【イベント】College Creative Jam 2021 入賞者インタビュー アイデアを形にする、課題解決への取り組み方

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College Creative Jam 2021チャンピオンチーム「ラタトゥイユ」に続き、今回は2位入賞チーム「KKD」、5位入賞チーム「熱中SHOW」の皆さんへのインタビューを紹介します。

チーム「KKD」は、武蔵野美術大学の和田 峻弥さん、山田 泰樹さん、江口 尚希さんによるチーム。彼らが着目したのは、リジェネラティブオーガニック農法(環境再生型農業)に取り組む農業生産者と消費者を結ぶことで、農業生産者のやりがいを後押しすることでした。野菜のライブ購入アプリ「vegeviva」は、消費者と農業生産者がコミュニケーションをとりながら、簡単な手続きで購入できることが特長です。色やフォントの選択、イラストのタッチなど、美大生ならではの細かな配慮も目をひきました。

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――野菜のライブ購入というアイデアはどこから生まれたのでしょう?

和田さん:College Creative Jam 2021の審査員には、広告クリエイティブなど幅広い領域の第一人者が名を連ねています。その中で結果を残すには、利用者を前提とした発想に留まらない視点が必要だろうとまず考えました。そこでインタビューなどによるリサーチと並行して、江口君には自由な発想でアイデアを出すようにお願いしたんです。彼からライブ配信のアイデアが出たとき、これなら課題解決につながりそうだと直感したことがきっかけでした。

江口さん:最初に頭に浮かんだのは、投げ銭×農業というアイデアでした。そこに利用者視点で課題解決に取り組む2人のアイデアをつなぎあわせるという共同作業でアイデアを煮詰めていきました。

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野菜のライブ購入アプリ「vegeviva」

――チーム「KKD」はメンバー全員が美大生ということもあり、UIの細かな配慮も高く評価されました。ずばりこだわりのポイントは?

和田さん:一般的なコンペとは異なり、プロトタイプの制作が求められることがCollege Creative Jamの大きな特徴です。それだけに起動画面のちょっとしたギミックや一番のポイントであるライブ配信のエフェクト、モーショングラフィックスにはかなり力を入れました。

山田さん:個人的には、想定したペルソナに沿った温かみや安心感といった世界観を伝えるVI(ビジュアル・アイデンティティ)にこだわりました。イラストや農業生産者のモデル役のビジュアルイメージなど、プロトタイプではかなり細かい部分まで作り込みました。

――College Creative Jamに参加して得たものを教えてください。

和田さん:クリエイティブは、インプットとアウトプットの双方が大切という点です。これは反省点でもあるのですが、チャンピオンチームとの一番の違いは、インタビューやリサーチをどこまで丁寧に行えたかという部分にあったと考えています。この気づきは必ず将来、生きてくると思います。

江口さん:同時期に複数のインターンシップにも参加したのですが、学ぶことは多い一方、アウトプットの機会がない状況が続いていました。今回は、これまでの学びを一気にアウトプットすることで自分の中で情報を咀嚼できたことが一番の成果ですね。2位という結果もよかったと思います。そのくやしさが次につながりますからね。

5位入賞のチーム「熱中SHOW」は、東北芸術工科大学の増田 京吾さん、阿部 拓都さん、広島大学の冨田 光太郎さんの大学混成チーム。彼らが注目したのは、有機野菜が厳しい規定をクリアしているにも関わらず、その情報や魅力が消費者に伝わっていないという現実でした。「Pay Pay ROCK」は決済サービスPayPayと連携し、購入履歴から利用者の「有機率」を表示したり、有機野菜に関する情報を提供することで購入促進を図ることが大きな特徴です。

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――大学をまたいだ混成チームとして参加したきっかけから教えてください。

増田さん:大学で教授から紹介され、手を挙げたのが僕と阿部君でした。当時僕は、地元である広島からリモートで授業に参加していたため、地元の友人である冨田君にも声を掛けたというのが経緯になります。

――突然声を掛けられた冨田さんの参加理由は?

冨田さん:僕は今、理学部物理学科に在籍しているのですが、大学院では環境を学びたいと考えています。デザインのことはあまり分かりませんが、環境を深く考えるきっかけになりそうだ感じたことが参加した一番の理由でした。

――今回のプロトタイプのアイデアにたどりついた経緯を教えてください。

増田さん:NFT(Non Fungible Token)に関する動画を見て、有機野菜の価値を担保したり、その魅力を伝えるうえでNFTやブロックチェーンの仕組みを応用できないだろうかと考えたこときっかけでした。とはいえ、ゼロベースでアプリを構築してもマスには届きません。そこから生まれたのがPayPayとの連携というアイデアでした。

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決裁サービス「PayPay」と連携するアプリ「Pay Pay ROCK」

――広島と山形に離れての作業はどのように進めましたか?

増田さん:僕と冨田君の地元が静岡で広島と山形からそれぞれ夏休みを利用し、静岡に帰ってきて一緒にコンペに取り組みました。

静岡で有機農法を実践する農業生産者や有機小麦にこだわるパン屋等へインタビューを行い、その情報を山形にいる阿部君と共有し、プロトタイプはAdobe XDを使い慣れた阿部君が中心になって行うという形で進めました。

――最後にCollege Creative Jam 2021で得たものを教えてください。

冨田さん:チームでなにかに取り組むことができたことです。なにもかもはじめての体験だったこともあり、大変面白い経験になりました。

増田さん:大きな成果は二つあります。一つは大学の授業と違い、さまざまな立場の方からフィードバックが得られた点です。もう一つがインタビューを通して、いろんな方とつながることができたこと。有機にこだわるお店の方や有機農法を実践するコミュニティと知り合い、「種植え手伝ってよ」と言われるような関係を築けたことは大きいです。おかげで地元がこれまで以上に好きになりました。

阿部さん:僕にとって一番大きかったのは、キックオフで審査員の高草木さんが言った「絶対に手を止めないこと」という一言ですね。今回のコンペでも、悩み、手が止まりそうになることがありましたが、そうしたときも手を動かし続けることで悩んでいるその理由や解決の道筋が見えてきます。クリエイティブにおいて、地道に取り組み続けることの意義を実感として学べたことはやはり大きいと思います。

まとめ

普段、意識することのない参加者も多かった「有機農業」というテーマ。長期にわたりリサーチを重ね、さまざまな視点から課題解決に取り組んだ皆さんの姿、そしてその成果と発表内容には感動するばかりでした。

今回のCollege Creative Jam 2021への参加をきっかけに、これからも自分たちの可能性を大いに広げ、活躍いただけることを願っています。