最先端の3DソリューションAdobe Substance 3Dが開く新たな可能性〜筑波大学にてセミナーを実施

アドビの3DデザインソリューションであるSubstance 3Dは、2019年にAllegorithmic 社がアドビのファミリーとなって以降、アドビの製品として発展を続けています。アドビは、ここ数年で大きく変化した3Dのニーズをとらえるセミナー「今注目の3Dクリエイティブとそれを支える製品のご紹介」を筑波大学で2022年7月19日に実施。60名以上の参加者に、3Dをとりまく社会状況の解説とSubstance 3D製品のデモンストレーションを行いました。

新たな3Dツールを知る機会に

セミナーを進行するのは、同大芸術系准教授で、情報・プロダクトデザイン領域を担当する山田博之先生です。現在のアドビ製品の活用状況について、「アドビのツールはデザイン業務を行う上では必須のツールとなっています。筑波大学の芸術系では、これらを初年次に学生全員が利用できる環境を準備し、ツールの利用機会を増やすカリキュラムを構築しました」と説明します。山田先生は、今後授業にSubstanceを取り入れることを検討しており、今回のセミナーに至りました。「製品デザインにおいては、その製品の登場によって、利用者の生活環境がどのように変わるかを明確に示すことが重要です。コンセプトとしての言葉のメッセージも大切ですが、『デザイン』のコースではそれをビジュアライズして伝えることが求められます。Substance という製品は、このビジュアライズの部分を手助けする重要なツールとなります」と、表現力の重要性を語ります。

セミナーには、同大芸術系で特にプロダクトデザインや建築デザインを学ぶ学生が多く参加しました。Substance 3Dを触ったことのある学生はまだわずかですが、別のソフトウェアで3Dのモデリング等を行っている学生は一定数います。「本学で契約しているAdobe Creative CloudでSubstance 3Dが使えるようになりましたので、これを機会にぜひ触ってみてください」と山田先生は呼びかけました。

Substance 3Dは、Substance 3D Stager、Sampler、Designer、Painterという複数のアプリケーションで構成されていて、高等教育機関向けの Adobe Creative Cloud コンプリートプランで利用が可能です。一般的なCreative Cloudライセンスには含まれず、別ライセンスで提供されています。

アドビ製品におけるSubstance 3Dの位置付け

Substance3Dのアプリケーション群は、モデリングとレンダリングの間のテクスチャー制作の部分を中心に担う3Dデザインのツールなので、学生の皆さんがすでに使用している代表的な3Dモデリングソフトと連携して利用できます。

3D技術の活用エリアが大きく変化

本セミナーの講師を務めたのはアドビのCreative Cloud Specialist加藤修一。まずは、昨今の社会状況の中で3Dのツールに期待される役割がどのように変化してきたのかを解説しました。

かつて3D技術はゲーム等エタンターテイメント業界で中心に使われてきましたが、コロナ禍が大きなインパクトとなり、プロダクトを扱う業界での注目度が一気に上がりました。ロックダウンで困難になった商品撮影は、3Dモデルを用いてソフト内でバーチャルに撮影を行うバーチャルフォトにとって変わられるようになり、その利便性と柔軟性、即時性のメリットにより大変な広がりを見せています。

Substance 3Dの活用は非エンターテイメント業界に広がっている

Substance 3Dで作成されたバーチャルフォトの例

加藤は、「プロダクトデザインにおいての3Dは、初めは『つくる』の一部として社内確認等に使われていましたが、『つくる』と『売る』の間に3Dを位置付けるスタイルになってきています」とこの状況を表現します。バーチャル撮影はコストを抑えて短期間で多バリエーションの商品画像を作成できるため、商品企画からマーケット展開までの業務フローを大きく変えました。今では著名な多くの企業が採用し、なかにはカタログの75%がバーチャルフォトだという企業や、バーチャルフォトの導入で10倍のコストメリットがあったという企業もあります。

3Dの活用シーンが変化し、広がりを見せている

制作工程が変化し期間が短縮。Substance 3Dは主にテクスチャリングの部分を担う

制作工程のみならず、マーケット展開における顧客体験にも大きな変化をもたらしました。3Dでリアリティのある表現をしたデータは、質の高い製品カスタマイズシミュレーションや、ARやVRでの製品体験などを生み出します。

Substance 3D製品のデモンストレーション

Substance 3D製品は、3D属性を持ったテクスチャーを作成できるSamplerとDesignerに加え、非常に直感的な操作で3Dオプジェクトにテクスチャーを適用できるPainter、バーチャルフォトの撮影に便利なStagerの4種が現在のラインナップです。また、Modelerというモデリングのためのアプリケーションも現在開発中です。

Substance 3D Collectionのラインナップ

加藤はこれらの中から特にPainterとStagerを取り上げ、ライブデモンストレーションを行いました。Painterで、モデリングデータにドラッグ&ドロップですいすいとテクスチャーを適用する様子はとても直感的。気になるテクスチャーを適用してさまざまな設定項目を調整することであっという間にリアルな質感が表現できます。「3DのPhotoshop」という説明の通り、2Dのデザイナーでも気軽に挑戦できそうな印象です。

ドラッグ&ドロップで次々にテクスチャーの適用ができる

Painterで作成したファイルは直接Stagerに送信することができ、そのままバーチャルフォトの撮影に必要な設定ができます。背景となるステージとの合成は、AIであるAdobe Senseiのおかげで自動で行われとても手軽です。

背景を選ぶだけでAdobe Senseiが自動調整

テキストの追加なども行いレンダリングして完成したバーチャルフォト

Substance 3Dが得意とするのは3Dのテクスチャー制作ですから、他の3Dアプリケーションとの連携は必須です。加藤は、各業界で代表的な3D関連のアプリーションとどう連携できるかという親和性や、扱えるファイル形式についても解説し、活用のヒントとしました。

3Dを取り巻く状況の変化を知り最新ツールのデモンストレーションを見ることは、学生の皆さんにとって大変インパクトのある時間となったのではないでしょうか。今回アドビからツール解説を行ったこといついて山田先生は、「ツール自体を使いこなす部分と、それを使って何を実現し、何を研究するかの部分については両面から指導していく必要がありますが、今回のセミナーように、テクニカルな部分についてをアドビの方に指導して頂くことで、大学側ではより成果物に特化したカリキュラムを構築することが出来ます」と振り返ります。今後もこうした機会を活用しながら、学生の皆さんの表現力を広げるツールとしてSubstanceの利用が広がるのが楽しみです。