Adobe Stockビジュアルトレンドインサイト:日本版 2022

イメージ提供: Adobe Stock / Mint Images.

Adobe Stockでは、消費者の関心やエンゲージメントを高める美学に関する最新のインサイトを共有し、クリエイティブコミュニティにインスピレーションをもたらすことを目指しています。私たちは毎年、様々な業種の広告キャンペーンを分析し、文化的、商業的な兆候のリサーチを重ね、今の私たちの暮らしを反映する最も重要性の高いテーマを特定します。アドビのクリエイティブサービスグループは、大手ブランドの広告キャンペーンから、最新のニュース、事件や出来事、そしてソーシャルメディアに至るまで、さまざまなデータを取りまとめ、年間のクリエイティブトレンド予測を作成しています。

私たちは、クリエイティブリーダーやストック素材の購入者が担う広告キャンペーンのビジュアル表現の手助けをすると同時に、アドビのストックコントリビューターがグローバルとローカル双方のオーディエンスとつながる力強いコンテンツを生み出すサポートをしたいと考えています。そのためトレンド予測を拡充し、今回初めて、日本の消費者の間で勢いを増している画像の傾向に焦点を当てたインサイトをお届けします。

今年度向けに、私たちの担当チームは日本で顕著な二つのビジュアルトレンドを特定しました。それは家族とのより強いつながりとインクルーシブなイメージを求める日本の消費者の傾向です。あらゆる国々や文化と同様、日本の社会、そしてビジュアル業界の状況は日々進展しています。ここでは、現在、日本の広告閲覧者とのつながりを深めているこの二つの最も重要なトレンドをご紹介します。日本のマーケットに関連性の高いコンテンツを制作する上でのインスピレーションや指針として、私たちが厳選したコレクションをご活用いただけることを願っています。

   

イメージ提供: Adobe Stock / Kei Mogari, Adobe Stock / Monet, Adobe Stock / Nabi Tang/Stocksy.

家族の絆:変化する家族構成と親密なつながり

長い間、日本の家族といえば、父母と二人の子供を含む多世代家族が主流として定着していました(ただし、これに限定されません)。現在は、ブランドがより多様化したさまざまな家族のイメージを取り入れているように、家族の描き方に変化が見られます。

広告やテレビ・映画などでは、あまり伝統的ではない家族の形が表立って称えられています。Nintendo Switchのコマーシャルでは、楽しげに「あつまれ どうぶつの森」のゲームをする母と娘が、女優の吉瀬美智子は、ジャパネットホールディングスのテレビコマーシャルで、息子が中学受験に合格するよう必死にサポートする愛情深いシングルマザーに扮しています。昨年放映されたテレビドラマ「#家族募集します」では、5歳の子どもを育てるシングルファーザーになったばかりの男性が主人公でした。一方、こちらLIFULLの企業コマーシャルでは、日本のステレオタイプを題材にしており、期待される役割にとらわれずに充実した人生を送ろうというメッセージを送っています。

世界的なパンデミックのなか、より密接な家族とのつながりを求める人は増えています。ブランドは親と子のより親密な関係性を見せることで、変化する家族像を描き出そうとしています。森永乳業の「かがやく“笑顔”シリーズ」のアニメーションにも見られるように、育児における父親の役割は大きくなり、在宅の父親という選択肢も支持を得始めています。ある調査からは、調査対象者のうち男女ともに約半数が専業主夫という概念を受け入れていることがわかりました。

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偏見のない姿勢:変わりゆく時代に高まる受容の精神

時代の先に目を向けると、日本では多様性や個性がより一層受け入れられるようになると考えます。LGBTQIA+を取り巻く問題の認知や幅広い性のあり方についての理解も進んできました。また、本ビジュアルトレンド予測ではさまざまな年齢層や能力の表現にも着目しています。LIFULLのこちらの広告はそうした変化を体現しており、多様な境遇にある人々が幸せに暮らす姿を映し出します。

考えさせられる広告キャンペーンも次々と登場しています。例えば、パンテーンの#HairWeGoでは、地毛証明書を求める日本の学校の慣例に疑問を投げかけました。髪の色に関する厳しい校則により、明るい色の髪の生徒は黒く染めるよう指導されることも珍しくないからです。多種多様なスタイル、アイデンティティ、経験が社会的に受容されつつあるなか、このパンテーンのコマーシャルは大きな反響を呼びました。資生堂のColor Has No Limitsというブランドメッセージでは、こうした自由や個性に対する考え方を全面に打ち出し、トランスジェンダーのモデルたちと彼らのヘアカラーの選択を紹介しています。パナソニックのYour Normalと題したキャンペーンは、性別、外見、キャリアなどに関係なく、大切なのは自分にとっての「普通」に忠実であることだと伝えています。

男女の垣根を取り払うビジュアルも日本の広告視聴者の間で共感を呼んでいます。こちらのシュールな西武・そごうのコマーシャルは、伝統的な男女の役割分担に対して、一人の人間としてありのままの自分でいることをテーマにしています。一方、韓国の化粧品ブランドLAKAのようなジェンダーレスなコスメが日本では人気があり、Vogue誌は、ジェンダーフリーなメイクアップの話題を中心に歌舞伎役者を紹介する記事まで掲載しています。

日本の消費者は、こうしたビジュアルトレンドを体現したデザインやイラストレーション、写真に共感を抱いています。この流れは、2022年を通じてさらに勢いづき、広がりを見せるでしょう。今回のトレンドプログラムの拡充について、私たちは嬉しく思うとともに、将来的にはより多くの地域でこの取り組みを進めていきたいと考えています。

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イメージ提供 (上から時計回り): Adobe Stock / imagenavi, Adobe Stock / Rawpixel.com, Adobe Stock / one.

Adobe Stockのクリエーターを募集しています

2022年向けに私たちが作品を厳選したインスピレーション溢れるギャラリーでは、今回ご紹介したビジュアルトレンドが、日本や世界で主流となっているストック画像にどのように反映されているのかがわかる具体例をご覧いただけます。このような画像に対する消費者のニーズは増え続けているので、ご自身のイラストレーションやデザイン、写真やビデオの制作にこれらのテーマを織り込むことをご検討ください。そして、あなたのベストの作品をAdobe Stockへぜひご投稿ください。

この記事は2022年2月17日(米国時間)にBrenda Milisにより作成&公開されたAdobe Stock Visual Trends insights: Japan 2022の抄訳です