キャッチアップしておきたいフォントまわりのアップデート | ベテランほど知らずに損してるIllustratorの新常識 2022(7)

グラフィカル ユーザー インターフェイス, ダイアグラム 自動的に生成された説明

第7回 キャッチアップしておきたいフォントまわりのアップデート

Illustratorを使う上で切っても切れないフォント。ベテランユーザー向けに最近のフォント事情をまとめてみました。

アドビ謹製の日本語フォント

2014年の「源ノ角ゴシック」を皮切りに、アドビからもオリジナルフォントの日本語フォントが続々リリースされています。

タイムライン 中程度の精度で自動的に生成された説明

いずれもAdobe Fontsから利用できます。「源ノ角ゴシック、源ノ明朝」は、それぞれ「Noto Sans/Noto Serif」としてGoogleからもダウンロードできます。

なお、Adobe Fontsは2018年にTypekitから名称が変更されています。

バリアブルフォント

「Rでは少し細い、Mでは少し太い」のように、用意されているウェイトでは困った経験はどなたでもあるでしょう。太さや字幅、傾斜などを無制限に調整できるバリアブルフォントを使うことで解決します。

「Multiple Master?」と思ったベテランさん! そうです、Multiple Masterの発展系がバリアブルフォントなんです。Adobe、Apple、Google、Microsoftが2016年に共同で規格化。グラフィックデザインのほか、CSSでもサポートしています。

フォントによってサポートしているパラメーター(太さや字幅、傾斜のオプション)は異なります。源ノ角ゴシックのバリアブル版「源ノ角ゴシック VFでは[太さ]のみをサポートしています。

Illustratorのフォントリスト内では、「O」の記号に「VAR」が付いているのがバリアブルフォントです。

グラフィカル ユーザー インターフェイス 中程度の精度で自動的に生成された説明

なお、Illustratorのフォントメニューは次のような構成になっています。

テーブル 自動的に生成された説明

日本語フォントでは「源ノ角ゴシック VF」に加え、たづがね角ゴシックたづがね角ゴシック InfoShorai SansイワタUDゴシックが、欧文フォントではHelvetica、Futura、Avenir、DINなどの定番フォントがバリアブル化されています。

グリフにスナップ

「グリフにスナップ」機能を使うことによって、アウトライン化せずにアンカーポイントにスナップしたり、ボディの中心にスナップしたりできます。

アイコン 自動的に生成された説明

[文字]パネル下部の[グリフにスナップ]セクションで、フォントのどこにスナップするかを選択できます。

ロゴ が含まれている画像 自動的に生成された説明

OpenTypeの数字スタイルで4つのスタイルを切り替え

[OpenType]パネルの[数字]のポップアップ内の文言がアップデートされています。

「等幅/プロポーショナル」「ライニング/オールドスタイル」という2つのパラメーターの組み合わせで4つのバリエーションに切り替えられます(フォントによってすべてサポートしていないこともある)。

使用する目的によって使い分けましょう。

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スタイルセットでフォントに用意されている異体字に切り替え

[OpenType]パネルの右側の[a]アイコンからスタイルセットにアクセスし、フォントに用意されている異体字のセットに切り替えられます。

なお、スタイルセットの内容はフォントによって大きく異なります。

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カラーフォント

カラーフォントは、1つの字形で複数のカラーおよびグラデーションを表示できる新しいフォントフォーマット。

従来のフォントは「塗るか塗らないか」しか処理できませんでしたが、アウトライン処理をすることなく、文字を構成するパーツごとに指定したカラーで表示されるほか、フォントによっては不透明度が保持されます。

Illustratorには「Trajan Color Concept」や「EmojiOne」などのフォントがデフォルトで用意されています。少し〝のっぺり〟としたテイストにはなってしまいますが、原稿内で使われている絵文字の多くはEmojiOneでサポートされています。

たとえば、貂明朝は[字形]パネルから直接カラーフォントの字形を入力したり、OpenTypeのスタイルセットから変換できます。

カレンダー 自動的に生成された説明

共通フォントの選択

[選択]メニューの[共通]にテキスト属性のオプションが追加され、ファミリー、スタイル(ウエイト)、サイズ、カラー(塗り・線)の条件でテキストを選択できるようになりました。

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サポートされているのは次の7つです。スタイル=ウエイトと考えておけばよいでしょう。欧文の場合、ウエイト以外にitalicなども含みます。

表にまとめ直してみました。

テーブル 自動的に生成された説明

Type 1フォント終了

Illustrator 2022(26.5)以降、Type 1フォント(PostScript Type 1フォント)を使っているドキュメントを開くと「Type1 フォントは、 2023年1月以降サポートされません。」というアラートが表示されるようになっています。

Illustratorの場合、[文字]パネルでは右側にフォントの種類の記号が表示されます。“1階建ての”「a」がType 1フォントです。

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アドビのドキュメントに「2023年1月まで」と明記されています。

2023年1月以降のアップデートでType 1フォントは認識されなくなるそうですので、次のような対策が考えられますが、いずれの場合でも微調整が必要です。

ダイアグラム 自動的に生成された説明

まとめ

今回は、Illustratorユーザーが知っておきたいフォント事情について取り上げました。

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