【事例】テュレーン大学 Acrobat Signでスピーディー、安全、非接触のワークフローを実現 |Tulane University
1800年代初頭、ニューオリンズはミシシッピ川を行き来する交易の拠点となる港湾都市として栄え、アメリカ全土で最も豊かで活気あふれる一都市へと瞬く間に成長しました。都市の人口増加に伴い、健康に対する懸念も増加。それが契機となり、1834年、同地に公立医大としてテュレーン大学が設立され、疾病の研究と医師の養成がおこなわれるようになりました。現在、テュレーン大学はアメリカ屈指の研究大学の一校として、豊かな伝統を受け継いでいます。
テュレーン大学では、テクノロジーを活用して校内のエクスペリエンスを向上させる方法を常に模索しており、授業と大学運営、両方の分野で改善に向けた取り組みをおこなっています。最近では、Adobe Document Cloudに搭載された電子サインソリューションであるAcrobat Signを導入し、従来よりも高速で、安全性が高く、はるかに効率的なデジタルドキュメントワークフローをキャンパス内の複数の学部で実現しました。
採用通知のデジタル化で採用プロセスを合理化
長年にわたり、IT部門ではAdobe Acrobatを使用してデジタルフォームを作成し、文書をレビューしていました。デジタル上での承認手続きに至っては、アプリ内蔵の電子署名機能も使用し手続きを簡略化していたそうです。しかし、同大学の学務課・学長室(Office of Academic Affairs and Provost)が教員の採用通知をはじめとするワークフローのデジタル化を検討していた際、ITチームはさらに優れた機能が搭載された電子署名Adobe Signの導入を提案しました。
「Adobe Acrobatは、書類業務で簡易的な電子サインが必要とされる場面で高い利便性を発揮します。大学関係者は皆、Adobe Creative Cloudのライセンスを経由してAdobe Acrobatにアクセスできるため、誰でも利用することができます」と、テュレーン大学IT部門のビジネスリレーションシップマネジメント課副主任であるAlysia Loshbaugh氏は語っています。「Adobe Signはさらに、セキュリティ、ワークフロー、他のソリューションとの連携など、部門によっては不可欠なエンタープライズレベルの追加機能を搭載しているのです」
財務・経営部門(Finance and Operations)の副学部長であるKady Weingart氏は、学務課・学長室の業務プロセスを改善する方法を探していました。学内の教員採用を実施していく上で、ビジネスの継続性と効率をより高める必要があると感じていたのです。学務課・学長室では、大学に携わる教授や講師を採用するために毎年数百通に及ぶ採用通知を処理しており、それぞれの採用通知には、採用候補者に署名してもらう前に、学部長や学長をはじめ、複数部門による署名が欠かせません。
「Acrobat Signで採用通知をデジタル化することによって、これまで最大で3週間かかっていた処理を2日以下にまで短縮することができました」と学務課・学長室のシニアプログラムコーディネーターであるJoey Couvillon氏は話しています。「紙の採用通知をやり取りする場合は、各署名者の間で郵送、印刷、署名、スキャンなどが必要になり、それぞれの採用で署名を完了するのに数日はかかっていましたが、今では採用通知を署名者に電子メールで直接送信して署名してもらうことができるようになりました。とても便利な時代になりましたね」
法務部門(General Counsel)との業務連携をスムーズにするため、学務課・学長室では採用通知を標準化し、テンプレートを作成。Couvillon氏はそのテンプレートをAdobe Signに組み込みました。テンプレートを活用すれば、受信者ごとに採用通知をカスタマイズするために必要な職員の手間を大幅に削減できます。内容の調整が必要な場合は、Couvillon氏が変更を加えれば新しいテンプレートが数分で出来上がります。
「Acrobat Signのワークフローでは、様々な種類の採用ドキュメントを誰に送り、誰が通知を受け取るかを事前に決められるので、非常に助かっています」とCouvillon氏は語っています。「採用通知の進捗状況についても、いつでもとても簡単に確認できます」
学務課・学長室ではAcrobat Signの業務での利用を開始し、タイムシートの変更リクエスト、在宅勤務承諾書から、基金に関する書類手続きに至るまで、他の契約文書も同様にデジタル化していきました。「COVID-19のパンデミックでデジタルワークフローの需要は高まりましたが、ニューオリンズでは毎年発生するハリケーンも懸念材料です」とCouvillon氏。「ハリケーンの影響でたとえ郵送に遅延が発生したり、出社できない状況になったりしても、Acaobat Signがあればデジタルで業務を継続することができます」
テュレーン医療センターでは患者同意書の提出を非接触で実現
テュレーン大学とテュレーン医療センターでは、Adobe Signの導入を推進し、医学研究に必要とされる規制関連の書類業務の大部分をデジタル化することに着手しました。医学研究では患者や医療従事者に関する膨大な量の複雑な書類業務が発生しますが、Adobe Signを使用すれば、署名者が複数の部門に点在する場合でも、署名をすばやく収集することが可能です。それによって、医学研究の準備時間を早めることができ、より多くの患者を登録して、医薬品と治療の情報をさらに収集できるようになります。
COVID-19のパンデミックでは、画面上でデジタルフォームをやり取りすることにより物理的な接触を制限できることも明らかになりました。COVIDの陽性患者が医学研究の参加に合意した場合、医療スタッフは署名用のペンや書類を手渡すのに全身防護服を装着する必要があったでしょう。防護服だけでなく書類そのものさえ完全に殺菌してから書類業務を進めなければなりません。
「Adobe Signを使えば、デジタルワークフローを構築することで人と人との接触機会を減らし、承諾プロセスをすばやく完了させることができます」とテュレーン大学の治験コーディネーターで、看護学学士兼正看護師であるEmily Callegari氏は語っています。「テュレーン医療センターの医療サービスは地域医療の拠点になっており、Adobe Signを導入することで、代理人がどこに住んでいても同意書にスムーズに署名できるようになればと思っています。そうすれば、我々スタッフは患者が研究に参加登録する際の承諾を得ることができ、医療機器や医薬品のメーカーは革新的な最新治療法を従来よりはるかに早く現場に投入することができるでしょう」
デジタルワークフローによる調達の合理化
調達チームもまた、電子サインを自社で開発を進めていた電子契約管理ツールの一部だと考えていました。元々、契約管理ワークフローの一部としてDocuSignを使用することを決めていたのです。自社ツールの開発が頓挫したときに、様々な種類の書類に署名するための独立したソリューションとしてDocuSignを使用しようとしましたが、設定とサポートが煩雑になってしまうことがわかりました。
IT部門がAdobe Signを導入したことを受け、調達チームでもAdobe Signの導入を決定。現在、調達チームはAdobe Signを使用して発注処理に関連する様々なフォーム、契約書、承諾書を合理化しており、今後はAdobe Signを中心として契約管理機能を継続的に発展させることも計画中です。
キャンパス全体に広がるデジタルワークフロー
Adobe Signを学ぶ部署が増え、電子署名に対する関心も高まっています。パンデミックによって急速に浸透したデジタル技術の効率性とセキュリティは、元の生活に戻っても失われることなく、私たちは今後もその恩恵にあずかることができるでしょう。
Loshbaugh氏が考えるAdobe Signの優れた特性は、使い勝手の良さとキャンパス内のあらゆる学部の利便性を高める強力な連携機能です。例えばMicrosoft Outlook用のAdobe Signプラグインを使用すると、多くの職員が使用する使用頻度の最も高いアプリに電子署名を紐づけ、電子メールの受信トレイなどから署名を操作できるようになります。
「理想は1つのプラットフォームですべてをおこなえること。それによって採用が増え、効率が大きく向上するからです」とLoshbaugh氏は語っています。「これまで、Adobe AcrobatとAdobe Signを使用して電子署名を簡単で直感的におこなうあらゆる方法を多くの人に伝えてきましたが、他にも多くの学部が現在の紙の書類業務を完全デジタルへと移行する意欲を見せています。電子サインは今後ますます普及していくことでしょう」