりで、土を耕さず草を抜かない状態の畑で作物が育つ姿には驚くばかりです。授業を受けているような凝縮した情報量に引き込まれます。

さらに、事務局側で事前に有機農業に関わる農家、販売者など複数のステークホルダーにインタビューした動画が参加者に提供され、基本情報のリソースがそろいました。

キックオフ全体で長時間にわたり密度の濃い話を立て続けにインプットし続け、どこか合宿のような雰囲気です。テーマを表面的に捉えるのではなく、まずは、その背景と現状を深く知ることが何よりもアイデア出しやターゲット設定のスタートになるということが参加者間で共有されました。

学生同士の刺激の場がたくさん

参加者はDiscordでつながり、キックオフ中も裏ではテキストチャットで自己紹介が交わされる様子も。今後も期間中の情報共有や参加者間の情報交換に利用されます。「競い合うのではなくみんなで一緒に解決していくことを重視しているので、調べた情報やインスピレーション、不安な気持ちもどんどん共有してください」と井上。

また、7月に開催されたAdobe XDの使い方を学ぶ事前セッションでは、5回の連続講座のDay2〜Day5で、井上と共に現役大学生がゲスト講師を務めました。同世代の学生がXDを使いこなしデモンストレーションをする姿は参加者にとって安心大きな刺激になったのではないでしょうか。

Adobe XDの講座で講師を務めた学生

いよいよ全国23の大学、大学院から集まった参加者がチームで課題に挑みます。たくさんの学びを得ながら、どのようなアイデアとデザインのモバイルソリューションを提案するのか、今からとても楽しみです。

関連リンク

リジェネラティブ・オーガニックで目指す日本の食と農業の根源的な転換(パタゴニア)