ロゴデザインを刷新するべき時はいつ?
ロゴデザインの刷新は、新鮮さの失われたブランドを活性化する強力な一手となることがあります。こうした目に見える変化を発表すれば注目されますし、混み合った市場での差別化も期待できます。アドビは、2020 年にビジュアルアイデンティティの更新を選択していますが、ロゴの更新から得られる利益は大きな企業ほど大きいとは限りません。
実際、ブランディングの見直しに関しては、小規模の企業に都合の良い点が数多くあります。例としては、個々の変更について賛同を得る必要がある社内ステークホルダーの数が少なく、素早く動けることが挙げられます。つまり、見直しプロセス全体に関わるコストや長時間の会議がはるかに少なくてすみます。
また、成長中の企業であれば、新しい顧客層の取り込み、新製品の導入、ビジネスモデルの変革など、ブランド全体の戦略変更に取り組む可能性が高いものです。つまり、ロゴデザインの見直しを検討する価値のある機会が多くなりがちです。
といっても、ロゴのデザイン変更、及び、しばしばそれに付随することになる大がかりなビジュアルの変更は、軽々しく行うべきものではありません。頻繁にビジュアルアイデンティを変更すると、顧客を混乱させたり、ブランドとの距離を感じさせてしまう危険があります。ロゴとブランドのビジュアルを大幅に変更するとき、リスクを最小限に抑え、メリットを最大にするには事前に何を考慮すればよいのでしょうか。
ロゴを更新する理由
企業がロゴを変更するときは、単に市場に刺激を与えたいというだけではなく、多くの戦略的な理由があるものです。そうした理由の中には、変わりつつある市場への対応を迫られたことによる受け身なものもありますが、それ以外にも、顧客、ブランド、市場の今後を見据えて仕掛ける積極的なものも存在します。もし、これから紹介するいくつかの理由の中に共感するものがあったなら、ロゴを描き直す時かもしれません。
1. ブランドアイデンティティをより正しく反映させる
時間とともに企業が成長するにつれて、ブランドアイデンティティも進化するべきです。もし企業が新しく市場を拡大しようとしているのであれば、より「普遍的」なロゴが必要な時かもしれません。ある特定の新しい市場へのアピールを目論んでいるなら、新しい顧客に訴求するスタイルのロゴが必要かもしれません。どのような進化を目指しているにせよ、新しいオプションを検討する際には、ブランド戦略の十分な考慮から始めるべきです。それによって、企業にとって最も重要な目標を基準にして、必要な調整と潜在的な過剰修正のバランスをとることが可能になります。
2. 信頼を確立する
第一印象はものを言います。ここで問題なのは、正しい印象はどれか?ということです。こんな風に考えてみてください。ブランドは招待客が集まる「パーティー」で、企業は「パーティー主催者」です。セミフォーマルをカジュアルな服装と表現した手作りの招待状を送ったために、シャンパンがふるまわれる会場にサンダルで現れた顧客は、恥ずかしさと共に主催者に対する憤りを感じるでしょう。
ブランドの使命に忠実なロゴとビジュアルの使用は、対象である人々から信頼を獲得するために欠かせません。そして、最初から正しい期待を持たせることはとても重要です。
3. 市場での注目を維持する
トレンドは進化します。専門的な領域では古典的ななロゴが通用することもありますが、堅苦しい時代遅れのビジュアルは、その企業のビジネスが時代の流れに合っていないという印象を与えかねません。
一方、新しいテクノロジーやデジタルファーストの市場の登場により、新しいブランドにとって市場までの距離はかつてないほど縮まっています。「他のブランドがどのようなビジュアルを提供しているか?」「より効果的な差別化のために必要になるかもしれない変更は何か?」を把握し続けることはますます重要になっています。
常に市場で認知され続けるためには、ロゴデザインおよびブランドアイデンティティは、オリジナリティがあり、興味深く、記憶に残るものでなければなりません。こうした特徴を維持し続けるために、必要に応じてロゴを刷新して、柔軟性および時代との関連性を保ちましょう。
ロゴの更新方法
Adobe Photoshop、Illustrator、そして最近公開された Creative Cloud Express などの強力なデザインツールは、オリジナルで魅力的なロゴの作成を、これまでにないほど身近なものにします。しかし、計画を持たずに新しいデザインの制作を進めても、それはあてのない試行錯誤です。ロゴとビジュアルブランドが、戦略を十分に表現し目に心地よいものになるようにするため、以下のステップを踏んで進みましょう。
デザイン変更の目標を明確にする
ロゴの見た目を話し合う前に、何故デザインを変更するのか、関係者全員がその具体的な理由を理解していることを確認します。「若い世代にアピールしたい」「ロゴの印象をモダンにしたい」など、明確な目標を設定するのはその後です。そして、どのようなビジュアルにしたいのかを決めましょう。新しいロゴは、何かのイメージなのか、文字なのか、それとも両方の組み合わせなのかを決定します。
色選びの優先順位をつける
色は、見た人の気分を左右する強力なツールです。色の選択を始める前に、ロゴを見た人に何を感じてもらいたいかを自問しましょう。そして、色の候補を(いくつか)選んだら、その色が既存の顧客体験の中でどう見えるかを想像します。店頭、マーケティング資料、ソーシャルブランディングなどに有効な色遣いは何でしょうか?
フォントを調査して比較する
フォントも色と同様に、見た人の気分や印象に影響します。ちょっとしたフォントの調整でも、ロゴの雰囲気を完全に変えてしまう力を秘めています。ロゴに使おうとしているフォントについては、どこで使われているのか、何を伝えるために使われる傾向があるのかを調査します。ロゴデザイン用にカスタムフォントを作成すると、同じような見た目を再現されにくくすることができます。
複数の選択肢を検討する
あるひとつの完璧なアイデアを出そうと思い込む必要はありません。複数のロゴの案を作成し、テストを行い、デザインに対するフィードバックを集めましょう。結局のところ、ブランドを構築する上で重要なのは観客がどう感じるかです。フィードバックが企業の利益になることを忘れないようにしましょう。
トレンドを追う前に疑問を持つ
トレンドは変わり続けるものです。ロゴやビジュアルブランディングに取り入れるのならば、事前に十分なリサーチを行いましょう。最初は、関連するトレンドの歴史を知ることから始めます。そして、信頼できるクリエイターや代理店に相談し、取り入れようとしているトレンドがブランドにとって意味のあるものなのか、あるいは、夏のアイスキャンディーよりも長く続く可能性があるものなのかといった点について、彼らの意見を求めましょう。
ロゴの更新に利用するツール
自分で手軽にデザインしたい人、あるいは、デザイナーと仕事を始める前にビジュアルのアイデアを集めておきたい人は、無料で利用できる使いやすいアドビの Logo Maker を利用して、新しいロゴを作成できます。もっとロゴをカスタマイズしたい場合は、Adobe Creative Cloud Express を使えば無料で作業を始められます。Creative Cloud Express は、Logo Maker のロゴを編集したり、オリジナルのロゴをアップロードして編集したり、テンプレートを選択して始めたり、完全にゼロから作成することもできます。注目される新しいロゴをブランドのために作成する、豊富な手段を提供するツールです。
顧客を第一に考える
実際によく耳にする話を紹介しましょう。まず、ロゴのデザインを変更する時期が来たと企業が判断します。ステークホルダーから実行許可が出て、社内の熱意が高まります。そして、コンセプトが具体的になり始めると、未だテストされていない案をめぐって派閥ができて、長い議論が行われます。そして間もなく、個人の好みの陰に顧客の存在が追いやられて、いつまでも先の見えない会議が続くのです。
このようなプロセスに陥り、本来の目的を見失ってはなりません。顧客を第一に考えるためにも、顧客に関するデータをできるだけ多く集めてからデザイン変更に着手しましょう。また、顧客が意見を述べる機会を持てるまでは、新しいロゴを確定するのを待つべきです。大々的な発表を突然行うよりも、正しい手順で進めることの方が常に重要なのです。
この記事は Is it time for a logo redesign?(著者: Adobe Communications Team)の抄訳です