イラストレーターを経て「好きなことをもう一度仕事に」動画編集の副業を通じて叶えた新たな働き方

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一つの企業に正社員として一生涯勤め上げる。終身雇用制をはじめ、これまで「当たり前」とされてきた働き方は、今大きな変化の中にあります。企業や労働者自身がそれぞれの価値観やライフスタイルに合った働き方を模索する中、新しい働き方として広まっているのが「副業」。厚生労働省が令和2年7月に行った調査では、全体のうち9.7%が副業をしているとされています。

副業の中でも近年特に人気を集めているのが「動画制作」。コロナ禍を受けて“自宅時間”での動画視聴時間が増加したことなどを背景に、動画制作の仕事が求められるようになりました。

今回、470万人のワーカーと76万社のクライアントをつなぐオンライン人材マッチングプラットフォームを開発・運営するクラウドワークス(CrowdWorks)の協力を得て、動画編集スキルで新たな働き方を見つけたクラウドワーカーを取材しました。副業を始める原動力となった思いや、本業との兼ね合いの中での工夫点などについてうかがった話を紹介します。

「もう一度、好きなことを仕事にしたい」と思い副業として動画編集に挑戦

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greenjadeさんが描いた自身のプロフィール画像

今回お話をうかがったのは、長野県で動画編集を副業にしているgreenjadeさん(登録名)です。イラストレーターとして働いたあと、次なる活躍の場として注目したのが動画編集でした。

「美術の専門学校でイラストを学んだ後、イラストレーターとしてデザイン事務所に入社し、会社員としては6年ほど、個人としては9年ほどイラストレーターとして活動しました。ただ、私の住んでいる長野ではデザイン関係の仕事が少なかったこともあって、5年ほど前、現在も本業としている一般事務の仕事に就くことにしました。

一度はイラストレーターとしての活動からほぼ離れることになったのですが、作品を作る楽しさや、自分の好きなことを仕事にしたいという思いはやはりどうしても自分の中に長年残り続け、“本業を続けながらでももう一度クリエイティブな仕事がしたい”という思いが年々強く湧いてきたことが副業を始めた動機です。

“自分の好きなことを仕事にする”という観点であらためて“これから何ができるか、何をしたいのか”を考えてみたとき、一昔前と比べてイラストを描ける人がずいぶん増えたと感じました。私がイラストレーターをしていたころよりも手軽なイラストアプリが広がったことや絵を副業をする人が増えたことなどが原因にあるかもしれません。

“この先、イラストだけを仕事にしていくのは難しいかもしれない”と感じました。新しい領域かつ、自分がこれまで培ってきたイラストやデザインスキルを活かせる仕事は何だろうと探す中で、面白そうだと感じた仕事が動画編集だったんです」

「動画編集が仕事になるか、やってみなきゃわからない」興味の向くまま飛び込んだクラウドカレッジ

2021年1月ごろ、動画編集に興味を持ったgreenjadeさん。4月にクラウドソーシングサービスクラウドワークスが開催するオンライン講座「動画クリエイターコース」に参加し、動画編集の基礎を学ぶことに決めました。

「この時点では、動画編集を仕事にするのかどうか正直まだ決めかねていました。ですが、“まずはやってみないと分からない”と思い、多少なりとも何かのきっかけになればいいと、半分お試しにも近い気持ちでクラウドカレッジに飛び込んでみました。

漠然とした興味と期待の中で飛び込んだクラウドカレッジでしたが、実務を経験した今振り返ってみれば、あのとき思い切って参加してみたことが変化の第一歩でした。以前からクラウドワークスに登録はしていたのですが、応募するまでの勇気はありませんでしたし、クラウドカレッジに参加していなかったらそのままだったかもしれません。クラウドカレッジには、不安を乗り越えて一歩を踏み出すために背中を押してもらいました」

講座受講後わずか1ヶ月で継続案件を獲得し着実にキャリアを積んでいく

クラウドカレッジ受講翌月には継続案件の契約に漕ぎ着けたgreenjadeさん。ほとんど初心者からのスタートでしたが、着実にスキルを身につけることができているのだと、現在の仕事状況についてgreenjadeさんは話します。

「現在は主に、ビジネスをテーマにしたYouTube動画の編集に携わらせてもらっています。特に、動画の雰囲気に合う画像をAdobe Stockなどから探してきて、ビジュアル面を見やすく整える作業が今の担当作業です。

昨年の5月から月に2〜3本ほどのペースで継続的にご依頼いただいているのですが、初心者の私にとって、このクライアントさんの制度はとても合っていました。初心者から経験者まで、スキルに応じたランクアップ制度が用意されていて、ワーカーのペースに合わせて、着実にスキルアップできる進め方になっています。これまでに、カット割り、テロップの流し込みや文字起こしなどを一つずつ任せてもらい、現在はビジュアル面の装飾まで進んだところです。

私がクライアントさんに恵まれたという部分ももちろんあるかもしれませんが、まだ経験の乏しい初心者であっても、まずは実際の案件に飛び込んでみることが何より多くの学びになるんだということを体感しました」

副業案件で”Premiere Proが使える方対象”が多かったのがPremiere Proを使用する決め手に

ついに動画編集を仕事にすることを叶えたgreenjadeさんは編集作業には、Adobe Premiere Proを利用しています。数ある動画編集ツールからPremiere Proを選んだ理由と仕事での使い心地などをお尋ねしました。

「元々アドビのコンプリートプランを利用していたこともあり、新たにお金がかからない、すぐに利用を始められるという理由はもちろん大きかったですが、クラウドワークスの案件を実際にのぞいてみた際に”Premiere Proが使える方対象”としているものがかなり多かったことも最終的な決め手となりました。

また、これはアドビの使用経験がある人に限ったメリットでしょうが、他のアドビ製品と共通している部分が多いことも便利でした。“色合いを変えるのなら多分ここかな”と、ある程度、目星をつけながらスムーズに使い方を覚えることができました。こういった専門的なツールは用語が難しいことが多いですが、アドビの使用経験がある人にとっては応用が利きやすいという点で、一層Premiere Proを選ぶメリットと言えると思います」

「反対に、実際に触ってみる中で、思っていたよりも難しかった部分もありました。特に、映像と映像をいかにスムーズで自然につなぐかというところは、コツをつかむまでに苦戦しました。

映像のタイミングだけでなく話し声の切れ目にも注意する必要があったり、ワンカットだけでなく動画全体にまで視野を広げて考えてみる必要があったり。Premiere Proに限った話ではないですが、動画をただつなぎ合わせるだけではだめなんだということは、実際に触ってみる中で痛感させられたことでした」

副業をはじめて時間の使い方が上手くなった

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greenjadeさんのご自宅近くの風景

動画編集の仕事を継続的に手がけるようになったgreenjadeさんですが、当初は時間の使い方に悩んだそうです。

「慣れない作業に時間がかかっていたことや凝り性な私自身の性格も手伝って、作業に没頭するうちについつい徹夜になり、翌日の本業に響いてしまう、といったようなことが当初はよくありました。

それでは本業との両立は難しいと思い、「副業は24時まで。それを過ぎたらその日はやらない」という副業の作業時間のルールを自分の中で決めるようにしました。また、趣味などプライベートの時間に関しても、仕事が終わって時間が余ったら時間を使うという順序ではなく、プライベートに使う時間をあらかじめ確保しておくようにしました。

時間を決めて“限られた時間の中で何とかするしかない”という状況になると、時間をやり繰りする工夫を自然と考え始めるようになりました。副業を始めてから私自身大きく変わったことの一つが“時間の使い方がうまくなった”ということだと感じています。

今思い返してみれば、副業を始める前はダラダラと過ごしているうちに気が付けば1日が終わったということもあったのですが、動画編集という副業に出会えたことで、一日の時間の中にメリハリができました。お仕事をしながら勉強の毎日ですが、学ぶことチャレンジすることに年齢は関係ないんだということを実感できています」

今後の目標

最後に、動画編集のやりがいとこれから目指す先についてお尋ねしました。一度離れたクリエイティブの仕事にふたたび取り組める喜びについて、greenjadeさんは笑顔で話します。

「好きなことを仕事に」という思いに従って動画編集の仕事に取り組んでみて、自分が携わった作品が完成したときの喜びや達成感というのはやはり言葉で表現しきれないものがあります。公開されている動画を見直してみると、“ここ、私がやったところだ”“工夫したとおりにちゃんと反映されている”とすごく嬉しくなります。

「自分の好きなことに時間を使いたい」という思いは今も変わっていません。いずれは動画編集を本業にしていけたらと思います。

(記事協力:クラウドカレッジ

(ライター: 泉翔悟 )