In the Groove(イン・ザ・グルーブ):体を動かしたくなるような表現がトレンドに

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クレジット:Adobe Stock/Bonninstudio/Stocksy

2022年のAdobe Stockのクリエイティブトレンドの中には、モーショントレンドとビジュアルトレンドの両方に挙げられるほど文化に浸透し、影響力の強かったものがあります。そのトレンドとは「ダンス」と「動き」です。ダンスと動きは、今や文化的に大きなインパクトを持ち、ビデオや映画からその他のメディアへ、写真とデザインからモーショングラフィックスやイラストレーションまで波及しているのです。

モーショントレンドのGet Moving(ゲット ムービング)とビジュアルトレンドのIn the Groove(イン・ザ・グルーブ)は共に、ダンス、動き、リズムが、止められない文化的な力として身近に存在していることを示しています。両コレクションの多種多様なストック素材では、遊び心のあるカラーを使ったイラスト、長時間露光の写真、公園での太極拳や浜辺でのバレエなどを扱ったビデオなど、躍動的でダイナミックなテーマをクリエイターが思い思いに表現しています。

しかし、このトレンドのルーツはストック素材をはるかに超えて広がっています。様々なブランドキャンペーンから流行りのTikTok、ミュージックビデオ、サイエンスまで、動きやダンスを重視する文化が、私たちを取り巻く幅広い分野で急激に高まり、それらの情報をもとにGet Moving(ゲット ムービング)とIn the Groove(イン・ザ・グルーブ)は構成されています。

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クレジット:Adobe Stock/Tessy Morelli/StocksyAdobe Stock/Alba Vitta/Stocksy

身体で語り、身体で感じる

現代を代表するバレリーナのひとりWendy Whelanは、自身の突然の引退について問われたとき、ダンサーの心得として「今この瞬間がすべてです。明日のことを考えず、昨日のことを考えず、今やっていることだけを考え、それを生き、踊り、呼吸し、なりきるのです」と教えられたことを2017年のVOGUEの記事の中で説明しています。

たとえ短い時間であっても、私たちを瞬時に時間の矢から解放し、自由にさせてくれる能力がダンスにはあります。喜びや自己表現だけでなく、不安や不確実性とも親和性が高いのはそのためでしょう。中世ヨーロッパで大疫病が発生したとき、踊りが感染して止まらないダンシングマニアが大陸全体に広がったのは驚くことではありません。

世界的なパンデミックをはじめ、数え切れないほどの危機が広がる中、ダンスや動きがビジュアルカルチャーの中心的存在となっているのは当然のことでしょう。言葉や計画、仕組みが役に立たないときに、私たちは世界共通言語であるダンスに頼り、自分自身を表現しているのかもしれません。

ソーシャルメディアから自作のミュージックビデオ、大規模な広告キャンペーンまで、ビジュアルカルチャーに目を向けてみると、ダンスという言語はいたるところに存在しているように感じられます。

多くのブランドが、ある種の夢の中にいるような、空中に浮いているような、あるいは重力を無視したようなダンスや動きを好んで採用しています。Burberryの広告キャンペーン、Open Spacesでは、大自然を背景に、4人のダンサーが制御不能な力に捉えられ、無重力状態で飛び回ることの喜びに身を任せる様子が表現されています。またNikeのOwn the Floorシリーズでは、同じように解放的で無重力空間にいるようなダンスを、ニューヨークの喧騒を背景に描いています。

このようなファンタジーに満ちたイメージや動きは、アドビのすばらしいストック素材コレクションの一部にも反映されています。ただダンスや動きを切り取っただけの作品ではなく、感覚までもが感じ取れるような作品は確実に印象に残ります。例えば、残像が残るほどのあふれるスピード感、完全に無重力な状態で分かち合う至福の時、自然と一体になって感じる静寂の世界などを表現した作品です。

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クレジット:Adobe Stock/Milou Krietemeijer、Adobe Stock/Jose Carlos Ichiro/Westend61

世界中がジムに早変わり

血液を循環させ、筋肉を動かすには、ダンスや動きが手軽で簡単な方法です。在宅勤務、ハイブリッドワーク、様々なレベルのソーシャルディスタンスによって形成される世界において、新しい形のウェルネスとフィットネスが誕生しています。中でもダンスと動きは、いつでもどこでも手軽に自分自身と身体をケアすることができる方法です。

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クレジット:Adobe Stock/Manu Prats/Stocksy、 Adobe Stock/gregnoakes

話題性のあるSoulCycleやPelotonのような企業は、音楽とリズムをエクササイズプログラムの一部として取り入れていますが、バイクの購入やクラスの運営には費用がかかるため、これらのプログラムはややニッチなダンスエクササイズにとどまっています。Get Moving(ゲット ムービング)とIn the Groove(イン・ザ・グルーブ)は、2000年代初頭のズンバや中国の広場ダンスを彷彿とさせます。

これら2つのダンスの社会現象は、当時の多くのダンスの中でも、誰もが参加しやすいという点で人気を博しました。何十万もする機材、定額費用、クラス費用は必要ありません。この種のエクササイズに必要なのは、ラジカセ、数人の友人、そして人前で少し羽を伸ばしたいという気持ちだけです。アドビのコレクションにある多くのモーション素材では、ダンスとリズムの純粋な興奮や感動をワークアウトだけでなく、古き良き楽しみとしても表現しています。

ジャンプする女性たち
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クレジット:Adobe Stock/Rawpixel.com、Adobe Stock/Javier Díez/Stocksy

たとえ外に出られなくても、ダンスはリビングでも同じように楽しむことができます。Oculusなどのリビングにも置けるVRデバイスを使ったBeat Saberのようなリズムゲームは、ダンスやフィットネスがゲーム化されたもので、ここ数年で人気が高まっています。ビリー アイリッシュを起用した最新のCMでは、ひとりで家にいても、広場のようなコミュニティにいる感覚をメタバースで体験できることを表現しています。

今この瞬間を生きる

ダンスがしばらくの間ブームになっているように感じられるのは、ビジュアルトレンドやストック素材のメディアにおいて、今だにダンスが新鮮味を失っていないためです。しかし、TikTokで人気シンガーのLizzoが説明し、『About Damn Time』のダンスが誤った形で広まっていることを嘆いているように、改善の余地は多くあります。トレンドはやがて過去のものになります。油断すれば、ダンスの新鮮味もロボットのように味気ないものに変わってしまうことでしょう。ダンスを扱うメディアも同様です。

結局、作品の明暗を分けるのは、その瞬間を捉えているかどうかということです。Wendy Whelanが長年経験してきたような、時間から完全に解放され、動きによってのみ表現することができる感覚の中で、一瞬でも自身の存在を感じることが重要なのです。

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