タタ・コンサルタンシー・サービシズとアドビが協力して効率的なデザインシステムのワークフローを提供 | アドビ UX 道場 #UXDojo

今日の企業は、これまで以上に多種多様なコンテンツを制作しています。デジタルチャネルの先にいる顧客にメッセージを届けるために、多くのブランドがウェブサイト、ソーシャルメディア、ブログ、モバイルアプリ、デジタル広告、メールマガジンなどのコンテンツ開発に追われています。プレゼンテーション、チラシ、デジタルディスプレイ、ユーザーガイドなどを作成している企業もあるかもしれません。

先進的なブランドにとって、さまざまな種類のデジタル製品やサービスを、迅速かつ効率的に制作するための最良の方法となったのがデザインシステムです。デザインシステムは、あらゆる種類のコンテンツ制作に再利用できるデザイン要素を提供します。これにより、制作物の一貫性が向上します。また、再利用可能な要素は、作業の重複を排除し、推測に基づくデザインをなくすため、作業スピードを加速します。さらに、すべてのデザイナーが同じデザイン要素を基盤として使用することから、チーム間のコラボレーションも容易になります。

「デザインシステムはブランドアイデンティティの源であり、ブランドのデザイン原則を集約するものです」とアドビのデジタルメディア戦略開発担当バイスプレジデントのサイモン・ウィリアムズは述べています。「企業の仕事をするデザイナーは、デザインシステムの閲覧を通じて、ブランドのビジョンをデザインの側面から理解できる能力を持つべきです。その理解は、あらゆる種類のコンテンツにわたり、外観と体験の一貫性を促進するからです」

しかし、デザインシステムの導入は、特に大規模な組織にとっては困難で、課題に満ちたものになりがちです。そもそもシステムを全員が共有しなければ、その効果は十分に発揮されませんが、一貫性を保つことが目標とはいえ、グローバルな組織においては、文化の違いを考慮したある程度の柔軟性が必要となることがあります。そうした企業に向けて、デザインシステムを用いた効果的なワークフロー導入の取り組みを支援するため、Tata Consultancy Services(TCS)は、アドビとの協業により、エンタープライズ向けの新しいサービスの提供を始めました。

Adobe XD でデザインシステムの基盤を構築

TCS がデザインシステムの利点を最初に実感したのは、自社のプロジェクトで有名なマラソン大会の 2021 年版アプリをデザインした時でした。Adobe XD に加えてデザインシステムを採用することで TCS 社内のワークフローを変革して、迅速なデザインと効果的なプロトタイプの作成を実現することができたのです。彼らが構築したデザインシステムは、すべてのデザイナーに向けて、共通して使用されるクリエイティブな要素やテンプレートを提供しました。毎回ゼロからデザインを始める必要がなくなり生産性が向上しただけでなく、デザイナーがより多くのバリエーションを試みる時間を得られたことで創造性も高まりました。

デザインシステムの活用が自社ワークフローにもたらす価値を確認した TCS は、そのメリットを顧客企業にも提供したいと考えました。特に大規模な企業には、デザインシステムが極めて有益になる可能性があります。いくつものプロジェクトで使われるデジタルアセットの一貫性を高めることにより、広範にユーザー体験を向上させることが期待されるためです。

TCS はアドビと提携し、クライアント向けに create+ と呼ばれるサービスとしてのデザインシステムを新たに開発しました。create+ は、Adobe XD を使用して構築され、一貫性のある体験を実現するために再利用できる、コンテンツ、デザイン、コンポーネントを収集したシステムです。create+ を利用するクライアントは、独自のデザインシステムを組み上げて、コラボレーションしながら作業できます。そして、地域や文化的なニーズを考慮したインクルーシブなデザインシステムを構築できます。

create+ は、標準化とパーソナライズを適切にバランスさせながら、ブランドの変化に合わせて進化・成長するデザインシステムです。アドビのエコシステムと連携したプラットフォームであるため、多くのユーザーに馴染みのあるワークフローになっており、デザイナーによる素早い学びと幅広い採用が期待できます。

優れたデジタル体験の創造のために

TCS は最近 create+ を使用して、2022 年版のマラソンアプリのデザインシステムを開発しました。このデザインシステムには、アプリのために用意された、フォント、カラー、レイアウト、アイコン、画像などの一般的に使われるクリエイティブな部品がテンプレートとして含まれていました。さらに、インクルーシブデザインとアクセシビリティに特に重点をおいた、ユーザビリティに配慮したデザインシステムとして構築されていました。例えば、それぞれの要素は色覚異常テストやコントラストチェックにより評価され、色弱のユーザーもシームレスにアクセスできるものであることが確認されていました。TCS は、このデザインシステムを活用することで、アプリの開発をわずか 5 時間に短縮することができました。

「create+ はイノベーションと創造性を促進し、人間中心のデザイン体験を提供することで、企業の全体的な成長を支援します。また、インクルーシブデザインの側面は、あらゆるユーザーにアクセシビリティを提供します」と、TCS Interactive の代表を務めるナタラジャン・バスカランは述べています。「TCS とアドビは、 create+ を通じて目的志向のデザインシステムを構築し、デジタル体験がインクルーシブで拡張可能であることを保証しつつ、ブランド体験を促進し、市場への投入時間を短縮し、ビジネスの成果を推進する企業の支援を行うことができます」

この記事は Tata Consultancy Services and Adobe collaborate on a bespoke design system service(著者: Kunal Raheja)の抄訳です