PANAPANA「Adobe Frescoには“描きたくなる”ブラシがたくさんある」 Adobe Fresco Creative Relay 19

Adobe Frescoを使うクリエイターインタビュー企画「Adobe Fresco Creative Relay」。第19回はちょっぴりホラーでキュートなキャラクターを描く・PANAPANAさんが登場です。

PANAPANA Frescoイラスト

アドビではいま、Twitter上でAdobe Frescoを使ったイラストを募集しています。応募はかんたん、月ごとに変わるテーマをもとに、Adobe Frescoで描いたイラストやアートをハッシュタグをつけて投稿するだけです。
9月のテーマは「月」。一年の中でもっとも月が美しく見えるこの季節、月が浮かぶ夜空や月見を楽しむ様子をAdobe Frescoで描き、 #AdobeFresco #月 をつけてTwitterに投稿しましょう。
そして、この企画に連動したAdobe Frescoクリエイターのインタビュー「Adobe Fresco Creative Relay」、第19回はちょっぴりホラーでキュートなキャラクターを描く・PANAPANAさんにご登場いただきました。

月の光に映える雲を見上げるペオネ

「少しだけ雲に隠れた月と、その光が雲を白く照らしている様子ってきれいですよね。9月のテーマは“月”でしたが、雲も描きたいなと思って描いたのが、この月明かりが雲に映る光景を女の子が見上げているシーンです。
この女の子は、2年前から描いているオリジナルキャラクターです。ペオネ(PEONE)と名付けてイラストやアニメーションに展開しています。わたしのキャラクターの中で、いま一番見てもらいたい女の子です」

PANAPANA 「輝く夜」

生きものの絵ばかり描いていた幼少期

生きものをモチーフにした表情豊かなキャラクターが魅力的なPANAPANAさん。
こうした絵の原点は、どこにあるのでしょうか。まずはその生い立ちから遡ってみましょう。

「保育園のころからずっと絵を描いていて、小学校、中学校とそのまま描き続けて今に至るという感じです(笑)。本当にずっと、絵が好きなんです。
生物観察が好きだったせいか、人を描くことはほとんどなくて、生きものの絵ばかり描いていました。正確に、写実的に描くというよりもデフォルメして描いていたのは、家にあったピクサーの画集の影響かもしれません」

PANAPANA 「泳ぐペオネ」/「くもり」

「中学生時代に親から美術系の高校への進学を勧められたのをきっかけに、デッサンを学ぶようになりました。それまで描いていたデフォルメされた生きもののイラストとはまったく違うスキルを求められましたが、それまでの絵の描きかたは我流でしたし、“これで画力があがるなら”と思うとまったく苦にはなりませんでした」

女子美術大学付属高等学校へと進学すると、周りはみな絵を描く人ばかり。この環境は、PANAPANAさんにとっても刺激になったそうです。

「“もっとがんばろう”という気持ちになりました。いい影響を受けたと思います。
授業では油絵などいろいろな画材で絵を描いていましたが、それとは別に、趣味のイラストも描き続けていました」

PANAPANA 「夏休みのペオネ」

PANAPANA 「魚の女の子」/「こんばんは」

付属の高校から女子美術大学へ進むとき、“自分にはデザインの仕事のほうが向いているのかな?”と思ったPANAPANAさんはビジュアルデザイン専攻を選択することになります。
ただ、イラストの授業があれば積極的に受講し、描いたイラストをコミティアやグループ展で発表。TwitterやInstagram、pixivでもイラストを投稿し始めると、ユニークなキャラクターは国内外で注目を集め、Twitterで9万超、Instagramでは3万弱のフォロワーを獲得するまでになりました(2021年9月現在)。

左:PANAPANA×ヴィレッジヴァンガードコラボ スマホケース/右:BOOTHで販売中のTシャツ

自分の中で描いた世界をキャラクターを通して表現する

PANAPANAさんが描く、生きものをモチーフにした独特のキャラクター。描かれる線はていねいに整理され、色彩の選びかたひとつひとつにもセンスが光ります。
その世界観はどのように構築されていったのでしょうか。

「“生きものを描く”ということは子どもころからずっと変わっていないのですが、今回のイラストにも登場した髪がヘビの女の子・ペオネを描くようになってから、人間っぽいものを描くことが増えたと思います。
キャラクターを描くときは、そのキャラクターの背景、設定をできるだけ細かく考えていくのですが、そうすると自然と表情やファッションも自然と決まってくるんです。絵を描いていないときでも、“もっとこうしたらおもしろいかも?”“こういう性格だったら、こういうクセがあるんじゃないかな”って考えていますね。
線の描きかた、色彩は小さいときに好きだったタンタン(ベルギーの漫画家・エルジェが描く『タンタンの冒険』の主人公)や、サヴィニャックの影響があるのかもしれません。ああいうシンプルなラインが好きなんです」

集めている生きものフィギュアたち

描かれるイラストのキャラクター性は、アニメーションによってさらに色濃いものになっていきます。

「もともとGIFアニメーションを作ろうと思ったのは、自分のなかで考えたそのキャラクターの設定、世界がどんどん膨らんでいったからです。
“ペオネはこういう動きをするだろうな”“悲しいときはこういう表情をするんじゃないかな”と思うと、どんどん発想がつながって、新しい絵が思い浮かぶ。“描きたい”と思ったら、すぐ描きます。本当に忙しいときはなかなか描けませんが、少しでも時間があればイラストを描いていますね。楽しいことは別腹なんです(笑)」

PANAPANAさんの頭の中に構築されたキャラクターが住む世界。イラストもアニメーションもその一端を覗いているに過ぎないのです。

筆の多さにビックリしたAdobe Fresco

今でこそiPadでイラスト、アニメーションを描くPANAPANAさんですが、デジタルメインでイラストを描くようになったのは5年ほど前から。さまざまなペイント系ツールがあるなかで、Adobe Frescoをどのように評価しているのでしょうか。

「最初にAdobe Frescoに触れたとき、まず筆の多さにビックリしました。ほかのペイントツールもブラシの種類は豊富ですが、似たタッチのものも多いんですよね。でも、Adobe Frescoはタッチが違ういろいろなブラシがとにかく豊富で“すごいな!”と思いました。
“これはどんなペンなんだろう?”と、とにかくたくさん描いてみて“これはこう使えるんだな”という感触をひとつひとつ確かめていきました」

ブラシを細かくカスタマイズできることもPANAPANAさんがお気に入りのポイントです。

「わたしは普段からペンの設定をかなり調整しているのですが、Adobe Frescoは筆圧の感度までしっかりコントロールできる。こういう機能は本当に助かります。イメージ通りの線が描けるかどうかはツールを選ぶうえで非常に重要ですから。
その点、Adobe Frescoには、“描きたくなる”ようなブラシが揃っていると思います」

今回のイラストで使われたブラシ

今回のイラストには、Adobe Frescoの強みのひとつ・水彩も取り入れられています。

「今回、雲の部分は水彩ブラシで描いています。
イラストの塗りはいわゆるアニメ塗りのときもありますが、水彩っぽく描くこともありますが、Adobe Frescoならどちらの塗りにも対応できるので、作業がしやすかったですね」

PANAPANAさんのYouTubeチャンネル

イラスト、キャラクターデザイン、アニメーション、そしてYouTubeでの動画配信と領域を広げてきたPANAPANAさんは、今後どのような未来を思い描いているのでしょうか。

「最近はBlenderを使った3D制作も勉強しはじめました。わたしにはイラスト、アニメーションだけではなくて、立体にも憧れがあって。キャラクターフィギュアになったらきっとかわいいですよね。あと、実はこっそりゲームの勉強もしています(笑)。
いまは結果的にフリーランスのイラストレーターのようなかたちになっていますが、まだフリーランスとしてひとりで働くには早いと思っているんです。デザインもイラストも実務経験は多くありませんから、まずはデザイン事務所に入って、会社でしっかりとデザインを学び、社会を知るということがいまの目標です。その中でイラストも活かせたら、なおうれしいですね」

PANAPANA

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