2022年のパントン・カラー・オブ・ザ・イヤーはメタバース時代に向けた新色

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パントン社は、2022年のカラー・オブ・ザ・イヤー:Very Peri (PANTONE 17-3938)の選定にサプライズを用意していました。私たちが孤立した状況から様変わりした社会へと抜け出す中で「起こっている世界的な革新と変革を反映する」ため、パントン・カラー・インスティテュートは、カラー・オブ・ザ・イヤーの23年の歴史の中で初めて、同社の豊富な色見本から選ぶのではなく、全く新しい色を作ることにしたのです。この予想外の色は、世界がパンデミック後の新たな日常へ移行しつつある状況を思わせます。

昨年、パントン社の2色の選定は、2021年に対して世の中がどれほど不安を感じているかを示唆していましたが、今年は真新しいものに関心が向けられています。Very Periは、遊び心や楽しさ、希望を取り戻そうという私たち共通の願いを映し出す、新たな活力と喜びを与えてくれる色です。この色を紹介するパントン社の短い動画からでさえ、活発でいたずらっぽさのある感じが伝わってきます。そこでは、いくつもの泡が、目に見えない流れに揺られながら、ふわふわとした光ファイバーにも似た質感の糸状のものの中に浮かんでいます。

この新色は、未来に向けた準備ができていることを表現しています。パントン・カラー・インスティテュートのエクゼクティブ・ディレクターであるLeatrice Eisemanによると、「かつてない変化の世界へ突入した今、PANTONE 17-3938 Very Periが選ばれたことで、信頼され愛されているブルーのカラーファミリ―に新しい視点とビジョンがもたらされました。ブルーのさまざまな性質を包含すると同時に、紫がかった赤みを帯びるPANTONE 17-3938 Very Periは、勇気ある創造性と想像力のある表現を促す、元気で楽しい姿勢とダイナミックな存在感を見せます」とのことです。

パンデミックにより、さまざまなオンライン体験はデジタル空間を主とする流れにシフトし、フィジカルとバーチャルの境界線は曖昧になってきています。Very Periの紫がかった色味は、コントラストの高いゲームやテクノロジー、オンライン空間を連想させ、メタバースの概念や進化していくメタバースと私たちの関係を想起させます。柔らかなブルーは、レッドのベースにある温かみと融合し、深みや心地よさ、バランスを示す色合いを醸します。

テック分野のカラーとして使われ始めたものが、今では映画ポスターやアルバムのカバーから製品パッケージ、さらには別世界のオートクチュールに至るまで、さまざまなブランドが取り入れているひとつの美的表現となりました。この色が、従来の色見本としてだけでなく、デジタルでも公開されたのは、デジタル世界が確実に発展を遂げている表れといえます。

クレジット: 左: Adobe Stock / hatthranit Osman, 右: Adobe Stock / Татьяна Леднева.

既存の枠にとらわれない色づかい

歴史的に、パープルはどちらかといえば補助的でニッチな色として扱われ、商業的にはあまり活用されてきませんでした。しかし、他社に抜きん出ようというテクノロジー企業がこの色を採用するようになり(RokuとTwitchの両社がブランディングやロゴに使用)、状況は変わりつつあります。このトレンドにより、Adobe Stock のコンシューマー&クリエイティブインサイト責任者のBrenda Milisは、至る所でパープルを目にするようになったといいます。「多くのブランドがパープルのアプリのアイコンをリリースしはじめています。ブルーを帯びたパープルは、よく'blurple'とも呼ばれますが、この色は2021年を通してオンライン空間を席巻するようになり、トレンドに発展しました。温かみのある色なので心地よく感じられます。頭にガツンと来るようなどぎついトーンではありません」

Very Periは、デザイナーが安心感や楽しさを失わずに実験的な領域にまで踏み込むことを可能にします。この色が持つ力は、私たちが2022年クリエイティブトレンドで予測したことと完璧に一致します。

エネルギーや歓喜といったVery Periが放つイメージは、ビジュアルトレンド、Powerfully Playfulやデザイントレンド、Soft Popと良く調和します。どちらのトレンドも充足感やノスタルジーを根底に秘め、前向きであることや陽気さに重点を置いています。モーショントレンドDimensional Delightsもまた、冒険的な未知の領域を探究する夢のようなビジュアルスタイルで最先端を行きつつ、一方でこうした感情を引き出しています。

クレジット: Adobe Stock / troyanphoto.

新たなデジタル世界の幕開け

新たな領域といえば、勢いづくデジタル空間への進出を理解するため、メタバースの概念に目を向ける人が増えています。Very Periは、仮想世界で私たちのつながりがどんどん形成されている、まさにこの文化的な瞬間を反映しています。Robloxのようなゲームプラットフォームは、そのバーチャルワールドでアバター向けのデジタル商品を販売するため、Gucciのようなファッションブランドと提携しています。Nikeは、メタバース向けのNFTシューズをデザインするバーチャルのスニーカー企業RTFKTを買収しました。こうした動きを背景に、Very Periは、特にテクノロジーに精通したオーディエンスとデジタル空間でつながる方法を模索するブランドにより盛んに使われています。

Adobe Stockモーション部門の責任者であるTom Spotaは、Very Periがモーショントレンドのひとつ、Metaverse Mixに不可欠な要素だと見ています。「Nikeのような企業がこのような買収を行うのを見たら、注目すべきでしょう。Very Periは、この新しいビジョンで果たすべき役割を負っています。こうしたデジタル分野を象徴する色ですね。これらのコンセプトに使いたくなる色です」

Milisも同意見です。「メタバースはつながり、革新、交流、そして創造の場です。完全に分散化された空間や場所の集合体なのです。誰もコントロールできない。インターネットと同じようなものです。メタバースは現在大きな広がりを見せており、さまざまなブランドがこうしたつながる感覚を呼び起こすカラーパレットを用いた美的表現に乗り出しています。Very Periはまさに旬の色です」

メタバースのアイディアは私たちの想像力を虜にします。今年のカラー・オブ・ザ・イヤーは70~80年代頃からテクノフューチャリスティックな世界を表す色でした。Spotaは次のように話します。「デジタル空間を象徴する色としては、必ずしも新しい色ではありません。この色は数十年にわたり小説の表紙のサイバースペースやメタバースを描いたアートワークに使用されてきました。たとえば、William GibsonのBurning Chrome(邦題:クローム襲撃)やNeuromancer(邦題:ニューロマンサー)を見ると、Very Periを取り入れているのがわかります。レトロフューチャリスティックな色ですね。それは自然界ではあまり目にしない色だからではないでしょうか。合成された人工的な感じですが、見ていて心地よい色です」

クレジット: 左: Adobe Stock / Julia Manga 右: Adobe Stock / Clique Images/Stocksy.

意志のある楽観主義と気概

Very Periはインスピレーションを与える色でもあります。なぜなら私たちが日々さまざまな問題に直面しながらも、できる限り喜びや幸せの瞬間を見つけようと学んでいる時代を映しているからです。Milisによると、「Very Periは、2022年のトレンドの柱である前向きさと楽観主義に合致するので受けが良いでしょう。ただ、軽率な楽観主義ではありません。根幹に気概が感じられます。つまり、希望を持ち続け、心の暖炉は火を絶やさずいつも暖かに、という決意です」とのことです。

この美しい革新的な色をどのように作品に取り入れたらよいのか、アイディアをお探しなら、Adobe Stock Color of the Year Very Periのギャラリーをご覧ください。

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この記事は2022年2月16日に Danyelle C Overbo により作成&公開された 2022’s Pantone Color of the Year is a brand-new hue for the metaverse age の抄訳です。