【事例】筑波大学 国際交流協定の締結にAdobe Signを導入〜コストダウンと業務フロー改善の第一歩に

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筑波大学では、2021年春にアドビの電子サインサービス「Adobe Sign(アドビ サイン)」を導入しました。海外の大学との国際交流協定の締結業務で活用をスタートし、紙の協定書を郵送するスタイルからPDFの電子サインに変更したことで、締結までにかかる期間や郵送コストの削減を実現しています。導入の背景と活用の実感を、組織・職員課の大園裕香係長と国際局国際室の矢内理恵子係長にお聞きしました。

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郵送できない!EMS(国際スピード郵便)が止まったコロナ禍

国際局国際室では、学生の交流、共同研究など様々な理由で締結される海外の大学との国際交流協定について、学内の各部局と連携し、協定締結に係る学内手続きを行っています。協定書は協定の内容を印字した書面に署名者が直接自署したものが原則となっていることから、海外と郵送でやり取りするというのが従来のスタイルです。ところがコロナ禍による混乱が世界的に広がった頃、EMS(国際スピード郵便)が複数の国でサービスを停止し、日本での受付も一時停止の状況となりました。

同じ頃に、学内の業務改善やICT導入を推進する組織・職員課では、学内からの声として電子サインへの期待や要望を認識し検討課題の一つと捉えていました。そこへ、コロナ禍による国際郵便停止という現実と、国際郵便でのやりとりには時間がかかるという潜在的な課題が加わり、これらの課題解決のためにアドビが提供する電子サインの仕組みであるAdobe Signの導入が決まりました。2021年3月頃から準備に入り、2021年5月頃には実務での利用が始まっています。

1件あたりの時間、費用、労力すべてのコストが削減

郵送の場合、日本から署名をした協定書を郵送し、協定校から署名後に返送されるという手順で1往復、書類が移動していました。締結完了まで数ヶ月かかるのが通常で、クリスマス休暇や旧正月など相手国の文化に応じた長期休暇が入ればその期間は長くなります。一方、Adobe Signのシステムで電子サインを行えば1週間程度で締結が完了するというスピードで、大幅な期間の短縮が実現しました。

郵送の費用は相手国地域や利用サービスにより異なりますが、一度送付するのに数千円かかります。Adobe Signで電子サインを行う場合、最大で90%以上のコスト削減効果がありました。発送担当者からは、送付の手間がかからずコストを削減した上で目の前の課題が解決したことで、喜びの声があがっているということです。

なお、署名相手校は、電子メールとウェブブラウザが使えインターネットに接続する環境があれば署名が可能であり、ライセンスを購入する必要もありません。

従来通りの紙の協定書(写真は加工しています)

セキュリティと支援体制を重視してAdobe Signを選択

電子サインの導入にあたり、製品選定にはセキュリティ面が重視され、国内にデータセンターがあることがAdobe Sign導入の決め手の一つとなりました。また、運用支援の体制が充実していることもポイントとなり、運用開始後はスムーズに業務が進んでいます。

デジタルツールにはやや苦手意識があったという矢内氏は、「導入にあたり、各部署の担当者に対応の指示や、使い方の説明などができるか不安だったのですが、手厚くサポートいただけたので、独り立ちできました」と話します。利用中に疑問点があれば、アドビのサポートに相談をすれは、スクリーンショットと共に丁寧な説明を受けられるので、とてもわかりやすく安心感があるそうです。矢内氏自身が学内で説明をする際も、スクリーンショットを見せながら滞りなく説明することができました。

また、同大はもともとアドビとの包括契約があり、教職員はPhotoshopやIllustrator、Acrobatなどアドビ製品を必要に応じ利用することができ、ログイン画面も見慣れたものだったため、「精神的なハードルは低く拒否感は少なかったと思います」と大園氏は振り返ります。

Adobe Signが広げる今後の業務改善の可能性

現在はまだ小さな一歩を踏み出したところですが、Adobe Signの導入で、新たなデジタルの業務フローが生まれたのは間違いありません。同大では締結が完了した協定書は署名済みのPDFファイルを学内のサーバーに保存するので、公文書のペーパーレス化がひとつの形になりました。機能面では、決裁者や署名方法などを個別に設定できるなど柔軟性があるので無理なく現実の業務に合わせて使用できています。

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大園氏は、今回のAdobe Signの導入は、今後の学内全体の業務改善への大切な足がかりだと捉えています。「今は電子サインを利用している部署は少ないですが、非常に大きな一歩だと思っています。この導入が新たなテクノロジーを使った業務改革の良い事例として広まり、今後の学内の働き方改革につながっていくと思います」と期待を寄せます。

今後は例えば、共同研究等の協定書に活用範囲を広げたり、署名が必要な学内の申請書への活用などさらに利用範囲が広がるイメージを持っています。今回の事例から電子サインの利便性が認知され、個別の部署での導入から全学的な動きになると、業務の流れと質が大きく変革する未来につながりそうです。