UI/UXのデザインプロセスを学ぶプロジェクト型オンライン教材を提供開始〜専門学校HAL東京で2022年春より採用

アドビでは、実際のアプリ制作のフローにあわせてデザインを学べるプロジェクト型のオンライン教材「College Creative Jam 2021実践パッケージ」の提供を始めました。実社会の課題解決に大学生が挑んだCollege Creative Jam 2021の内容を再編したもので、モバイルソリューションの企画からAdobe XDによるプロトタイプの制作まで一貫して行える内容です。

「College Creative Jam 2021実践パッケージ」より。動画や資料が豊富

リアルな社会課題解決をもとに実践的に学ぶ

「College Creative Jam 2021実践パッケージ」は、社会課題を元に、その解決となるモバイルソリューションを企画しプロトタイプを作成、発表するという非常に実践的な内容で、数ヶ月にわたって取り組むプロジェクト型の学習プランです。

パタゴニア日本支社から提示されるリアルな課題に挑む。課題の理解のためのリソースも豊富に提供される

Adobe XDの使い方やUIデザインの基礎知識を学べるのはもちろんですが、単に技術と知識をつけることが目的ではありません。課題は実在する企業からの提示で、パタゴニア社と共に設定。同社が注目するリジェネラティブ・オーガニックと呼ばれる有機農法を広めるモバイルソリューションを考えることがゴールです。学生は、クライアントからの企画書である『チャレンジブリーフ』を読み解くところから始め、課題を深く理解し、デザイン思考の手法でアイデアを出し、リサーチを行い、ユーザー体験を設計するという、制作フローの段階をひとつひとつ経験しながら身につけることが求められます。また、XDでデザインしてプロトタイプとして仕上げたら終わりではなく、レビューやプレゼンテーションのステップも設定されていて、フィードバックをもとにブラッシュアップするサイクルまで経験することができます。

チャンレンジブリーフの一部。課題の背景などが細かく記載されている

学びのプロセスとポイント

この実践パッケージは、実際にビジネスの企画制作の現場で行われているプロセスを学生が体験できるように設計されているのが特徴です。

個別にアクセスでき活用しやすいオンライン教材

「College Creative Jam 2021実践パッケージ」は、大学や専門学校などの授業で先生が教材として活用し、学生の皆さんの学びをファシリテートすることを想定しています。教材にはウェブブラウザで各学生が直接アクセスすることができ、レクチャーは動画で、資料や学習用素材ファイルは各種ダウンロード可能なデータで豊富に提供されます。

動画コンテンツには細かくインデックスが設定されていて活用しやすい

資料や学習素材はすべてダウンロードできる

また、アドビが世界各国で採用している評価用のルーブリックと採点用のスプレッドシートなど、先生にとって便利なツールも提供しているため、授業を行う先生自身が資料や実習用の素材などを準備する必要はありません。

評価や採点で活用していただけるルールも提供されている

なお、このパッケージの学修内容は、2021年にオンラインイベントとして実施しているため、当時参加した大学生の実際のプレゼンの動画を見ることもできます。同世代の作品アイデアやデザイン力、プレゼン力、などを知ることができる点もメリットで、受講する学生にとって大きな刺激になるでしょう。

学生がイベントで実際に作品をプレゼンしている様子

専門学校HAL東京にて2022年春より採用

本パッケージを早速採用しているのが、専門学校HAL東京。2022年度より、CG学部 CG・デザイン・アニメ4年制学科 グラフィックデザイン・イラストコースの「ケーススタディ[グラフィックデザイン・イラスト]」の教材として活用し、4年生が学んでいます。

同校では、かねてから、世の中のUI/UXデザイン求人の高まりに応えられるカリキュラム開発を模索してきました。企業のニーズに応えるには、デジタルプロダクト開発現場の開発プロセスを取り入れ、カリキュラムをアップデートすることが必要です。そこで、すぐに始められる実践的な授業パッケージとして、「College Creative Jam 2021 実践パッケージが導入されたのです。

実際に授業を行なってきた先生は、本パッケージの活用に手応えを感じています。同校教務部主事村上諭先生は、「実社会が抱える問題に対して、デザインの力で解決に導くことの難しさと楽しさを同時に感じていて、授業としてとてもやりがいがあります」と話します。リサーチのフェーズなど、これまでノウハウが足りなかった部分の授業もスムーズに進行でき、これまでにないメリットとなったということです。

受講する学生は、取り組むテーマが実在する企業による出題なので、難しさやプレッシャーを感じながらも、モチベーション高く前向きに取り組んできました。「評価とフィードバックがより具体的にできるので、学生の作品の変化や成長は期待を上回るものでした」と村上先生は話します。

春に開始した授業は、7月には各チームのプレゼンテーションを迎え力作が集まりました。学生の力のこもったプレゼンテーションを受け、ルーブリックに基づいた評価を経て1位に選ばれたのは「TSUCCHY」という有機野菜直販のサービス。販売者の農地の土壌を数値で評価し、野菜のランクを決め適正価格を示すことで、価格の正当性を示し値崩れを防ぐ仕組みを持たせた直販サービスです。

▶︎作品のプレゼンテーションとプロトタイプを見る

「TSUCCHY」の発表の様子

「TSUCCHY」の画面より

審査にも参加したアドビのエデュケーションエバンジェリスト井上リサは、「TSUCCHY」について、「有機農法の価値を上げることがビジネスの仕組みとして考えられていたところがすばらしかったです。UIのクオリティも高くどの画面もきちんとデザインできていました」と評価しました。他の作品についても、プレゼンテーション時や事後の評価シートでひとつひとつの作品に細かなフィードバックが行われて改善ポイントが示され、大変学びの多い内容となりました。

「TSUCCHY」の制作チームとアドビ井上リサ(右)

この教材の活用により、実践的な学びが先生方の負担なくスムーズに導入され、学生の皆さんの経験値とUI/UXデザインの力が高まる機会が広がることを期待しています。

アドビでは教育機関向けに「College Creative Jam 2021 実践パッケージ」の無料提供を行なっています。利用申請後、一週間程度でこちらの教材へアクセスしていただけます。

▶︎実践パッケージへの利用申請はこちら