海外での実績とノウハウを活かして、日本でもガバメント向けソリューションを強化

デジタル庁の発足に伴い、行政のDX化が進んでいます。アドビは、これまでの国内外における官公庁や行政のデジタル化を支援してきた実績をもとに、行政や自治体で優れたデジタル体験を提供したり、業務のペーパーレス・デジタル化の一層の推進を支援します。

Digital Govenment

■政府のDXを支援するパブリックセクターチームの立ち上げ

2021年9月1日、デジタル庁が発足しました。デジタル庁は「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。」をミッションに、デジタル社会形成の司令塔としてDXを推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げることを目指しています。

アドビはこれまで、国内外における官公庁や行政のデジタル化の支援を推進してきた実績があります。特にアメリカでは、全米50州の郡や市町村の地方行政機関、連邦政府と連携し、行政サービスのデジタル化に貢献してきました。

アドビは、この経験を活かし、官公庁向けのDXの支援にも注力すべく、日本におけるパブリックセクターチームをさらに強化します。パブリックセクターチームでは、こうしたナレッジを通して、行政や自治体で優れたデジタル体験を提供したり、業務のペーパーレス・デジタル化を一層推し進めたりすることを支援していきたいと考えています。このブログでは、DX先進国であるアメリカでの事例をご紹介します。

■アメリカ合衆国連邦政府:10年に一度の国勢調査のデジタルシフト

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アメリカ合衆国連邦政府では、10年に一度国勢調査を実施しており、国民は参加が義務付けられています。国勢調査の結果は、州や地域社会に投資する連邦資金の予算の決定や、学校、病院、道路、緊急サービスなどの整備の予測と計画など、様々な目的で活用されます。

前回実施された2010年にはすでにデジタル対応をしていましたが、ほとんどの回答が郵便で送られ、参加率は74%でした。回答のなかった残りの人口を確認するために、60万人の国勢調査員が一軒一軒訪問して、回答できなかった世帯を数えました。

2020年の国勢調査では、初のオンライン国勢調査で国民が簡単に自己回答できるようにしました。これにより、国民はいつでもどこでもアンケートに答えられるようになるだけでなく、政府の集計の作業時間、労力も大幅に短縮できました。国勢調査局は、紙ベースのアンケート回答や戸別訪問による記録と比較して、デジタルによる国勢調査の回答が1%増えるごとに、少なくとも5,500万ドルを節約できると試算しており、将来的に数十億ドルを節約できる可能性があります。

このオンライン国勢調査を実施するために、国勢調査局がパートナーシップを結んだのが、アドビです。まず、Adobe Analyticsを導入して、国勢調査のウェブサイトであるcensus.govの訪問者がどのようなユーザーなのか、どこから来ているのかを分析し、それを手がかりにcensus.govをより簡単に情報を見つけることができるウェブサイトへと再設計・変更しました。

また、大量のコンテンツや情報を迅速にcensus.govに公開するためのバックボーンとして、Adobe Experience Managerをマネージドサービスとして採用しました。国勢調査の広告キャンペーンは13カ国語に対応しており、ウェブサイトではパーソナライズされたコンテンツやランディングページを59カ国語で提供しています。また、このサイトはモバイルにも最適化されており、現在、トラフィックの35%以上がモバイルからのものです。

さらにAdobe Targetを使用して体験をパーソナライズし、ABテストを通じて国勢調査へのオンライン参加者を増やしました。

COVID-19のパンデミックは、国勢調査のオンラインでの参加を後押しすることになりました。1億8,000万人(人口の55%)にオンラインで回答してもらうことを目標としていますが、初期の結果はすでに予想を上回っていて、全米の56%以上の世帯が回答しています。

なお、アドビが2021年2月10日から2月13日にかけて、米国在住の1,080人を対象に実施した調査では、36%の人が「パンデミックをきっかけに初めてオンライン政府サービスを利用した」と回答、4分の3以上の人が、「すべての政府サービスがオンラインで利用できるようになれば、生活が楽になる」と回答しています。今後も政府のデジタル化への期待が大きいことがわかる結果となりました。

■カリフォルニア州サンディエゴ郡:行政サービスのデジタル化を通して住民サービスを向上

カリフォルニア州サンディエゴ郡では、政府サービスをデジタル化し、住民のサービスアクセスの向上と、ビジネスプロセスの合理化を実現しました。

サンディエゴ郡のウェブサイトでは、住民が郡の財政情報や、子育て、固定資産税などに関する情報を確認したり、出生証明書や婚姻証明書の発行を依頼できたりと、ウェブサイト上であらゆるサービスが提供されています。しかしサイトの構成が古く、50部門以上の情報が混在し、ナビゲーションが複雑になり、住民が欲しい情報にアクセスしにくいことが課題でした。

そこで、Adobe Experience ManagerとAdobe Experience Manager Formsをオンプレミスで導入し、ウェブサイトを刷新。さらにモバイルアクセスにも対応し、住民の利便性を高めました。

また住民サービスをコンテンツ管理基盤上に構築したことで、担当者自身でウェブサイト情報を更新することも容易になりました。以前は外部に更新依頼をしていたため、サイト情報が変更されるまで時間がかかりましたが、これらの仕事を内製化したことで業務スピードが向上しました。またコンテンツは全体的な統制がされ、一貫性のあるコンテンツを作成できるようになりました。

さらにAdobe Experience Manager Formsを利用して、まず庁内でのフォーム処理を効率化し、ワークフロー機能を使いビジネスプロセスの自動化を推進しました。今後、住民向けの手続きにも取り入れ、オンラインで申請できるようにしていくことになっています。

■デジタルガバメントの実現をサポート

利用者の行政のオンラインサービス化への期待が高まる中、アドビのソリューションは、モバイルを始め様々なデバイスに対応した使いやすさと、企業や行政等の要求する高いセキュリティ性を両立することができます。

これらの経験を活かし、日本においては、パブリックセクターチームを中心に、政府や自治体に向けたAdobe Experience Cloudを利用したソリューションを展開し、デジタルを活用した新しいデジタルガバメントの実現をサポートしていきます。これにより、アドビが目指しているより良い顧客体験を提供するための支援を強化していきます。