【事例】インド工科大学マドラス校:Adobe Acrobatを使って大学の作業効率とアクセシビリティを強化

世界最大の若者人口を抱えるインドには、世界の若者人口の20%が住んでいます。圧倒的な若者人口を抱えるインドは、世界の未来を形成するイノベーションとテクノロジーを推進する絶好の環境と言えるでしょう。それを活かすための鍵が教育です。

インド工科大学(IIT)マドラス校は、その革新性と優れた学術性で国内外に知られています。インド最高峰の工科大学であるIITマドラス校は産業界や学術界と頻繁に共同で技術開発をおこない、インド国内はもとより世界にも教育活動を広げています。

IITマドラス校のMangala Sunder Krishnan博士は20年に渡って物理学と理論化学を教えてきました。科学に情熱を注ぐ一方、インド国内では教室でのテクノロジー利用を推進する人物としても知られ、同氏をはじめとするIITの教育指導者たちは、政府出資のプログラムであるNPTEL(National Programme on Technology Enhanced Learning)の開発に協力してきました。これはインド全域の学生にオンライン学習を提供することを目的としたプログラムです。

「高等教育への公平性とアクセスを向上させる鍵がデジタル教育です」とSunder博士は語ります。「教員たちはデジタルコンテンツの作成量を増やしています。彼らには質の高いコンテンツを作成するための最高水準のツールを与える必要があります」

教員はAdobe Creative Cloudアプリを使うことで図を描いたり、ビデオを編集したりして、視覚的に興味をそそる授業を準備できます。また、デジタル教育時代に欠かせないもうひとつのツールにAdobe Acrobatがあります。Adobe Acrobatを使うと授業計画や研究論文を簡単に共同作成できます。学生がどのデバイスを使っていても、専門的な科学図や数式を正確に表示するテキストを安全に配布できます。Adobe Acrobatは管理業務の効率化にも役立つため、教員と学生は研究に集中できます。

「IITマドラス校では10年ほど前からAdobe Acrobatを使用しています」とSunder博士は語ります。「長年、革新的な方法でAdobe Acrobatを授業や研究に利用する様子を見てきました。教員にとっての必須ツールとも言えるため、Adobe Acrobatのあらゆる機能を利用できるように常に最新バージョンを使用するように求めています」

誰とでもコンテンツを共有

「教員はAdobe Acrobatを使って、授業のシラバス、授業計画、教科書、研究論文などを作成しています」とSunder博士は語ります。「複雑な情報を視覚的にわかりやすく、興味を引く方法で伝えることができるからです」

Adobe Acrobatを使えば、あらゆる種類のコンテンツをひとつのファイルにまとめて共有でき、誰でも開くことができます。研究論文には複雑な図やCADモデル、数式などが含まれることが多く、フォントやフォーマットを正確に取り込むには専用のソフトウェアが必要です。Microsoft WordやPowerPointで多くの文書が作成されますが、PDFへの変換は簡単にできます。Adobe Acrobatではあらゆる種類のコンテンツを追加でき、ページの削除と並べ替え、テキストの編集をPDF内で直接おこなうことができます。

また、Adobe AcrobatはPDF/EやPDF/Aなどの数多くの規格に対応しています。研究会や学術雑誌に論文を提出する際に指定されることの多い規格です。

教材のアーカイブとトラッキング

インドではオンライン学習プログラムが増え続けており、学校や教育組織は利用可能なデジタルコンテンツをトラッキングするためのデータベースを作成しています。PDFは教育用コンテンツを保存するための主要なフォーマットです。IITマドラス校のアカデミックコーディネーターは、Adobe Acrobatを使って教育コンテンツを検索可能なデータベースにしています。PDFはどのようなデバイスでもダウンロードして開くことができ、アクセスが容易だからです。

Adobe Acrobatのセキュリティ機能により、アーカイブでさらに強固な完全性を確保できます。Acrobatで保存しアップロードしたファイルには、アップロードしたユーザーや更新日が記録されるため、PDFの監査証跡を作成するのに役立ちます。管理者はセキュリティポリシーやパスワードガイドラインを設定し、複数のPDFに同じセキュリティ設定を一括で適用することもできます。

オンラインで他の教育者と共同作業

複数の教員が協力して授業を作成する、教科書を書く、研究を発表するなど、教育現場では共同作業がよくありますが、Adobe Acrobatによって共同作業がさらに容易になりました。PDFを頻繁にやり取りしたり、Acrobatの様々な注釈ツールを使ってフィードバックを共有したりしています。最近では、複数の協力者がコメントを追加してコンテンツをリアルタイムでレビューできるAdobe Acrobatのオンラインレビュー機能がよく活用されています。

「オンラインレビュー機能が加わったことで、共同作業の効率が2倍以上になりました」とSunder博士は語ります。「一緒に同じファイルを確認しながら電話で話すこともあります。一方が提案を書けば、もう一人はすぐにそれを見て自分の考えを加えることができます。まるで直接会って話をしているようです。別の時間にオンラインファイルを確認する場合でもフィードバックをすぐに確認できるため、共同作業の効率が格段に向上します」

フォームで情報収集

教員と管理職は、学生やスタッフ、パートナー、その他の組織から情報を収集することが頻繁にあります。フォームの情報を収集するため、多くの人たちが日常的にAdobe Acrobatを使用しています。市場には数多くのフォームソリューションがありますが、Adobe Acrobatが好まれているのは他のソリューションと比べて柔軟性が高いことが理由です。どのような文書でもPDFであれば、Adobe Acrobatで簡単に記入可能なフォームに変換できます。IITマドラス校ではオンライン機能をよく使用し、フォームをオンラインでアクセスできるようにしています。フォームの結果を簡単にPDFで保存できるだけでなく、収集した情報を後で抽出することも、他のアプリケーションで使用することもできます。

文書へのデジタル署名

例えばWord文書とExcel文書とPowerPoint文書をひとつの流れで見せたいとき、Acrobat DCを使うと簡単にひとつのPDFファイルにまとめることができます。まとめたあとにページ順の入れ替えや不要なページの削除、別のページの追加なども行えます。

学生の推薦状や他の教育機関との提携への同意書など、学校や教員の署名が必要な文書は数多くあります。このような単発の署名の多くで使用されるのがAdobe Acrobatの電子サイン機能です。数クリックで署名を依頼するために文書を送り、進捗状況をトラッキングできます。Microsoft製品との連携機能を利用して、Microsoft WordやPowerPointで署名ワークフローを直接管理している部門もあります。

「学外のグループとは通常対面で会議をおこない、文書に署名します」とSunder博士は説明します。「現在では、このような会議の多くはバーチャルになりましたが、Adobe Acrobatを使えば、オンラインで会議をしながら一緒に契約書に署名できます。バーチャル会議への移行はパンデミックによるロックダウンにより始まったものですが、両者の拠点が離れている場合にも非常に便利です」

テクノロジーは急速に変化しますが、IITマドラス校ではこれまで10年間Adobe Acrobatを使用してきたことで、知的財産の利用とアクセスを維持し、将来に渡って利用し続けられる文書を作成することができました。

「Adobe Acrobatには必要なすべてのツールが揃っています」とSunder博士は語ります。「他のソリューションも出てくるでしょうが、Adobe Acrobatが今後も教職員にとって不可欠なアプリケーションであることは変わりません」

「IITマドラス校は何百もの機関と連携しています。直接間接のパートナーにもコンテンツのやり取りにはアドビのソリューションを使用することを勧めています」とSunder博士は補足しています。「アドビのサポートは至れり尽くせりで、必要なときに質の高い技術サポートが得られることに感謝しています」

IITマドラス校ではAdobe Acrobatソリューションを使用して、紙ベースのプロセスを効率的なデジタルエクスペリエンスに移行しています。